- 著者
-
増田 裕子
- 出版者
- 一般社団法人 日本社会福祉学会
- 雑誌
- 社会福祉学 (ISSN:09110232)
- 巻号頁・発行日
- vol.62, no.3, pp.1-16, 2021-11-30 (Released:2022-02-02)
- 参考文献数
- 28
本研究の目的は,継時的な母親のワーク・ファミリー・コンフリクト(WFC)の推移を把握し,WFCが高い時と低い時にウェルビーイングを高く保持する対処行動を明らかにすることである.調査方法はWFCとウェルビーイングの推移をライフラインで把握し,葛藤の高い時点について尺度を用いた質問紙調査と対処行動に関する面接調査を行った.尺度結果よりウェルビーイング度の高いWFC対処行動を抽出し,定性的(質的)コーディングで分析した.仕事領域で「働き方改革の活用」「職場・上司・同僚の理解」「仕事をする自己を肯定」「就労の安定」,家族領域で「夫・家族・友人に協力要請」「保育所・幼稚園・自治体に協力要請」「病院に協力要請」「子どもの安定」「自身のプラスの変化に着目」「環境・状況の変化」を抽出した.働く母親のウェルビーイングを高く保持するには,WFC度の高低によって異なる対処行動と支援が必要だと示唆された.