- 著者
-
大原 重洋
廣田 栄子
大原 朋美
- 出版者
- 一般社団法人 日本聴覚医学会
- 雑誌
- AUDIOLOGY JAPAN (ISSN:03038106)
- 巻号頁・発行日
- vol.65, no.2, pp.122-133, 2022-04-28 (Released:2022-05-24)
- 参考文献数
- 31
要旨: 聴覚音声モードにある中等度難聴幼児学童5名 (平均聴力レベル 61.1 ± 5.3dBHL) のナラティブ発達の特徴について, 高重度児5名 (97.2 ± 15.6dBHL) と比較して, マクロ, ミクロの構造を評価し, 関連する要因を検討した。 マクロ構造については, 中等度難聴児は29.2 ± 3.9%であり, 高重度群50 ± 12.1%より構成要素の使用率が少なく遅滞を示した。 ミクロ構造では, 結束性について難聴程度による差はなかったが, 中等度難聴群では, ナラティブを構成する異なり語彙数が少なかった (中等度 : 18 ± 4.9語, 高重度 : 31 ± 3語) 。 中等度難聴児のナラティブの遅滞に関連する要因として, 療育開始の遅れと, 養育者のコミュニケーションスキル要因に関与を認めた。 中等度難聴児では, 個別に発達を評価し, 必要に応じて養育者と連携して早期からコミュニケーション支援の体制を構成することの重要性が示唆された。