著者
大北 葉子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第14回大会
巻号頁・発行日
pp.13, 2016 (Released:2016-10-17)

非漢字圏日本語学習者を対象に漢字正誤判断試験時の眼球運動、正答率、反応時間、空書行動の有無の関係を調べた。漢字一字ずつがパソコンモニターに表示され、被験者が正誤判断するまで刺激漢字はモニター上に表示された。刺激は、曖昧漢字、偽漢字、ハングル文字、部首倒置漢字、真漢字の5種類だった。曖昧漢字は日本語学習者の書き間違いを基にしていて、図形的にわずかな誤りのある字形である。偽漢字は部首と旁の組み合わせが存在しないもので、部首倒置漢字は部首と旁の位置を反転させている。ハングル文字と真漢字以外の正答率は個人差が大きかった。偽漢字と部首倒置漢字の回答率不良者は注視点数が少なく、眼球移動距離が短い、反応時間が短く、刺激間での注視点数、眼球移動距離、反応時間にあまり差がなく、空書がなかった。成績不良者は字形分析が不十分である可能性がある。空書は字形知識の内在化の指標になると考えられる。
著者
大北 葉子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, pp.86, 2013

本研究は空書と非漢字圏日本語学習者の漢字学習との関係を考察する。被験者は日本人9人と初級非漢字圏学習者9人であった。被験者はモニター画面上の視覚刺激が正しい漢字かどうかをキーボードを押して判断した。視覚刺激は五種類で、正しい漢字、曖昧漢字(図形的な間違いがある)、偽漢字(部首と旁の組み合わせが存在しない)、誤漢字(部首の場所が倒置されている)、ハングル文字であった。日本人2人と非漢字圏日本語学習者6人に空書が見られた。すべての被験者は漢字とハングル文字の区別ができた。空書なし3人の非漢字圏日本語学習者は漢字と漢字様刺激(曖昧漢字、偽漢字、誤漢字)の区別ができていなかった。これは空書なし非漢字圏学習者は漢字の細部構造に注意が払われていないことを示唆している。空書なし非漢字圏学習者は漢字練習時に単に書き写しているだけだったかもしれない。空書は漢字学習の内在化の深さの指標になるかもしれない。
著者
大北 葉子
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

非漢字圏日本語学習者を対象に漢字正誤判断試験時の眼球運動、正答率、反応時間、空書行動の有無の関係を調べた。漢字一字ずつがパソコンモニターに表示され、被験者が正誤判断するまで刺激漢字はモニター上に表示された。刺激は、曖昧漢字、偽漢字、ハングル文字、部首倒置漢字、真漢字の5種類だった。曖昧漢字は日本語学習者の書き間違いを基にしていて、図形的にわずかな誤りのある字形である。偽漢字は部首と旁の組み合わせが存在しないもので、部首倒置漢字は部首と旁の位置を反転させている。ハングル文字と真漢字以外の正答率は個人差が大きかった。偽漢字と部首倒置漢字の回答率不良者は注視点数が少なく、眼球移動距離が短い、反応時間が短く、刺激間での注視点数、眼球移動距離、反応時間にあまり差がなく、空書がなかった。成績不良者は字形分析が不十分である可能性がある。空書は字形知識の内在化の指標になると考えられる。