著者
山森 光陽 徳岡 大 萩原 康仁 大内 善広 中本 敬子 磯田 貴道
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.297-316, 2021-09-30 (Released:2021-11-16)
参考文献数
48
被引用文献数
4

クラスサイズ及び目標の提示と達成状況のフィードバックの頻度による,小学校第4, 5学年の2年間にわたる社会科の学力の変化の違いを検討した。第4, 5, 6学年開始前後の標準学力検査の結果を児童個別に結合したパネルデータに,第4, 5学年時のクラスサイズ,目標の提示と達成状況のフィードバックの頻度を連結したパネルデータのうち,第4, 5学年間で学年学級数の変動が起こらなかった50校,1,672名の児童を分析対象とした。第4学年,第5学年の各1年間,第4, 5学年の2年間の,過去と後続の学力の違いに対するクラスサイズ,目標の提示と達成状況のフィードバックの頻度,及びこれらの交互作用の影響を,児童,クラス,学校の3レベルを仮定したマルチレベルモデルによる分析を行った。その結果,第4, 5学年の2年間で見ると,在籍したクラスのサイズが小さく,かつ目標の提示と達成状況のフィードバックの頻度が高い学級担任による指導を受け続けた場合,過去の学力が相対的に低い児童については,これ以外の場合の児童と比べて後続の学力が高いことが示唆された。
著者
山森 光陽 伊藤 崇 中本 敬子 萩原 康仁 徳岡 大 大内 善広
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.501-510, 2018-03-01 (Released:2018-03-16)
参考文献数
16

児童の授業参加や課題従事行動を,観察対象学級の児童全員について即時的・経時的に把握するために,身体の揺れ,すなわち身体が1秒間に繰り返し運動する回数(周波数)を指標とすることが有効と考えられる.本研究は,授業参加や課題従事行動を加速度計で計測された3軸加速度から求めた周波数で把握できるようにするために,授業中の児童の様々な行動と,それらの行動に伴う身体の揺れの周波数との対応を示すことを目的として実施された.小学校第3,5学年を対象に授業を模した活動を実施し,一般的な授業に近い形で様々な行動を起こさせ,各々の動きに伴う身体の揺れを加速度計で即時的・経時的に計測し,それらの周波数を求めた.行動の種別ごとに,各々の児童がとり得る周波数の最大値の範囲を一般化極値分布に当てはめて検討した結果,当該行動をとっているかを判断するための周波数の範囲が示された.さらに,課題従事とは見なせない児童の行動の周波数はほぼ0Hz であるか2.5Hz を上回るかのいずれかになることも示唆された.
著者
山森 光陽 伊藤 崇 中本 敬子 萩原 康仁 徳岡 大 大内 善広
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.501-510, 2018

<p>児童の授業参加や課題従事行動を,観察対象学級の児童全員について即時的・経時的に把握するために,身体の揺れ,すなわち身体が1秒間に繰り返し運動する回数(周波数)を指標とすることが有効と考えられる.本研究は,授業参加や課題従事行動を加速度計で計測された3軸加速度から求めた周波数で把握できるようにするために,授業中の児童の様々な行動と,それらの行動に伴う身体の揺れの周波数との対応を示すことを目的として実施された.小学校第3,5学年を対象に授業を模した活動を実施し,一般的な授業に近い形で様々な行動を起こさせ,各々の動きに伴う身体の揺れを加速度計で即時的・経時的に計測し,それらの周波数を求めた.行動の種別ごとに,各々の児童がとり得る周波数の最大値の範囲を一般化極値分布に当てはめて検討した結果,当該行動をとっているかを判断するための周波数の範囲が示された.さらに,課題従事とは見なせない児童の行動の周波数はほぼ0Hz であるか2.5Hz を上回るかのいずれかになることも示唆された.</p>