著者
髙木 亨 田村 健太郎 大塚 隆弘 佐藤 竜也 佐藤 亮太 清水 康志 高橋 琢 吉池 隆 鳥海 真弘 浜田 大介
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.100235, 2012 (Released:2013-03-08)

東日本大震災を起因とする福島第一原子力発電所の事故は、福島県を中心に甚大なる放射性物質による汚染被害をあたえ、今なお多くの住民に避難を強いている。 今回の原子力災害では、県内をはじめ各地域で、避難「する」「しない」といった住民の「分断」が見られる。これは、住民間に対立を生み、地域コミュニティの崩壊を招く恐れがある。本研究では、このような分断を発生させる要因について、一つの集落での住民の避難行動を分析することによって明らかにし、「分断」の予防について検討することを大きな目的としている。今回の報告では、以前から交流のある福島県いわき市川前町高部地区を事例に、住民の原発事故発生直後の「避難する・しない」の判断をさせた要因について明らかにする。 高部地区は福島第一原子力発電所から半径30km圏のすぐ外側、31~32kmに位置しており、事故発生直後からその影響が心配された地区であった。事故発生当時はどの程度の放射能汚染があるかははっきりと把握できなかった。このため事故発生直後、高部地区外へ避難した住民と避難しなかった住民とに二分される結果となった。表1は事故発生直後に避難した住民への聞き取り調査結果である。避難先は、福島第一原子力発電所から遠いところであり、遠方にいる親戚や子息を頼って避難している。避難理由は様々であり、親族の病気や娘の避難の呼びかけに応じて、というものである。しかし、避難先での暮らしが窮屈なこともあり、早々に避難先から高部地区へ戻って来ている。 一方、避難しなかった住民は、住民同士が声を掛け合い、15日あたりから集会所に集まって過ごしていた。17日には屋内待避指示の関係で福岡県警の警察官が集会所に常駐、放射線の観測機器等を持っていたことから、住民に安心感を与える事となる。避難しなかった理由は、仕事の関係、家畜の飼育などの理由であった。 「避難した・しなかった」は、住民間にとっても微妙な問題である。個々の住民が抱える状況によってその行動に差異が生じている。このため住民間のコンフリクトを引き起こし、地域コミュニティの崩壊につながる可能性があった。一方で、一時避難から戻って来た住民を「受容」するなど、コミュニティ維持への「知恵」ともいうべきものがみられた。
著者
榎原 博之 大塚 隆弘 山上悠喜
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.8, pp.2049-2060, 2012-08-15

研究室内での文献管理において重要となるのは「メンバ間で文献情報の共有を行えること」そして「容易に文献を検索して,論文に引用できること」である.現在,文献管理ツールが多数開発されているが上記の条件を十分満たすものはない.そこで,本研究では研究室内での利用に特化した文献管理システム「bole」を開発する.提案システムは,研究室内で文献情報の共有を行いやすくするため,ウェブアプリケーションによる実装を行い,文献情報を登録する際,同時に文献に関する研究分野やコメント,評価などの情報を追加登録する.また,筆者らの研究室では,論文執筆の際,参考文献の記述にBibTEXを利用するので,便利にBibTEXを利用するために,文献を論文に引用するときに必要な「引用キー」を1クリックでコピーできる機能などの実装を行う.提案システムの導入により,研究室内での文献情報の共有を簡単にすることができ,さらに論文執筆の効率化を進めるという提案システムの有用性を検証する.The important things about managing literatures in laboratories are "Sharing literatures between members" and "Easy to search literatures and to cite them in papers". Currently, many literature management tools have developed, but not enough to satisfy the above conditions. In this paper, we develop the literature management system "bole" that specializes in the use of laboratories. The proposed system is developed as the web application, and when literature information is registered in the system, research area, comment, evaluation, and so on about literatures are registered as additional information in order to facilitate sharing of literature information in laboratories. BibTEX is used in our laboratory to write a paper, therefore we develop functions convenient to use BibTEX, for example citation key can be copied with one click. We show the utility of the proposed system to share literature information easily in the laboratory, and efficiently to write the papers.
著者
榎原 博之 大塚 隆弘 宮川 朋也
雑誌
研究報告自然言語処理(NL)
巻号頁・発行日
vol.2013-NL-210, no.5, pp.1-6, 2013-01-04

研究活動において論文などの文献情報を管理することは重要な作業の 1 つであり,現在はコンピュータの普及に伴い PDF 形式等の電子データで文献情報を扱うことが一般的になっている.電子データの文献情報は,コンピュータを介して容易に他者とのやりとりができるなどの利点がある.他者との共有を支援するアプリケーションがあれば,より便利に共有を行うことができ,さらに研究活動の効率化を図ることができると考え,我々は研究室内での利用に特化した BibTEX ベースの文献管理システム bole[1] の開発を行なっている.本稿では bole の追加機能などについて説明する.さらに, 2 つの研究室に実際に bole を長期間利用していただき,利用者による評価を行い提案システムの有用性を検証する.