著者
岡本 卓也 長谷川 剛 村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.384, pp.13-18, 2002-10-11
被引用文献数
2

現在のインターネットにおいては、Webプロキシサーバを経由したWebサーバへのアクセスが数多く存在する。Webプロキシサーバはその性質上、WebクライアントホストからのTCPコネクションおよびWebサーバへのTCPコネクションを収容しなければならないため、Webプロキシサーバにおいて効率的な資源管理が必要になる。そこで本稿では、Webプロキシサーバの高速・高機能化を実現するための資源管理方式を提案する。提案方式は、Webプロキシサーバの特性を考慮し、WebプロキシサーバがWebサーバからドキュメントをダウンロードする際に、各TCPコネクションのネットワーク状況に応じた大きさのTCP受信バッファを動的に割り当てる。したがって、ネットワーク帯域が大きいTCPコネクションにはより多くの受信ソケットバッファを割り当て、またネットワーク帯域が小さいTCPコネクションにはより少ない受信ソケットバッファを割り当てることが可能となるため、Webプロキシサーバの資源を効率的に利用することができる。本稿では、提案方式の有効性をシミュレーションを用いて検証した。その結果提案方式を用いることによって、Webプロキシサーバの特性を考慮した効率的な資源管理を行うことができ、資源管理をしない従来方式と比較して最大2倍のスループットが得られ、応答時間も約1/4に短縮できることを示す。
著者
名部 正彦 馬場 健一 村田 正幸 宮原 秀夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-1, 通信1-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.pp.428-437, 1997-06-25
参考文献数
12
被引用文献数
107

インターネット・インフラの高品質化を目指すためには, インターネット・トラヒックの特性を考慮した容量設計が重要であるにもかかわらず, 十分に明らかにされていなかったのが現状である. 本論文では, インターネット・アクセスネットワークにおけるWWWトラヒックの分析とモデル化を行い, アクセスネットワークの遅延特性について検討している. まず複数の組織のサーバの利用記録を分析し, モデルの作成に必要となるWWWのトラヒック特性を明らかにしている. 次いで分析結果に基づき, アクセスネットワークをM/G/1/PS (プロセッサシェアリング) システムでモデル化しネットワーク設計に必要な遅延時間特性について検討している.
著者
高垣 景一 大崎 博之 村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.670, pp.451-458, 2001-03-09
被引用文献数
4 1

インターネットでは、TCP (Transmission Control Protocol)においてウィンドウ型のフロー制御方式が用いられている。これまで、さまざまな研究者らによってTCPの解析が行われている。従来の研究では、ネットワークにおけるパケット棄却率を一定と仮定し、この時のTCPの平均的な特性を解析したものがほとんどである。しかし現実のネットワークでは、TCPのウィンドウサイズが変化すれば、それによってネットワークにおけるパケット棄却率は変化する。そこで本稿では、TCPの輻輳制御機構とネットワークをフィードバックシステムとしてモデル化し、TCPの過渡特性を解析する。つまり、TCPはネットワークでのパケット棄却率を入力とし、ウィンドウサイズを出力とするシステムとしてモデル化する。一方、ネットワークはTCPのウィンドウサイズを入力とし、パケット棄却率を出力とする一つのシステムとしてモデル化する。なお、ネットワークは、TCP以外のバックグラウンドトラヒックをも考慮した、待ち行列としてモデル化する。得られたモデルに対して過渡特性解析を行い、バックグラウンドトラヒックの量や、TCPのコネクション数などによって、TCPの過渡特性がどのように変化するかを定量的に明らかにする。
著者
後藤 嘉宏 阿多 信吾 村田 正幸
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 26.13 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.43-48, 2002-02-08 (Released:2017-06-23)
参考文献数
9

インターネットにおける新たなネットワークモデルとして、ピア・ツー・ピア(P2P)サービスが注目されている。しかしながら、現在のP2Pサービスが構成する分散ネットワークは必ずしも実ネットワークのトポロジーを考慮しておらず、物理ネットワークの状況によって品質に大きな影響が出る可能性がある。そこで本研究では、物理ネットワークを考慮した分散ネットワークトポロジーの構築手法を提案する。まず、P2Pサービスの論理ネットワーク構築のためのパラメータについて、トラヒック計測よりその特性を明らかにし、適切なパラメータ導出法を示す。また、サービス中に発生する制御トラヒックについても考察し、パラメータによる影響を明らかにする。さらに、物理ネットワーク計測にもとづくピア選択手法を新たに提案し、シミュレーションおよび実測評価を用いてその有効性を検証する。
著者
ライプニッツ 賢治 若宮 直紀 村田 正幸
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.60, pp.371-376, 2005-06-10
参考文献数
11

本稿では,クラスタ型センサネットワークにおけるIEEE 802.15.4 MAC層プロトコルの解析モデルを提案している.まず,クラスタメンバが同時にクラスタヘッドに通信する環境における遅延時間分布を解析的に導出している.次に,センサ端末間の同期ずれが総遅延に与える影響について検討し,同期ずれによって衝突を回避されることを示す.最後に,クラスタメンバをいくつかのサブクラスタに分割し,送信タイミングを制御することにより,転送遅延や送信成功率を高めることのできる手法について述べる.In this paper we propose an analytical model for IEEE 802.15.4 in a clustered sensor network environment. We investigate the timing delay, when all nodes transmit synchronously and derive the distribution of the transmission time for the cluster members to the cluster head. Further, we study the effects of clock skewness from each sensor node on the total delay and show how time margins can be easily found to avoid collisions from different rounds. Finally, we discuss the possibility of scheduling logical subclusters in order to improve the performance regarding transmission time and success rate.
著者
村田 正幸 小南 大智 荒川 伸一 津留 三良
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究では、まずSDI環境において適応性を向上するゆらぎ型VN制御手法を開発した。次に、生物学実験結果にもとづき、SDI 環境における進化可能性を高める物理NW基盤設計手法を確立した。SDI 環境における進化可能性とは、ゆらぎ型VN制御手法で用いる制御行列が、その変異を伴って新しいVN配置を発見できる能力である。これにより、ある時刻にゆらぎ型制御手法が有する制御行列では適応困難な環境変動が生じた際にも、制御行列の再構成によって新たな環境に適した制御行列への進化が可能となる。評価により、資源増強によりVN 候補の多様性が増し、より多様な環境変動への適応可能性を持つことを明らかにした。
著者
若宮 直紀 村田 正幸 宮原 秀夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SSE, 交換システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.428, pp.79-84, 1999-11-15
被引用文献数
5

通信品質保証のないインターネットにおいては,高品質な通信を求めるデータ系アプリケーションはTCPを,高速な通信を求める実時間型アプリケーションはUDPをそれぞれ利用するため,ネットワークにはTCP,UDPの異なるプロトコルが存在している.そのようなネットワークにおいては,動画像通信に代表されるマルチメディアアプリケーションの生成する大量のトラヒックがUDPによりなんの制御も行なわれないまま転送されるため,輻輳制御を行なうTCPの使用帯域を圧迫し極端な品質劣化を招く. そこで,本稿ではTCPと公平な動画像転送を実現するため,TCP-friendlyの概念を導入したレート制御を対象に,動画像転送への適用可能性や効果的な制御手法について検討した.動画像の品質を保ちつつ,TCPと公平な通信を実現するレート制御を行なうためには,(1)制御間隔を適切に設定し,(2)ネットワークの状態を推測し,(3)TCPのスループットを推定して(4)動画像データの生成レートを調整しなければならない.シミュレーションによる評価により,動画像をRTTの約32倍の制御間隔でTCPの推定レートにあわせてMPEG-2イントラスライス符号化して送出すれば,TCPとの公平性を実現しつつ,高品質な動画像転送が可能であることを明らかにした.
著者
上村 純平 若宮 直紀 村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.689, pp.31-36, 2004-02-26

センサネットワークにより長期間の観測を行うためには,電力効率のよい情報収集機構が必要不可欠である.センサ端末は主として情報の検出,送信,受信で電力を消費する.特に情報送信の消費電力は通信距離の2乗に比例するため,近接するセンサ端末でクラスタを構成し,クラスタヘッドと呼ばれる代表がクラスタに属するセンサの情報を集約して基地局に情報を送信する,クラスタベースの情報収集機構が有効である.LEACHでは,クラスタメンバからの情報受信および基地局への情報送信による電力消費の大きさを考慮して,クラスタヘッドを交代制にすることにより,センサネットワークの長寿命化を図っている.しかしながら,センサ端末間の残余電力の差異を考慮していない,クラスタ形成に際して領域全体へのブロードキャストが必要であるなど,端末種別や導入時期によって残余電力の異なる多数のセンサ端末からなるセンサネットワークでは効率的な情報収集が行えない.そこで,本稿では,局所的な情報交換にもとづいてセンサ端末が自律分散的に適切なクラスタを構成するクラスタリング手法を提案する.シミュレーションによる評価を通して,クラスタベースの情報収集機構のひとつであるLEACHと比較して,残余電力が均一な場合とばらつきがある場合の両方において,提案手法がより長期間に渡り,多数のセンサから情報収集を行えることを示している.
著者
津川 知朗 長谷川 剛 村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.658, pp.1-6, 2005-02-10
被引用文献数
2

本稿では, データ転送のためのパケット以外に計測用パケットを必要としないインラインネットワーク計測によって得られる計測結果を用いて, 従来のTCPよりも優先度の低いデータ転送を実現する新たなバックグラウンド転送方式を提案する.具体的には, 送信ホストと受信ホスト間のネットワークパスの利用可能帯域に関する情報をインライン計測によって取得し, その計測結果を基に送信側TCPが持つ輻輳ウィンドウサイズの上限値を動的に設定する.ネットワーク状態を高い精度で推測して輻輳制御を行うことによって, 従来提案されてきたラウンドトリップ時間を指標として早期にネットワーク輻輳を検知する方式とは異なり, 輻輳を発生させることなくバックグラウンド転送を行うことができる.シミュレーションによる性能評価を通して, 提案方式がフォアグラウンドトラヒックへの影響度や帯域の利用率に関して従来のバックグラウンド転送方式よりも優れた性質を持つことを示す.
著者
長谷川 剛 村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NS, ネットワークシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.39, pp.1-6, 2010-05-13
被引用文献数
1

オーバレイネットワークにおけるネットワーク性能の計測においては、複数のオーバレイ経路における計測競合が原因となって発生する、計測精度の低下やネットワーク負荷の増大が問題となる。我々の研究グループにおいて、計測競合を削減するための方式として、2つのオーバレイノード間の経路上に他のオーバレイノードが存在する場合に、その経路の計測を行わず、部分経路の計測結果を統合することによって全体経路の計測結果を推定する、計測結果統合手法を提案している。本稿では、計測結果統合手法の精度評価を、PlanetLab環境における計測結果を用いて行った結果を示す。評価結果より、遅延時間、パケット廃棄率およびTCPスループット理論値について、推定手法により高い精度で全体経路の計測結果を推定することができることが明らかとなった。また、中間オーバレイノードの負荷が原因となり、計測そのものや推定精度が悪化する場合があることもわかった。
著者
藤田 靖征 村田 正幸 宮原 秀夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B, 通信 (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.82, no.3, pp.347-357, 1999-03-25
被引用文献数
11

近年インターネットユーザ数の急伸やマルチメディア化の進展により, インターネットプロバイダはインフラ整備の対応に追われている.品質の高いネットワークシステムを構築するためには, ネットワーク特性やWebサーバ特性を十分に把握したうえで, システム資源をバランス良く配備し, ボトルネックを解消していくことが重要である.本論文では,そのためにWebサーバに着目し,そのモデル化と性能評価を行う.まず, Webサーバの処理性能に関する基礎データをベンチマークによって収集した結果を示し, 特にWebサーバに対して要求されたドキュメントサイズがWebサーバの処理能力に与える影響を明らかにしている. 更に, 実験結果に基づいてWebサーバモデルを提案し, その妥当性の検証を行うとともにWebサーバの性能を明らかにしている.
著者
多田 知正 今瀬 真 村田 正幸
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J95-B, no.4, pp.534-546, 2012-04-01

本研究では地理的に離れたデータセンタ間の負荷分散により消費電力を削減することを考え,特にネットワークの消費電力を考慮することの有効性について調べる.近年,サーバやネットワーク機器における電力比例性(energy proportionality)という性質が注目されている.消費電力の観点から負荷分散手法を適切に評価するには,電力比例性について考慮することが必要である.電力比例性が低ければ,消費電力は負荷の増減によってほとんど変化しないため,負荷分散による消費電力削減の効果は小さくなる.現在はサーバやネットワーク機器の電力比例性は低いが,今後の技術開発により向上することが予想され,それにより消費電力を考慮した負荷分散の有効性も向上すると考えられる.本研究ではこれまでの省電力技術の動向を踏まえてそれぞれの機器の電力比例性を設定して計算を行うことにより,現在及び将来においてネットワークの消費電力を考慮してデータセンタ間の負荷分散を行うことの有効性について評価を行った.
著者
長谷川 剛 村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CQ, コミュニケーションクオリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.121, pp.29-34, 2009-07-02

インターネットにおいて標準的に用いられているトランスポート層プロトコルであるTransmission Control Protocol(TCP)は、多様なネットワーク環境において安定的に通信を行なうことができるプロトコルであるが、各種ネットワーク環境における性能最適化の面では未解決の問題が多く残されている。本稿では、特に無線ネットワーク技術によるアクセスネットワーク環境に着目し、無線ネットワークの様々な特性に対応するためのトランスポートプロトコルの改善手法について、近年の研究動向や著者を含む研究グループでの研究内容について述べる。特に、受信側TCPの改良によって達成される、TCPスループットの向上、および公平性の改善手法に関して議論する。
著者
高野 知佐 会田 雅樹 村田 正幸 今瀬 真
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.449, pp.301-306, 2010-02-25
参考文献数
19

ネットワークの局所的な状態情報しか分からない環境において,ネットワーク全体を適切に動作させるネットワーク制御技術を設計するために,我々は近接作用の考え方に基づく偏微分方程式を利用した自律分散制御のフレームワークを提案し,それに基づく具体的な制御方式を検討してきた.これまで,ネットワークの自律的な負荷分散のような平滑化効果を実現する為に,拡散方程式に基づく制御を考え,フロー制御への応用による輻輳回避の効果などを確認してきた.本稿では,拡散現象のくりこみ変換と逆拡散によるドリフトを考えることで,平滑化効果を実現する従来の自律分散制御に加え,有限の空間的広がりを維持するように動作する新しいタイプの自律分散制御の実現可能性を議論する.更に,アドホックネットワークの自律分散クラスタリング技術を対象にシステム構成要素が自律分散的に周囲の局所的状況に適応しつつ,システム全体として有限サイズの構造を生み出す技術の実現法について考察し,アドホックネットワークの自律分散クラスタリング技術に応用する方式を提案する.
著者
村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会誌 (ISSN:09135693)
巻号頁・発行日
vol.81, no.4, pp.362-370, 1998-04-25
被引用文献数
10

ATM技術の進展に伴い, マルチメディアの通信品質に関する研究がこれまで盛んに行われてきた.一方, インターネットにおいてはコンピュータ会議システムやインターネット電話などの実時間アプリケーションが既に利用されつつあるが, その品質が問題になっている.本稿では, まず, 現在のインターネットで用いられているベストエフォート型サービスについて説明し, その問題点を明らかにする.次にネットワークが通信品質(QoS)を保証するために必要な機構を述べる.最後に今後の課題として, 通信品質を保証するためにエンドシステム(コンピュータ)も含めたQoSアーキテクチャが必要であることを述べる.
著者
藤本 康平 阿多 信吾 村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.208, pp.41-48, 2000-07-17
被引用文献数
15

インターネットアプリケーションにおける重要な通信品質特性としてパケット転送遅延が挙げられる。特に、TCPやストリーミングアプリケーションにおいて通信品質を考慮した転送を行なうには、パケット転送遅延時間の予測が必要であり、特に遅延分布のすその部分の特性を明らかにすることが重要となる。本稿では、まず測定ツールを用いてパケット転送遅延を計測し確率分布関数による分布のモデル化を行う。分析では、特に分布のすその部分に着目し、時間帯や計測期間による遅延特性の変化も明らかにする。その結果、ネットワークが混雑している時にはパレート分布、ネットワークが空いている時には対数正規分布が最適なモデルであることを示す。さらに、長時間の計測において発生しうる経路変更による遅延特性への影響について明らかにする。
著者
上村 純平 若宮 直紀 村田 正幸
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. IN, 情報ネットワーク (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.691, pp.31-36, 2004-02-26
被引用文献数
1

センサネットワークにより長期間の観測を行うためには,電力効率のよい情報収集機構が必要不可欠である.センサ端末は主として情報の検出,送信,受信で電力を消費する.特に情報送信の消費電力は通信距離の2乗に比例するため,近接するセンサ端末でクラスタを構成し,クラスタヘッドと呼ばれる代表がクラスタに属するセンサの情報を集約して基地局に情報を送信する,クラスタベースの情報収集機構が有効である.LEACHでは,クラスタメンバからの情報受信および基地局への情報送信による電力消費の大きさを考慮して,クラスタヘッドを交代制にすることにより,センサネットワークの長寿命化を図っている.しかしながら,センサ端末間の残余電力の差異を考慮していない,クラスタ形成に際して領域全体へのブロードキャストが必要であるなど,端末種別や導入時期によって残余電力の異なる多数のセンサ端末からなるセンサネットワークでは効率的な情報収集が行えない.そこで,本稿では,局所的な情報交換にもとづいてセンサ端末が自律分散的に適切なクラスタを構成するクラスタリング手法を提案する.シミュレーションによる評価を通して,クラスタベースの情報収集機構のひとつであるLEACHと比較して,残余電力が均一な場合とばらつきがある場合の両方において,提案手法がより長期間に渡り,多数のセンサから情報収集を行えることを示している.