- 著者
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大井 万紀人
- 出版者
- 専修大学自然科学研究所
- 雑誌
- 専修自然科学紀要 (ISSN:03865827)
- 巻号頁・発行日
- vol.52, pp.25-37, 2021-03-05
ケプラーの法則はニュートンによって説明されたが,重力の法則だけではケプラーの法則を説明することはできない。慣性の法則,および運動を2つの自由度に分解するという考え方も必要で,これらはガリレオが解明した事柄である。ガリレオとケプラーは,ルネサンス期を生きた同時代の研究者であるから,もし二人が共同で研究を行なっていたら素晴らしい発展が得られたのではないかと想像する人は多いはずである。実際,ケプラーとガリレオの間には手紙のやり取りによる交流があった。しかし,科学的な情報交換は行われず,共同研究に発展することはなかった。ガリレオとケプラーの間の科学的な意思疎通がどうしてうまくいかなかったのを科学史の観点から解き明かすことを最終的な目標として,この論文を起点に二人に関わる科学史を複数回に分けて考察していきたい。まず,今回はガリレオとケプラーの研究スタイルとの相違点について概観し,比較する。