- 著者
-
亀井 克之
八木 良太
大塚 寛樹
- 出版者
- 公益財団法人 損害保険事業総合研究所
- 雑誌
- 損害保険研究 (ISSN:02876337)
- 巻号頁・発行日
- vol.78, no.4, pp.189-219, 2017-02-25 (Released:2019-04-10)
- 参考文献数
- 19
リスク多発の現代においては,リスクマネジメント・危機管理がますます社会的に要請されるに至っている。これは,1916年に発表されたファヨールの論考から100年を経て,練り上げられてきたリスクマネジメントの考え方(フレームワーク)をさまざまな経済主体や事象にあてはめて,リスク・コントロールとリスク・ファイナンスを展開することを意味する。近年,筆者らは日本で急成長している音楽ライブ市場にリスクマネジメントのフレームワークをあてはめて研究を展開している。これは,①2020年の東京五輪開催を見据えたイベントのリスクマネジメントや②さまざまなエンタテインメント・ビジネスのリスクマネジメントを考える上で示唆を与えるものと考える。こうした研究の一環として,本稿では,まず,既存研究で試みてきたように,リスクマネジメントのフレームワークを音楽ライブ・ビジネスに適用して提示することを試みる。次に事例によって「音楽ライブ・ビジネスのリスクマネジメント」を考察する,具体的には,⒜日本の音楽ライブ市場で依然として大きな存在感を示す韓国ポップ(K-Pop)アーティストの事例分析と⒝2015年11月13日にフランス・パリの音楽ライブ劇場バタクランで発生した銃の乱射テロに関連してフランステロ犯罪被害者補償制度の事例分析を行なう。