著者
多田 知正 今瀬 真 村田 正幸
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J95-B, no.4, pp.534-546, 2012-04-01

本研究では地理的に離れたデータセンタ間の負荷分散により消費電力を削減することを考え,特にネットワークの消費電力を考慮することの有効性について調べる.近年,サーバやネットワーク機器における電力比例性(energy proportionality)という性質が注目されている.消費電力の観点から負荷分散手法を適切に評価するには,電力比例性について考慮することが必要である.電力比例性が低ければ,消費電力は負荷の増減によってほとんど変化しないため,負荷分散による消費電力削減の効果は小さくなる.現在はサーバやネットワーク機器の電力比例性は低いが,今後の技術開発により向上することが予想され,それにより消費電力を考慮した負荷分散の有効性も向上すると考えられる.本研究ではこれまでの省電力技術の動向を踏まえてそれぞれの機器の電力比例性を設定して計算を行うことにより,現在及び将来においてネットワークの消費電力を考慮してデータセンタ間の負荷分散を行うことの有効性について評価を行った.