著者
市岡 秀俊 安東一真 大久保英嗣 津田 孝夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.32, no.11, pp.1401-1411, 1991-11-15
被引用文献数
1

われわれは オブジェクト指向オペレーティングシステムOzoneの開発を進めているOzoneプロジェクトの目標は オブジェクト指向に基づくオペレーティングシステムの構成法を確立することであるこれは 従来のオペレーティングシステムにおいては モジュール分割の基準がなく その構造モデルが明確でないことによるOzoneにおけるオブジェクト指向は次の点に要約されるすなわち システム構成要素の一様なメッセージの受渡しと システムのクラス階層による構造化である一様棟なそして統一されたインタフェースを使用することによって アプリケーションプログラムのみならずシステム自体の移植性や保守性が大幅に向上するまた システム構成要素をクラス化し 継承を利用することによって 再利用可能なソフトウェアが自然に推進されることになるさらに 動的結合により 構成要素内のアルゴリズム(メソッド)の動的な置き換え(あるいは選択)が可能となる現在 Ozoneのプロトタイプシステムが完成している本論文では Ozoneのプロトタイピングで得られた知見について述べるさらにOzoneのプロセス管理について詳述する
著者
大久保英嗣 津田 孝夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.59-65, 1984-01-15

本論文では 各次元でキーを有する多次元データを 1次元のアドレス空間へ写像する順序保存関数を提案する.提案する関数は 線形なハッシュ関数を基本としており 分布依存ハッシュ関数のクラスに属している.本論文では まず 提案するハッシュ関数の諸性質について議論する.次に 関係データベースにおける代表的な関係代数演算であるジョイン操作へ適用する場合の方法について述べる.最後に 実験結果を示し 本ハッシュ関数の有効性について考察する.
著者
鈴来 和久 一柳 淑美 毛利 公一 大久保英嗣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌コンピューティングシステム(ACS) (ISSN:18827829)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.1-15, 2006-03-15
参考文献数
17
被引用文献数
9

我々は,個人情報をはじめとするプライバシデータの漏洩を防ぐOS Salvia を開発している.プライバシデータは,データ提供者とデータ管理者の合意に基づいて取り扱う必要がある.そのため,Salvia ではプライバシデータを含むファイルの保護方法をデータ保護ポリシとして記述可能としている.データ保護ポリシには,従来のファイルの読み出し,書き込み,実行の権限設定に加えて,アクセス制限を課するための条件として,ファイルアクセスが発生した際の状況を示すコンテキストを記述できる.これによって従来のOS よりも細かく,かつTrusted OS よりも柔軟な,プライバシデータに適したアクセス制御を実現できる.すなわち,Salvia は,データ保護ポリシが定義されたファイルにアクセスを試みたプロセスのアクセス要求のみをコンテキストに適応して制御可能としている.本論文では,Salvia の設計と実装について述べるとともに,データ保護が可能であることを実証的に示す.We have been developing a privacy-aware operating system Salvia that prevents the privacydata such as personal information from leaking. It is necessary to manipulate the privacydata based on a mutual agreement between the data owner and the data administrator. InSalvia, in order to realize such an agreement, the protection methods of files that include the privacy data can be described as the data protection policies. In addition to the conventional permissions (read/write/execution), the context that shows the situation when the file access is generated can be described in the data protection policies. In Salvia, by enforcing these policies, the access control that is more detailed than the conventional operating systems and is also more flexible than the trusted operating systems can be achieved. Namely, by adapting to the context, Salvia is enabled only for the access request of the processes that have tried to access to the file associated with the data protection policies. In this paper, the design and implementation of Salvia is described, and also confirmed the effectiveness of Salvia's context-aware data protection method by practical examples.
著者
國枝 和雄 各務 達人 大久保英嗣 津田 孝夫
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.1185-1199, 1994-06-15
参考文献数
12
被引用文献数
2

本諭文では、分散トランザクションシステムIXIの設計と実現について述べる。IXIは分散アプリケーションの構築のためのプラットフォームである。すなわち、IXIは、分散アプリケーションの開発コストを軽減することを目的としている。分散トランザクションシステムとしては、Cammelot/Avalon,Argus,ISISなどがすでに開発されている。しかし、これらのシステムでは、(1)トランザクション処理に関する一貫性が強い一貫性(robust consistency)に限られる、(2)障害発生時に、システムが回復するまでサービスが停止する、などの問題点がある。そこで、IXIでは、(1)弱い一貫性(weak consistency)に基づく入れ子型トランザクションの実行機能、(2)代行プロセス機能とロギング機能、によってこれらの問題点を解決した。これによって、IXIでは処理効率・柔軟性、信頼性のいずれの点においても優れたアプリケーション構築プラットフォームを実現することができた。プログラマはIXIの提供するC言語ライブラリを用いてクライアントサーバ型のプログラムを記述することによって、分散アプリケーションを容易に構築することができる。本諭文では、IXIを構成する各部の処理の概要と特徴について説明した後、既存のトランザクションシステムと機能此較することによってその有効性を示す。