著者
浅井 由希子 高島 一昭 山根 義久
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.17, no.2, pp.45-51, 2008-06-20 (Released:2009-04-28)
参考文献数
9

1997年から2006年までの10年間で,マムシ咬症で来院した犬48例,猫4例について,発生時期,時間帯,場所,犬種,受傷部位,咬傷数,症状,血液検査,細菌培養,治療,来院回数,最終診察時の創部の状態について調査した。その結果,咬傷は8~10月の夜間散歩中に多く発生し,ほぼすべての症例で腫脹が認められ,多くは軽症であったが小型犬で重症例が1例認められた。猫は症例数も少なく,症状も軽度であった。血液検査では17例中12例が異常値を示し,特に小型犬で異常が多くみられた(6例中5例)。重症例では溶血,貧血,低アルブミン血症,電解質,生化学や凝固系での異常が認められ,その他,WBCの上昇や多剤耐性菌も認められた。症状が重度もしくは中等度の症例が小型犬で認められたため,特に小型犬で全身症状や血液検査で異常がみられる症例では注意深いモニタリングが必要であると考えられた。
著者
平尾 秀博 井上 知紀 星 克一郎 小林 正行 島村 俊介 清水 美希 田中 綾 高島 一昭 森 有一 野一色 泰晴 山根 義久
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.67, no.4, pp.357-362, 2005-04-25
被引用文献数
2

新型の弁付き導管を犬大動脈弁を用いて作成した.生体代替弁はグルタールアルデヒドとエポキシ化合物(Denacol-EX313/810)により固定した.超極細ポリエステル繊維製人工血管(直径10mm, 全長20mm)を使用した.犬4頭に左心室-大動脈間弁付き導管(AAVC)移植術と大動脈バンディングを行いバイパス群とした.もう4頭にはAAVC移植術は行わず大動脈パンディングのみを行いコントロール群とした.心臓カテーテル検査と心血管造影検査を術後2週間, 6カ月に行い, 血行動態を評価した.左室収縮期圧, 左室拡張終期圧, 左室-大動脈間圧較差それぞれにおいて2群間に有意な差(p<0.01)がみられた.左室心血管造影検査でバイパス群の全頭において弁付き導管の開存が確認された.心臓エコー検査を術前, 術後2, 4, 6カ月に行った.コントロール群では圧負荷による心筋の求心性肥大がみられ, 一方バイパス群では左室の遠心性肥大がみられ, AAVCにより左室圧負荷の軽減が維持されていることが示唆された.
著者
小笠原 淳子 高島 一昭 山根 義久
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.133-137, 2005 (Released:2007-11-13)
参考文献数
18

5歳齢のマルチーズが元気消失,嘔吐を主訴に来院した。低蛋白血症を認め,蛋白喪失性腸症を疑った。試験開腹では腸間膜に脂肪肉芽腫が認められ,空腸の全層生検により腸リンパ管拡張症と診断した。プレドニゾロンと一時的にシクロスポリンの投与を行い,食餌を低脂肪食に変更した。その結果,臨床症状と血漿蛋白の改善が認められ,約4年間寛解が得られた。
著者
松本 郁実 高島 一昭 山根 剛 山根 義久 岡野 司 淺野 玄
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.13-17, 2011-03-20 (Released:2012-04-04)
参考文献数
17

(財)鳥取県動物臨床医学研究所は鳥取県中西部において保護される傷病野生鳥獣の治療を行っており,今回過去10年間に搬入された傷病野生鳥獣のうち,タヌキに注目して疥癬罹患状況の調査を行った。タヌキの保護要因としては,交通事故が原因と思われる骨折や外傷が多くみられたが,疥癬に罹患したタヌキも2003年に初めて搬入され,その後も2005年2頭,2006年5頭,2007年4頭,2008年2頭の計14頭が搬入された。月別でみると,タヌキの搬入頭数は3月と9月に多く認められたが,疥癬罹患タヌキはそれらとは少しピークがずれた晩春や秋から冬にかけて搬入された。また,岐阜大学応用生物科学部の野生動物管理学研究センターに搬入された疥癬罹患タヌキの傾向と比較したところ,当研究所および岐阜県の当該施設において,搬入された疥癬罹患タヌキは2008年までは似た形で推移した。
著者
才田 祐人 高島 一昭 山根 剛 西川 和男 西尾 達也 Hiroaki OKANO 山根 義久
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.125-130, 2011-12-31 (Released:2012-12-18)
参考文献数
10

プラズマクラスターイオン®(PCI)は,種々の細菌およびウイルスに対して有効性が認められている。しかしながら,臭気および動物飼育環境中の細菌に対する有効性に関しては不明であるため,実験ボックス内においてアンモニア付着臭に対するPCIの効果を検証し,さらにビーグル犬を用いて動物飼育環境におけるPCIのアンモニアおよび細菌に対する有効性を検討した。その結果,実験ボックス内においてPCI 25,000個/cm3ではPCI発生後から45分で発生前と比較して有意にアンモニア濃度の抑制を示した(p<0.01)。また,動物飼育環境におけるアンモニア濃度は,PCI発生後2週で発生前の50%以下に軽減され,その後も時間経過とともに減少がみられた。さらに,浮遊菌のコロニー数は,PCI発生後に軽減し,停止後には増加するという変化を示した。以上より,PCIは動物飼育環境中を衛生的に保つ上で有用であることが示唆された。
著者
毛利 崇 高島 一昭 山根 義久 関口 麻衣子 岩崎 利郎
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学
巻号頁・発行日
vol.15, no.4, pp.131-134, 2006

9カ月齢の雌のスフィンクスが全身性のそう痒を伴った丘疹を主訴として来院し,皮膚生検の結果色素性蕁麻疹と診断した。初期には抗ヒスタミン剤とプレドニゾロンを用いて治療し,維持にシクロスポリンを用いて良好に経過した。シクロスポリンの投与量は症状に応じて減量し,第417病日に完全に投薬を中止した。その後も再発もなく第466病日現在良好に維持している。