著者
夏目 敦至 千賀 威 宇理須 恒雄
出版者
名古屋大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

ストレス顆粒はRNAと多くのタンパク質からなる凝集体であり、熱や活性酸素などのストレスにより形成される。その形成メカニズムは不明であり、RNAの翻訳停止やタンパク質の修飾が関与していると考えられている。また、ストレス顆粒の構成タンパク質の異常は神経疾患の発症と関連している。我々は分子生物学的手法とイメージングの手法を用いてストレス顆粒形成のメカニズムを解析した。ストレス顆粒の新たな構成因子を同定し、そのダイナミックな細胞内局在と複合体形成を解析し、関連する病態の解明をした。
著者
夏目 敦至 若林 俊彦 鈴木 正昭 古山 浩子 近藤 豊 竹内 一郎
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

我々はDNAのメチル化などのエピジェネティクスが癌精巣抗原(Cancer-testis antigens, CTAs)の発現調節にも関与していることを見出し、5-aza-deoxycytidineをグリオーマに作用させるとCTAsの発現が活性化することを認めた。そしてCTA特異的細胞傷害性T細胞によってHLA拘束性に傷害される。以上にDNAメチル化阻害剤と癌ワクチン療法の組み合わせで強力な免疫療法の開発の展望を示した。一方、HDAC阻害剤のうち、SAHA, MS-275, FK-288は米国において白血病における臨床試験が行われている。また、脳神経外科領域でなじみのある抗てんかん薬のバルプロ酸がHDAC阻害活性を有しているのも興味深い。DNAメチル化酵素やHDACとともにEZH2も分子標的となりうる。現在、エピジェネティクス異常を標的とする治療薬の開発が急速に進んできており、グリオーマにおいて適応になるのも近い将来可能になると期待される。