著者
大八木 敏弘 堀内 久子 藤本 蓮風
出版者
公益社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.507-512, 2001-08-01 (Released:2011-03-18)
参考文献数
16

鍼灸治療における清熱解毒の鍼法は、一般的には曲池、委中、大椎、合谷、内庭、手足の井穴などの刺鍼又は刺絡などで対応する。北辰会の清熱解毒に対する刺鍼法は、藤本北辰会代表が『外台秘要方』の黄連解毒湯、『素問』刺熱篇などからヒントを得て考案したものである。その配穴は、霊台、両督兪と脊中、両脾兪に横刺をする。この組み合わせ配穴は、気分の種々の熱性疾患に対して清熱解毒作用が顕著に得られる。このことを11症例から検証し、これらの異病同治の症例から清熱解毒刺鍼法の治効範囲を確認した。
著者
大八木 敏弘 西川 順子 大沢 正秀
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.708-717, 2010 (Released:2010-10-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1

線維筋痛症と診断された患者に対して,四診により証を明確にして鍼治療のみを行い,胸背部の疼痛,発熱,不眠症状の軽減とQOLの改善をもたらすことができた。症例は35歳女性。仕事上の精神的,肉体的ストレスが持続した後,胸背部の疼痛及び発熱が発症し入院するが,精密検査では異常はみられず経過観察となった。次第に痛みが激しくなり,大学病院で線維筋痛症と診断されたが,東洋医学的治療を希望し当院を受診した。肝鬱気滞,気滞血瘀,気鬱傷陰と弁証し神道穴及び照海穴の少数配穴による鍼治療を行った。痛みは37診以降には3割程度になり,発熱も消失し,91診時には痛みは気にならない程度になった。Fibromyalgia Impact Questionnaireは初診時の78から17カ月後の82診時には23に改善され,線維筋痛症に対して鍼治療のみで著効を得ることができた。