著者
今井 巧 雨宮 護 島田 貴仁 讃井 知 大山 智也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.751-758, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
29

子供が被害者となる声かけやつきまといなどの前兆事案は,子供から保護者に被害が伝わったとしても,保護者が警察や学校に被害を連絡しないことによって被害が暗数化し,事案への対応が遅れることが懸念される.本研究では,保護者の子供の前兆事案被害情報に関する警察や学校への連絡意図を形成する要因の解明を目的とした.ウェブアンケート調査により得られた,ある政令指定都市に住み,小中学生を第一子に持つ20歳から59歳の男女(n=518)のデータを用いて順序ロジスティック回帰分析を行った.その結果,事案の深刻さや連絡の効果,連絡の自己効力感の認知が保護者の警察・学校への連絡意図に正の関連を持つことが明らかになった.
著者
山根 万由子 雨宮 護 白川 真裕 大山 智也 島田 貴仁
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.385-392, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
22

都道府県警察が公開する犯罪発生マップでは,カーネル密度地図(KD図)の活用が推奨されている.KD図においては,その配色パターンと階級区分の組み合わせで地図の印象は異なるが,適切な組み合わせは明らかになっていない.本研究では,犯罪発生マップの地図表現の実態調査と,2つの実験により,KD図の配色・分類手法(階級区分)が犯罪多発地域の位置推定と犯罪発生頻度の見積もりに与える影響を明らかにした.実験の結果,等量分類が犯罪多発地域の位置推定を不正確にし,また犯罪発生頻度を多く見積もらせることなどが明らかになった.結果に基づき,犯罪発生マップをKD図で表現する際に留意すべき事項などについて議論した.
著者
讃井 知 大山 智也 SANAI Sato OHYAMA Tomoya
出版者
University of Tsukuba. Division of Policy and Planning Sciences Commons
巻号頁・発行日
2019-05

本稿は川手昭二筑波大学名誉教授のオーラル・ヒストリー(口述史)であり、筑波大学社会工学関連組織(社会工学類、社会工学専攻、社会工学域。略称は「社工」)の歴史を記録することを目的とした「社会工学オーラル・ヒストリープロジェクト」として、大学院生を中心とした有志のグループが企画・実施したものである。インタビューは・2018年4月4日於都筑区民センター【聞き手:大山、讃井、辻本、仲村】・2018年11月9日於川手昭二先生ご自宅【大山、讃井、辻本、仲村】・2019年1月18日於同上【大山、讃井、仲村】の3回にわたって実施した。編集は大山、讃井が、編集のチェックは仲村、黒田翔(筑波大学大学院)が行った。本活動に係る費用の一部は筑波大学社会工学類広報委員会より助成を受けた。
著者
村中 大輝 雨宮 護 大山 智也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.357-364, 2016-10-25 (Released:2016-10-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

近年,地方自治体による公共空間への防犯カメラの大規模設置事例が報告されているが,こうした事例は萌芽期にあり,方法論は様々である.こうした状況下で,先進的に事業に取り組む自治体の事例を把握し,現時点での評価を加えることは,将来普及が見込まれる防犯カメラの設置・運用方針の検討に向け重要である.本研究では,一度に100台以上の規模で防犯カメラの設置事業を行った8自治体へのヒアリングから,事業の方法論を明らかにし,さらに,犯罪統計や市民アンケートの結果も加えて,事業の評価を行うことを目的とした.その結果,以下が明らかとなった.1)防犯カメラの設置過程は,事業を主導する主体や市民への広報に対する考え方等の面において自治体により大きく異なる.2)現在の防犯カメラ設置過程には,防犯カメラの設置規模や設置箇所の決定過程や市民への説明の機会の面で,問題がある可能性がある.3)防犯カメラ設置から5年が経過した一事例では,防犯カメラが車両関連犯罪を減少させ,市民にも受容された可能性が高いと考えられる.以上の結果に基づき,最後に本研究では,自治体が設置する防犯カメラの設置・運用方針について議論した.