著者
黒田 玲子 大久保 靖司
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

個人の体内時計と社会的スケジュールの不一致によって生じる睡眠時間帯のずれによる社会的時差ボケ(Social jetlag)は、朝型夜型(Chronotype)の違いを調整しても様々な健康影響と関連があるかどうか検討した。まず、質問紙法でのSocial jetlagは高い再現性・妥当性を確認できた。また、Social jetlagの大小と、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症、肥満有病率の関連は、U次型の曲線を示すことがわかった。抑うつ症状(K6>=5点)は、Social jetlagが大きい群で有症率が高かった。産業保健分野で社会的時差ボケの認知の重要性と予防対策の必要性を示唆することができた。
著者
藤野 善久 高橋 直樹 横川 智子 茅嶋 康太郎 立石 清一郎 安部 治彦 大久保 靖司 森 晃爾
出版者
公益社団法人 日本産業衛生学会
雑誌
産業衛生学雑誌 (ISSN:13410725)
巻号頁・発行日
vol.54, no.6, pp.267-275, 2012-12-20 (Released:2012-12-12)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

目的:産業医が実施する就業措置について,適用範囲,内容,判断基準など共通の認識が存在しているとは言えない.本研究では,現在実施されている就業措置の実態から,就業措置の文脈の類型化を試みた.方法:就業措置の文脈を発見するために,インタビューとフォーカスグループディスカッション(FGD)を実施した.インタビューは開業コンサルタントの医師6名に行った.またFGDは計6回,19名の医師が参加した.インタビューおよびFGDのスクリプトをコード化し,就業措置の類型化の原案作成を行った.つづいて,これら類型化の外的妥当性を検証するために,産業医にアンケートを実施し,就業措置事例を収集し,提示した類型への適合性を検証した.結果:インタビューおよびFGDのスクリプト分析から4つの類型が示唆された(類型1:就業が疾病経過に影響を与える場合の配慮,類型2:事故・公衆災害リスクの予防,類型3:健康管理(保健指導・受診勧奨),類型4:企業・職場への注意喚起・コミュニケーション).また,産業医アンケートで収集した48の措置事例はすべて提示した4つの類型のいずれかに分類可能であった.また,この4類型に該当しない事例はなかった.収集した事例から,類型5:適性判断を加え,本研究では最終的に,産業医が実施する就業措置として5類型を提示した.考察:現在,産業医が実施する就業措置は,複数の文脈で実施されていることが明らかとなった.ここで提示した5類型では,医師,労働者,企業が担うリスクの責任や判断の主体が異なる.このように就業措置の文脈を明示的に確認することは,関係者間での合意形成を促すと考えられる.