著者
木村 昭夫 留目 優子 大国 寿士 桜田 紳策 渡辺 ユキノ 倉田 潔 木村 壮介
出版者
Japanese Association for Acute Medicine
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.8, pp.332-335, 1998-08-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
11

近年,重症脳傷害に対する中等度低体温(32℃~34℃)の脳保護効果が注目されているが,この療法の際に,しばしば細菌感染症が惹起される。本論文では,この低体温下における単球の機能についてin vitroにて検討した。健常成人より得た末梢血から単核白血球を分離し,そのなかの単球の遊走能,貪食能および殺菌能を33℃並びに37℃で比較検討した。単球の遊走距離は,3時間において37℃では平均1.1mmであったのに対し,33℃では平均0.1mmであった。37℃では単球1個当たり貪食した酵母(Saccharomyces cerevisiae)数が2.3±2.1個であるのに対し,33℃では1.9±1.8個であった(p=0.017)。また貪食された後,発育してきたコロニー数は,37℃で(1.8±0.11)×106個,33℃では(2.4±0.17)×106個であった(p<0.0001)。遊走能,貪食能,殺菌能ともに33℃で低下しており,これらが低体温療法の際の易感染性に関与していることが示唆された。
著者
大国 寿士 紺野 洋 清水 紘明 木村 義民 馬杉 洋三
出版者
JAPANESE SOCIETY FOR BACTERIOLOGY
雑誌
日本細菌学雑誌 (ISSN:00214930)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.59-65, 1972

A群レンサ球菌5型菌(T5B株)より細胞壁分画を得,これをマウス腹腔に投与し,経時的にと殺して細胞壁成分の局在持続性につき螢光抗体法を用いて検討し,合わせて心臓における病理組織学的検討を行なつた。<br>その結果C-多糖体,ペプチドグリカンが共に45日以上にわたり肝・脾などの網内系ならびに心臓に局在し,とくにプロナーゼ処理細胞壁投与マウスにおいては10日目で,また未処置細胞壁投与マウスでは1ヵ月後に心筋に強い肉芽腫を形成しえた。そしてこれらの病変は,投与後2日目頃よりファイブロブラスト様の細胞が出現したこと,病変部位に抗体の証明ができなかつたこと,毛細管沈降反応の感度では血清抗体をチェックしえなかつたこと,などから恐らくは細胞壁,とくにC-多糖体・ペプチドグリカン複合体のもつ生物活性に基づく直接的な作用により惹起されたものと推定した。