著者
井川 純一 徳岡 大 五百竹 亮丞 中西 大輔
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.95.22052, (Released:2023-12-25)
参考文献数
34

This study conducted a three-wave panel survey concerning subjective rewards as a factor that inhibits caregiver turnover (T1 [N = 1,087]), T2 [N = 690], and T3 [N = 546]). A longitudinal logistic regression analysis was conducted using the Subjective Rewards Scale for Human Service Professionals (SRS-HS), which uses the five factors of financial, growth, social, interpersonal, and stability as independent variables and the presence or absence of job turnover in the subsequent year as the dependent variable. In addition, we conducted a cross-sectional analysis that categorized turnovers into workplace or occupational turnovers. The regression analysis revealed that turnover among caregivers was prevented by hygiene factors such as financial and stability rewards. Furthermore, stability, interpersonal, and growth rewards, which showed relatively high levels, indicate the positive aspects of caregiver work and should be actively publicized to increase human resources.
著者
藤川 真子 横田 晋大 徳岡 大 中西 大輔
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.94.22334, (Released:2023-10-31)
参考文献数
19

We replicated the experiment reported by Eriksson and Coultas (2009) to examine conformity bias. Conformity bias refers to the imitation behavior that most group members adopt with the probability exceeding the ratio of employment by the members in deciding their behavior. Previous studies have examined whether conformity bias can be observed in an information-seeking situation with high uncertainty. Eriksson and Coultas (2009) found no conformity bias using quizzes in which the answers were not objectively fixed as correct or incorrect (e.g., belief, preference, and norm). We replicated their experiment using questions with fixed answers. In this study (N = 120), after participants answered “yes/no” to 14 questions, they were informed of the four patterns of the distribution of the other nine participants’ responses (9, 6, 3, 0 participants said “yes”). Then, participants completed the same questions again. The results showed that conformity bias was observed. We discuss the inconsistency of the results between the previous study and our study.
著者
山森 光陽 徳岡 大 萩原 康仁 大内 善広 中本 敬子 磯田 貴道
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.69, no.3, pp.297-316, 2021-09-30 (Released:2021-11-16)
参考文献数
48
被引用文献数
4

クラスサイズ及び目標の提示と達成状況のフィードバックの頻度による,小学校第4, 5学年の2年間にわたる社会科の学力の変化の違いを検討した。第4, 5, 6学年開始前後の標準学力検査の結果を児童個別に結合したパネルデータに,第4, 5学年時のクラスサイズ,目標の提示と達成状況のフィードバックの頻度を連結したパネルデータのうち,第4, 5学年間で学年学級数の変動が起こらなかった50校,1,672名の児童を分析対象とした。第4学年,第5学年の各1年間,第4, 5学年の2年間の,過去と後続の学力の違いに対するクラスサイズ,目標の提示と達成状況のフィードバックの頻度,及びこれらの交互作用の影響を,児童,クラス,学校の3レベルを仮定したマルチレベルモデルによる分析を行った。その結果,第4, 5学年の2年間で見ると,在籍したクラスのサイズが小さく,かつ目標の提示と達成状況のフィードバックの頻度が高い学級担任による指導を受け続けた場合,過去の学力が相対的に低い児童については,これ以外の場合の児童と比べて後続の学力が高いことが示唆された。
著者
徳岡 大 佐藤 深雪 森田 愛子
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
pp.27.1.7, (Released:2018-05-18)
参考文献数
4

This study aimed to demonstrate experimentally that other-oriented motivation increases the amount of work. We reproduced a scene in which college students participate in part-time work in the laboratory and examined whether other-oriented motivation would lead to an increase in the amount of work in part-time jobs outside the specified time using Bayesian estimation. Findings revealed that participants with conditions that evoked other-oriented motivation would engage in more overtime part-time work than would participants in the control condition. It was suggested that other-oriented motivation increases the amount of work.
著者
山森 光陽 伊藤 崇 中本 敬子 萩原 康仁 徳岡 大 大内 善広
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.501-510, 2018-03-01 (Released:2018-03-16)
参考文献数
16

児童の授業参加や課題従事行動を,観察対象学級の児童全員について即時的・経時的に把握するために,身体の揺れ,すなわち身体が1秒間に繰り返し運動する回数(周波数)を指標とすることが有効と考えられる.本研究は,授業参加や課題従事行動を加速度計で計測された3軸加速度から求めた周波数で把握できるようにするために,授業中の児童の様々な行動と,それらの行動に伴う身体の揺れの周波数との対応を示すことを目的として実施された.小学校第3,5学年を対象に授業を模した活動を実施し,一般的な授業に近い形で様々な行動を起こさせ,各々の動きに伴う身体の揺れを加速度計で即時的・経時的に計測し,それらの周波数を求めた.行動の種別ごとに,各々の児童がとり得る周波数の最大値の範囲を一般化極値分布に当てはめて検討した結果,当該行動をとっているかを判断するための周波数の範囲が示された.さらに,課題従事とは見なせない児童の行動の周波数はほぼ0Hz であるか2.5Hz を上回るかのいずれかになることも示唆された.
著者
徳岡 大 解良 優基
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.186-198, 2022-02-28 (Released:2022-02-28)
参考文献数
23

2×2達成目標モデルにおいて,課題要求の達成を目指す習得接近目標と,課題要求の達成失敗の回避を目指す習得回避目標は,行動指標のどのような側面に影響がみられるか明確でなかった。本研究の目的は,ウィスコンシンカード分類課題を用いて,習得回避目標の影響が,誤答後試行にのみ反応時間の遅延がみられるか明らかにすることであった。大学生および大学院生140名を対象に実験が実施された。達成目標は,教示によって習得回避目標,習得接近目標,遂行回避目標,統制の4条件が操作された。反応時間を従属変数とし,ex-Gaussian分布を仮定した一般化線形混合モデルによって,操作された達成目標と1試行前の正誤反応の及ぼす影響を検討した。その結果,習得回避目標条件においてのみ,1試行前が誤答だった場合に反応時間の遅れがみられ,習得接近目標条件,遂行目標条件および統制条件においてはこのような反応時間の遅れはみられなかった。
著者
越中 康治 目久田 純一 淡野 将太 徳岡 大
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 = Bulletin of Miyagi University of Education
巻号頁・発行日
no.54, pp.425-432, 2020-01-30

本研究の目的は,国民意識(国家的遺産への愛着,愛国心,国家主義,国際主義)と道徳教育均質化志向及び道徳の教科化に対する態度との関連について検討を行うことであった。教員を対象とした質問紙調査の結果,道徳教育均質化志向については,国家的遺産への愛着・愛国心・国家主義との間に正の相関,国際主義との間に負の相関がみられ,重回帰分析では国家的遺産への愛着から正の関連,国際主義から負の関連がみられた。また,道徳の教科化への賛意については,国家的遺産への愛着及び愛国心との間に正の相関がみられ,重回帰分析では国家的遺産への愛着から正の関連がみられた。これらの結果を踏まえ,国家的遺産への愛着が道徳教育均質化志向を媒介して道徳の教科化に対する態度に影響するかを検討するために間接効果の検定を行った結果,間接効果の有意性が確認された。すなわち,国家的遺産への愛着と道徳の教科化に対する賛意との関連性は,道徳教育均質化志向を介在させることによってよりよく説明された。
著者
山森 光陽 伊藤 崇 中本 敬子 萩原 康仁 徳岡 大 大内 善広
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.501-510, 2018

<p>児童の授業参加や課題従事行動を,観察対象学級の児童全員について即時的・経時的に把握するために,身体の揺れ,すなわち身体が1秒間に繰り返し運動する回数(周波数)を指標とすることが有効と考えられる.本研究は,授業参加や課題従事行動を加速度計で計測された3軸加速度から求めた周波数で把握できるようにするために,授業中の児童の様々な行動と,それらの行動に伴う身体の揺れの周波数との対応を示すことを目的として実施された.小学校第3,5学年を対象に授業を模した活動を実施し,一般的な授業に近い形で様々な行動を起こさせ,各々の動きに伴う身体の揺れを加速度計で即時的・経時的に計測し,それらの周波数を求めた.行動の種別ごとに,各々の児童がとり得る周波数の最大値の範囲を一般化極値分布に当てはめて検討した結果,当該行動をとっているかを判断するための周波数の範囲が示された.さらに,課題従事とは見なせない児童の行動の周波数はほぼ0Hz であるか2.5Hz を上回るかのいずれかになることも示唆された.</p>