著者
飯島 勇人 大地 純平
出版者
日本哺乳類学会
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.145-149, 2016 (Released:2017-02-07)
参考文献数
13

野生ニホンジカ(Cervus nippon)の誘引に適した餌を明らかにするために,山梨県森林総合研究所実験林内にアルファルファ(乾燥牧草),チモシー(乾燥牧草),ヘイキューブ(アルファルファを粉砕圧縮したもの),配合飼料を設置し,自動撮影カメラによって最初に摂食される餌の回数を,季節ごとに調査した.多項ロジットモデルによる解析の結果,季節を問わずアルファルファの摂食回数が最も多く,次いで配合飼料,ヘイキューブ,チモシーの順であった.チモシーは,摂食される回数が特に少なかった.また,配合飼料は他の動物が摂食することがあった.以上の結果から,野生ニホンジカの誘引にはアルファルファが適していると考えられた.
著者
大地 純平
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.126, 2015

ニホンジカの捕獲法は様々な方法が考案されており、それぞれに一長一短がある。本研究では、①誰でも容易に設置・運用が可能な事、②資材の確保が容易な事、③効率的な捕獲が可能な事の三点に注目し、「市販資材を用いた簡易囲い罠によるニホンジカ誘引捕獲」について研究を行った。囲い罠資材はホームセンターや建築資材店等で購入可能な単管パイプ、落下防止ネットなどを用いて、10万円以下の資金で構築できるように設計した。また、オプションとして150m程度離れた場所から監視、ゲート閉鎖を行うことのできる遠隔監視装置を用意した。<br> 囲い罠を用いた誘引・捕獲試験は山梨県南アルプス市高尾の牧場採草地を利用して実施した。ニホンジカ誘引試験では、毎日~週二回(火曜日、金曜日)囲い罠内外にアルファルファを給餌し、採食の様子を自動撮影カメラで記録した。捕獲については、誘引個体数、馴致の様子を確認して適宜実施した。試験結果から、市販資材を用いた簡易囲い罠であっても、ニホンジカ捕獲に耐える十分な性能を確保できること、週二回程度の給餌であっても十分な誘引効果がある事を確認することが出来た。