著者
道下 貴弘 大井 康史 山縣 英尋 高橋 充 白澤 彩 伊巻 尚平 竹内 一郎
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.329-332, 2020-03-31 (Released:2020-03-31)
参考文献数
4

70歳代女性。既往歴に糖尿病, 高血圧, 慢性腎臓病 (StageG4) を認め, 変形性膝関節症のためリハビリを行っている患者。リハビリ中に体調不良を訴えたため救急要請された。救急隊接触時BP 64/39mmHg, HR 32/分と血圧低下, 徐脈を認め当院救命救急センターに搬送となった。来院時HR 29/分の徐脈が持続しており, 心電図ではP波の消失を認め, 採血でカリウム8.7mEq/Lと高カリウム血症を認めた。高カリウム血症に伴う徐脈と診断し, 血液透析と一時的ペースメーカーの挿入を施行した。血液透析にて高カリウム血症は改善し, 自己脈も安定してきたため第3病日にペースメーカーを抜去した。その後カリウム値の再上昇はなく, 第7病日に退院となった。高カリウム血症の原因として2週間前より通常量の3倍以上の青汁を摂取していたことがわかり, 原因として青汁の過剰摂取が考えられた。慢性腎不全の患者においては栄養指導等のサポートも重要であり, 健康食品は本人の状態に応じた適切な使用法が望まれる。
著者
穂積 祥太 松井 孝太 沓掛 健太朗 宇治原 徹 竹内 一郎
出版者
人工知能学会
雑誌
2019年度 人工知能学会全国大会(第33回)
巻号頁・発行日
2019-04-08

試料表面の測定位置を変えて物理量の空間分布を求めるマッピング測定は、材料評価の基本的な方法である。通常、マッピングは等間隔な座標に沿って実行される。しかしながら、その場合、測定の目的に対して非効率的な測定点も含まれる。そこで、より少ない計測点からより確からしい物理量分布を得ることを目指した。本研究では、太陽電池用シリコンのキャリアライフタイムマッピングに境界位置を効率的に推定する手法であるLSEを適用し、低品質領域の推定を行った。
著者
山谷 立大 小泉 寛之 樫見 文枝 近藤 竜史 竹内 一郎 隈部 俊宏 浅利 靖
出版者
一般社団法人 日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.25, no.12, pp.892-896, 2014-12-15 (Released:2015-03-12)
参考文献数
14

顔面外傷は気道閉塞や出血性ショックなど,時に緊急度の高い病態を引き起こす。我々は顔面外傷による気道閉塞に対してドクターカーの出動により迅速かつ適切な気道確保を行い,出血性ショックに対して迅速かつ有効な血管内治療により救命した重症顔面外傷の1例を経験したので報告する。症例は53歳の女性。自動車で走行中, 路肩に停車していたトラックに後方から衝突し受傷した。トラック運転手により救急要請,高エネルギー外傷および気道閉塞の可能性があり同時に救急隊よりドクターカー要請となった。救急隊現着時意識レベルGlasgow coma scale(GCS)7[E1V1M5],SpO2 76%,血圧96/71mmHgであった。鼻腔および口腔内からの大量出血による気道閉塞に対し直ちにAirwayscope®を使用し気管挿管を行い, 出血性ショックに対し急速輸液開始し当院救命救急センターに搬送した。病着時には収縮期血圧60mmHgまで低下し輸血の急速投与を行った。頭部CT検査で多発顔面骨骨折, 外傷性クモ膜下出血, 急性硬膜下血腫,気脳症,頭蓋底骨折を認めた。体幹部CT検査で肺挫傷,気胸を認めたが出血性ショックの原因となる所見は存在しなかった。鼻腔および口腔内からの出血が持続していることから,原因として外頸動脈系からの出血を疑い血管造影検査を施行した。左顎動脈からの血管外漏出像を認めたため緊急に経カテーテル動脈塞栓術を施行,直後から血圧が上昇し循環動態の安定を得ることができた。
著者
竹内一郎著
出版者
新潮社
巻号頁・発行日
2005
著者
篠原 真史 六車 崇 問田 千晶 嶽間澤 昌泰 安部 猛 竹内 一郎
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.24, no.5, pp.654-658, 2021-10-31 (Released:2021-10-31)
参考文献数
15

目的:救急搬送に占める小児傷病者の割合は少なく,病院前における小児対応の機会が十分であるとはいえない。小児外傷における病院前でのバイタルサイン記録率と処置の実態を調査し,年齢による違いを分析した。方法:当救命救急センターに現場から直接搬送された18歳未満の小児外傷傷病者を対象として,診療録の後ろ向き調査を行った。結果:対象は80例。いずれかのバイタルサインが未記録の症例は18例(23%),処置未実施の症例は29例(36%)。多重ロジスティック解析では,年齢がバイタルサイン記録完成に有意に関連し,年齢が高いほど未完成は少なかった〔odds ratio(OR):95% confidential interval(CI)0.834:0.749-0.929〕。また病院前における処置も高年齢であるほど未実施が少なかった(OR:95%CI 0.838:0.761-0.924)。結論:小児外傷傷病者において,年少の児では病院前バイタルサイン記録率が低く処置実施が少なかった。改善には救急隊員の教育的介入や装備の充実が必要である。
著者
日野 晶也 角田 恒雄 釜野 徳明 野川 俊彦 小笠原 強 速水 格 松本 政哲 服部 明彦 西川 輝明 竹内 一郎 橋本 惇 三浦 知之 木津 治久 森田 博史 姚 揚貨 易 新生 小宮山 寛機 林 正彦 川村 将弘 張 恵平
出版者
神奈川大学
雑誌
年報 (ISSN:13420917)
巻号頁・発行日
vol.2001, pp.127-129, 2002-03

約100万種といわれる海洋生物は,地上における最も未知の世界である。この海洋生物から,医薬資源となりうる有用な生理活性物質を発見し,構造を明らかにし,生理活性を検討することを目的としている。NIHで臨床試験中のドラスタチン10(ウミウシ成分)とブリオスタチン1(フサコケムシ成分)は,釡野がその研究に携わったものである。平成元年以来,日野,西川等の協力を得て,平塚付近(相模湾)および岩手県大槌町付近(大槌湾)の海洋生物を検討し,特に青森,浅虫湾のフサコケムシからブリオスタチン10という強い抗癌性物質を見いだし,抗エイズ活性もあることが分かった。また,これらの物質には,ホルモン産生活性などの作用の存在も明らかになり,医薬品としての開発の可能性が考えられる。さらに,フロリダ産コケムシから10数種の新規アルカロイドを単離したが,このうちconvolutamydineが,ヒト急性骨髄性白血病細胞HL-60に対し,強力な分化誘導作用を示し,新たな抗癌剤発見の手がかりになる可能性もある。2000年度には,ほぼこれらのアルカロイドの全合成を完成した。これらの結果をふまえ,日本沿岸およびアジア各地の海洋生物について探索が計画されている。さらに,橋本,三浦等が「しんかい6500」,「しんかい2000」により採集した深海生物に対する検討も行い,今までに相模湾産シロウリガイとヘイトウシンカイヒバリガイおよびサツマハオリムシ,さらに巻き貝2種Alyinconcha cf. hesseleriおよびIfremeria nautileiの化学成分の検討を行っている。また,竹内等による南極付近の生物の入手も期待できる現状にある。さらに,新しく速水先生が加わり,洞窟生物の調査・採集が可能となっている。一方,生理活性,薬理作用検討に新たにそれぞれ小宮山博士,林博士,川村教授の協力が得られている。また,一昨年から中国でのフサコケムシの探索が姚新生教授と新たに参加した易楊貨教授によって開始され,かなり大量の生物が採集された。この生物からの活性物質の単離はこれからの大きな仕事であり,その結果が期待される。本年度は今までの生物成分のまとめを行った。特に,日本産ナマコ類成分,沖縄と真鶴で採集した日本産フサコケムシ成分,および深海巻貝2種の成分研究を完成した。
著者
竹内 一郎
出版者
公益社団法人 応用物理学会
雑誌
応用物理 (ISSN:03698009)
巻号頁・発行日
vol.92, no.4, pp.199-207, 2023-04-01 (Released:2023-04-01)
参考文献数
44

With its ability to enable rapid screening of a large number of different materials, the combinatorial high-throughput approach has become an integral part of the experimental toolbox for materials exploration and discovery efforts across virtually all areas of materials science. With the advent of the Materials Genome Initiative in the U.S., high-throughput materials synthesis and characterization has come to play the complementing role to the surge of activities in computational materials science. In this article, I provide my perspective on how the combinatorial approach has evolved over the years and how informatics and machine learning have come to play a central role in the field.
著者
松井 孝太 草川 隼也 安藤 圭理 沓掛 健太郎 宇治原 徹 竹内 一郎
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回全国大会(2020)
巻号頁・発行日
pp.2J1GS201, 2020 (Released:2020-06-19)

所望の構造出力(ここでは各要素が相関を持つ多次元ベクトルを指す)を達成する入力パラメータを見つける逆問題のための能動学習法を提案する. 理論的な貢献として,ブラックボックスなベクトル値の目的関数に対して出力の要素間の相関を明示的にガウス過程モデルに取り込むことにより,少ない観測点数で所望の構造出力とモデルによる予測との間の誤差を最小化するための新たな獲得関数を提案した.また,提案法を人工の形状探索問題,多出力のベンチマーク問題および炭化ケイ素結晶成長モデリングの実データを用いた成長速度分布の探索問題に適用し有効性を検証した.数値実験の結果,提案法は相関を考慮しないモデリングに比べて高速に所望の出力を発見できることを確認した.
著者
西 和弥 佐久間 拓人 梅津 佑太 梶岡 慎輔 竹内 一郎
雑誌
研究報告バイオ情報学(BIO) (ISSN:21888590)
巻号頁・発行日
vol.2018-BIO-54, no.4, pp.1-7, 2018-06-06

センサーデバイスの発展により,GPS による移動データなどの系列データが容易に取得できるようになった.そういったデータから重要な系列パターンを抽出する手法の一つとして,予測系列マイニングと呼ばれるデータマイニング手法がある.膨大な候補の中から抽出された系列パターンの信頼性をなんらかの指標を用いて定量的に評価することは意思決定を行う際にとても重要である.本稿では L1 正則化つき線形モデルを用いた予測系列マイニングと,選択バイアスを考慮した統計的仮説検定を組み合わせた手法を提案する.
著者
丹田 勝敏 富樫 正樹 竹内 一郎 力石 辰也 小柳 知彦 金川 匡一 平野 哲夫 関 利盛 坪 俊輔
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.83, no.12, pp.1970-1977, 1992
被引用文献数
3

CYAの適正な投与法が移植成績の向上に重要と考え, 移植後早期3ヵ月間の急性拒絶反応とその後の graft の予後に影響を及ぼすと思われる諸因子について retrospective に検討した.<br>対象は1986年3月から北大泌尿器科・市立札幌病院腎移植科及び関連病院にて, CYA中心の免疫抑制法 (2剤: CYA+PRD 10例, 3剤: CYA+PRD+AZAまたはMIZ 44例) で治療した生体腎移植患者54例である. 各症例を治療期間 (1期: 移植日~15日, II期: 16~30日, III期: 31~60日, IV期: 61~90日) に分け, 急性拒絶反応の有無とその後の graft の予後との関係を, CYAの副作用軽減を目的とした併用薬剤 (AZAまたはMIZ) の有無, CYAの初期投与量, CYAの血中 trough level の3項目を中心として検討した.<br>各治療期間においてAZAまたはMIZの有無, CYAの初期投与量は急性拒絶反応出現頻度と有意な関係を認めなかった. しかしCYA trough level がI期で150ng/ml未満, またIII期で100ng/ml未満の場合に有意に急性拒絶反応の発症頻度が高かった (p<0.01).<br>graft の予後については, CYAの初期投与量は有意な関係を認めなかった. また, AZAまたはMIZの併用も2剤治療群と比較して graft 生着率に有意差を認めなかった. 一方CYA trough level がI期で150ng/ml, III期で100ng/ml以上の至適レベル到達症候群の graft の生着率はそれ以外の群と比べ有意に高かった. (p<0;05).<br>以上より特に移植後早期3ヵ月以内のCYA trogh level は移植成績の向上に重要と思われた.
著者
石川 尚子 庭野 慎一 今木 隆太 竹内 一郎 桐生 典郎 入江 渉 豊岡 照彦 栗原 克由 相馬 一亥 和泉 徹
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.43, no.SUPPL.2, pp.S2_97-S2_104, 2011 (Released:2012-12-05)
参考文献数
11

背景と目的: わが国では, 年間10万人を超える院外心肺停止(cardiopulmonary arrest; CPA)患者が報告されているが, その救命率は6.3%程度といまだに低い. CPA症例の救命率を規定する因子を検討するため, 当院における院外CPA患者データを解析し予後予測因子を検討した.方法: 対象は2009年1月1日から2010年6月30日の間に当院3次救命救急センターへ搬送された18歳以上の内因性CPA患者. 1カ月後の予後で生存群, および死亡群の2群に分類し, 虚脱から病着までの経過(プレホスピタル因子)および病着後の所見(インホスピタル因子)を両群間で比較検討した.結果: 観察期間中に789症例のCPA患者が搬送され, 外因死を除く連続581症例(平均年齢71±1歳, 男: 女 352人: 229人)について検討を行った. 各評価項目を多変量解析した結果, 以下の8つの項目が独立予後予測因子として統計学的に有意であった. (1)目撃あり(オッズ比12.8, 95%信頼区間1.6-185.0), (2)バイスタンダーCPR(cardiopulmonary resuscitation)あり(オッズ比10.9, 95%CI 1.9-107.6), (3)初回心電図が脈なし心室頻拍/心室細動(ventricular tachycardia; VT/ventricular fibrillation; VF) (オッズ比12.6, 95%信頼区間2.3-86.0), (4)病着前自己心拍再開あり(オッズ比60.6, 95%信頼区間7.8-524.0), (5)心原性CPA(オッズ比 17.5, 95%信頼区間4.4-119.4), (6)血中pH≥7.0(オッズ比14.5, 95%信頼区間5.1-49.3), (7)血中K+≤5.0mEq/L(オッズ比36.0, 95%信頼区間9.6-235.3), (8)血中CRP≤0.5mg/dL(オッズ比6.6, 95%信頼区間1.9-31.5). これらの8因子を各1点ずつで加算したものを予後予測スコアと定義すると, 生存のためには5点以上を要し, さらに6点以上のスコアは神経学的に良好な予後を得るための優れた指標となった(感度92.3%, 特異度88.8%).結語: 予後予測スコアは, 院外内因性CPA患者の予後予測に有用であり, 救命率向上に役立つ可能性が示唆された.
著者
夏目 敦至 若林 俊彦 鈴木 正昭 古山 浩子 近藤 豊 竹内 一郎
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

我々はDNAのメチル化などのエピジェネティクスが癌精巣抗原(Cancer-testis antigens, CTAs)の発現調節にも関与していることを見出し、5-aza-deoxycytidineをグリオーマに作用させるとCTAsの発現が活性化することを認めた。そしてCTA特異的細胞傷害性T細胞によってHLA拘束性に傷害される。以上にDNAメチル化阻害剤と癌ワクチン療法の組み合わせで強力な免疫療法の開発の展望を示した。一方、HDAC阻害剤のうち、SAHA, MS-275, FK-288は米国において白血病における臨床試験が行われている。また、脳神経外科領域でなじみのある抗てんかん薬のバルプロ酸がHDAC阻害活性を有しているのも興味深い。DNAメチル化酵素やHDACとともにEZH2も分子標的となりうる。現在、エピジェネティクス異常を標的とする治療薬の開発が急速に進んできており、グリオーマにおいて適応になるのも近い将来可能になると期待される。
著者
亀尾 佳宏 杉村 淑人 竹内 一郎 武田 伸二
出版者
一般社団法人日本応用地質学会
雑誌
応用地質 (ISSN:02867737)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.243-248, 2003-10-10
被引用文献数
3 1

現地発生材(掘削残土や河床堆積物)のコンクリート骨材への有効利用を検討するため,昭和33年に建設された砂防ダム堆砂部でハイブリッドボーリングエ法(気泡式ボーリング,以下「HB工法」という)によるサンプリングを行った.調査対象は,過去40年間に堆積した腐植物や粘土,砂,礫などの変化の著しい河床堆積物よりなる.HB工法は,高濃度気泡の安定供給と気泡送圧力の微調整により,地下水位以深での良好なコア採取が可能であり,HB工法によって原位置での堆積状況を示すほとんど乱れのないコアが採取できた.また,これにより堆積層ごとの代表的な区間で,有効な室内土質試験が行え,土木材料への転用の可否が明らかとなった.従来,河床堆積物の分布状況を把握する調査では,トレンチや普通工法によるボーリングが実施されてきた.しかし,調査対象の河床堆積物が厚さ20m以上である場合,トレンチでは深部まで調査を実施することが困難である.また,普通工法によるボーリングでは,コアが乱され精度の高い試料を採取することが困難である.これに対して,HB工法は河床堆積物の分布が厚い場合も,良好なコア採取ができる.河床堆積物の有効利用を検討するうえで,HB工法は有効な調査手段であることが明らかとなった.
著者
釜野 徳明 速水 格 日野 晶也 小笠原 強 関 邦博 服部 明彦 小竹 文乃 張 恵平 西川 輝昭 竹内 一郎 橋本 惇 三浦 知之 木津 治久 姚 新生 小宮山 寛機 川村 将弘
出版者
神奈川大学
雑誌
年報 (ISSN:13420917)
巻号頁・発行日
vol.95, pp.117-119, 1996-03

約100万種といわれる海洋生物は、地上における最も未知な世界である。本年度も、この海洋生物から、医薬資源となりうる有用な生理活性物質を発見し、構造を明らかにし、生理活性を検討することを目的として研究を行っている。本年採集した生物は、39件29種であり、今までに189件を採集した。採集生物のリストを最後に示した。バイオアッセイを目印に、そのうち、海草、クダウミヒドラ、スポンジ、エボヤ、ユーレイボヤ、アカフジツボ、クロフジツボ、群体ボヤ、オオワレカラなどにつき有用成分の探索を行った。特に付着生物コケムシ類Bugla nertinaおよびAmathia convolutaを検討し、有益な知見を得た(研究の成果の項参照)。7月21日(金)、22日(土)には、本学平塚キャンパスおいて、「第1回海洋生物科学の基礎と応用(最近の進歩)シンポジウム」を開催した。海洋生物の基礎と応用研究にたづさわる最前線の各研究者の発表と講演を通し、相互の理解と現状を把握し、協力して大きな夢へ向かっての議論が出来たことは一般への啓蒙に加えて大きな成果であった。このシンポジウムには、基礎部門の代表者として本学の日野晶也助教授の協力を得ている。演者とシンポジウムのタイトルを後述する。このような基礎と応用を一同に会したシンポジウムは最初の試みであり、今後も続ける予定である。ちなみに今回の参加者はのべ150名であった。