著者
今永 光彦 外山 哲也
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.39-43, 2020-06-20 (Released:2020-06-23)
参考文献数
10
被引用文献数
1

目的:老衰患者が肺炎を併発して死亡した際,在宅医は死亡診断書の直接死因にどう記載しているかを調査する.死因記載と関連する医師側の要因について検討を行う.方法:全国在宅療養支援診療所連絡会の会員を対象とした郵送式質問紙調査を行った.結果:有効回答数は470名(回収率51.8%)で,直接死因を肺炎と記載することが「常にある」95名(20.2%),「しばしばある」131名(27.9%),「時々ある」134名(28.5%),「ほとんどない」91名(19.4%),「全くない」19名(4.0%)であった.多変量解析の結果では,「女性」であると有意に直接死因を老衰と記載していなかった(OR:0.10,95%CI:0.01-0.71).結論:老衰患者が肺炎の併発で死亡した際,死亡診断書の直接死因の記載にはばらつきがあった.また,医師の性別が死因記載に影響することが示唆された.
著者
今永 光彦 外山 哲也
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.33-37, 2017-03-20 (Released:2017-03-25)
参考文献数
16

目的:介護老人福祉施設入所者において,緊急入院のリスク因子を検討することを目的とする.方法:埼玉県内にある2ヵ所の介護老人福祉施設に,2013年5月1日の時点で1年間以上入所している170例を対象とし,過去起点コホート研究を行った.先行研究を参考に,研究者らが臨床的に重要であると考えた因子も加えて,それらの17項目と1年以内の緊急入院の有無との関連について検討した.単変量解析を行い,P<0.05を基準として変数選択を行い,多変量解析を行った.結果:1年以内の緊急入院は70例(41.2%)で認めた.多変量解析(ロジスティック回帰分析)で有意な因子は,慢性心不全(OR:5.73,95%CI:1.37-23.84)・褥瘡(OR:16.70,95%CI:1.89-147.41)・1年で5%以上の体重減少(OR:2.47,95%CI:1.07-5.68)であった.結論:介護老人福祉施設入所者において,「慢性心不全」・「褥瘡」・「1年で5%以上の体重減少」が,緊急入院のリスク因子であった.
著者
今永 光彦 外山 哲也
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.169-175, 2018-12-20 (Released:2018-12-27)
参考文献数
14
被引用文献数
1 3

目的:在宅医療における死因としての老衰の診断に関して調査を行う.方法:全国在宅療養支援診療所連絡会全会員908名を対象として郵送質問紙調査を行った.結果:有効回答数535名(回収率58.9%).死亡診断書に老衰と記載したことがあったのは501名(93.6%).“老衰と診断するにあたり重視している”と回答した割合は「継続的な診療を行っている」79.2%,「ADLや経口摂取量の低下が緩徐である」93.0%,「他に致死的な病気の診断がついていない」88.2%であった.“老衰と診断する際に影響する”との回答が多い項目は,「患者の家族の理解や考え」,「医学的に他疾患を除外できているか」,「老衰と診断することによる患者のQOLへの寄与」であった.結論:在宅医は,医学的側面以外の影響をうけながら,継続的な診療,緩徐な状態低下,他に致死的な病気の診断がないことを重視して老衰の診断を行っていた.
著者
今永 光彦 外山 哲也
出版者
一般社団法人 日本在宅医療連合学会
雑誌
日本在宅医療連合学会誌 (ISSN:24354007)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.19-26, 2021 (Released:2021-10-14)
参考文献数
14
被引用文献数
1

目的:一般市民が老衰死に対してどのように感じているか,及び老衰を死亡診断時の死因として妥当と感じる人・感じない人の特性の違いを明らかにする.方法:一般市民にインターネットによるアンケート調査を行った.結果:1,003 名が回答し,8 割以上が老衰で亡くなることは「安らかな死である」と感じており,「十分な医療が受けられていない」と感じている人は約7%であった.7 割以上が「死因として妥当である」と感じていた.死生観尺度「死からの回避」が高いと有意に死因として妥当と感じていなかった.結論:一般市民の多くは,老衰死に対して肯定的であった.また,死生観が老衰に対する考えに影響している可能性が示唆された.