著者
西川 順子
出版者
一般社団法人 社会情報学会
雑誌
社会情報学 (ISSN:21872775)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.1-16, 2022-06-30 (Released:2022-08-30)
参考文献数
26

世界各国の政府機関や大使館がソーシャルネットワーキングサービス(SNS)アカウントを持ち,オンラインのコミュニケーション活動を行っている。ソーシャルメディアの活用は外交の今日的な課題の1つであるが,諸外国による日本社会に向けたオンライン・コミュニケーションの研究は,本質的な議論を進めるに十分な蓄積がされていない。本研究の目的は,日本が承認する195ヵ国のうち東京に大使館を置く156カ国を対象として,諸外国による日本社会に向けたソーシャルメディア活用の実態を駐日大使館のSNSアカウント運用の比較分析から明らかにすることである。まず156カ国の駐日大使館についてTwitterとFacebookのアカウント開設の有無を調査し,119カ国によるTwitterアカウント89件とFacebookページ99件を特定した。そしてソーシャルメディアの黎明期に始まるそれら駐日大使館のアカウント開設の推移を概観する。さらにTwitterについて,各アカウントの総フォロワー数とツイート数およびツイートに使用する言語の分析を行い,月ごとの平均フォロワー増加数と平均ツイート数の相関,使用言語の観点から散布図に示し比較を行った。本研究により,駐日大使館を設置する国の4分の3以上がソーシャルメディア上にも存在することが明らかになった。また,日本の人々に向けたコミュニケーションを行うパブリック・ディプロマシーのツールとしてソーシャルメディアを活用する国は限られることがわかった。さらに,欧米主要国と中規模・小規模国でも日本語でツイートする国は比較的戦略的にアカウントを運用していると考えられる。
著者
大八木 敏弘 西川 順子 大沢 正秀
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.61, no.5, pp.708-717, 2010 (Released:2010-10-30)
参考文献数
20
被引用文献数
1

線維筋痛症と診断された患者に対して,四診により証を明確にして鍼治療のみを行い,胸背部の疼痛,発熱,不眠症状の軽減とQOLの改善をもたらすことができた。症例は35歳女性。仕事上の精神的,肉体的ストレスが持続した後,胸背部の疼痛及び発熱が発症し入院するが,精密検査では異常はみられず経過観察となった。次第に痛みが激しくなり,大学病院で線維筋痛症と診断されたが,東洋医学的治療を希望し当院を受診した。肝鬱気滞,気滞血瘀,気鬱傷陰と弁証し神道穴及び照海穴の少数配穴による鍼治療を行った。痛みは37診以降には3割程度になり,発熱も消失し,91診時には痛みは気にならない程度になった。Fibromyalgia Impact Questionnaireは初診時の78から17カ月後の82診時には23に改善され,線維筋痛症に対して鍼治療のみで著効を得ることができた。