著者
讃井 知 島田 貴仁 雨宮 護
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.92.20024, (Released:2021-05-31)
参考文献数
51
被引用文献数
3

Consultative behavior with spouses has been found to be effective in deterring telephone call–based fraud. This study aimed to identify the factors that enhance spousal counseling behavior during fraudulent phone call encounters. In December 2019, we conducted a questionnaire survey of 874 households each exclusively composed of an elderly marital couple (n = 1,748). The influence of the day-to-day marital relationship and trust in the spouse as a counselor on the intention to consult was examined using Actor-Partner Interdependence Model (APIM) analysis. The results showed that marital satisfaction had an indirect effect on intentions for consultative behavior, mediated by trust in both wives and husbands, and that marital satisfaction was defined by daily communication and positive problem-solving strategies. The results imply that efforts to communicate with spouses and to proactively solve problems increase marriage satisfaction and are also effective in promoting spousal counseling behavior.
著者
島田 貴仁 雨宮 護 菊池 城治
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
no.35, pp.132-148, 2010-10-01
被引用文献数
2

近年,日本では,近隣での防犯対策が広く行われるようになったが,これらの防犯対策が一般市民の犯罪の知覚へどう影響しているかの実証研究は少ない.本研究では,近隣での防犯対策として青色防犯パトロールと犯罪発生マップ掲示を実施している首都圏の1市で住民調査(回答数1,171名)を実施し,防犯対策の認知が犯罪の知覚に与える影響を階層的重回帰分析で分析した.犯罪の知覚を個人-地区,認知-感情の2軸からなると考え,個人の被害リスク認知と犯罪不安,地区の治安評価と満足感の4つを目的変数とした.各目的変数を回答者のデモグラフィックなど統制変数のみで説明するモデルと,統制変数に防犯対策の認知を加えて説明するモデルとを比較したところ,防犯対策の認知は被害リスク認知,地区の満足感に対して有意な影響を与えていた.青色防犯パトロールは,パトロール車両を見た回答者の被害リスク認知を高める一方,地区の満足感を低めていた.一方,犯罪発生マップの掲示は,その内容を確認した回答者の地区の満足感に影響していたが,被害リスク認知や犯罪不安には影響していなかった.近隣での防犯対策の選択への含意が議論された.
著者
広兼 靖也 雨宮 護
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:24364460)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.268-274, 2023-09-07 (Released:2023-09-07)
参考文献数
16

本報告ではつくば市として大きな変化が発生していた2010年から2020年における社会の変化を捉えるために,社会地区分析を用いて,その結果からつくば市の変容の様子を記述した.分析の結果,①研究学園地区,TX沿線開発地区,周辺開発地区という区分に対応した社会地区が形成される一方で,この10年間で社会地区が多様化したこと,②特にTX沿線開発地区において大きな社会変化があったこと,③国家公務員宿舎廃止後の社会変化は,社会地区を変えるほどのものではなかったこと,④市南部で,他県に通勤する層やサービス職の増加があったことが明らかになった.
著者
菊池 城治 雨宮 護 島田 貴仁 齊藤 知範 原田 豊
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
no.34, pp.151-163, 2009-10-20

警察や一般市民の間で,声かけなどのいわゆる不審者遭遇情報は,より重篤な性犯罪などの前兆事案として捉えられているものの,実証的な研究はこれまでなされてきていない.本研究では,犯罪学における近接反復被害の分析手法を応用し,声かけなどの不審者遭遇情報とその後の性犯罪発生との時空間的近接性を検証する.A都道府県警察における3年間の不審者遭遇情報(1,396件)と屋外での性犯罪(599件)の認知データを地理情報システム(GIS)とシミュレーション手法を用いて時空間的に解析したところ,声かけなどの不審者遭遇情報と性犯罪は時間的にも空間的にも近接して発生していることが分かった.具体的には,声かけなどの不審者遭遇情報発生後,少なくとも1ヶ月にわたって発生地点から1kmの範囲において性犯罪の発生件数が有意に高いことが示された.この結果に基づいて,本研究の限界を踏まえつつ,実証データに基づく警察活動への考察を行う.
著者
木下 広章 柴田 久 石橋 知也 雨宮 護 樋野 公宏
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.350-356, 2016

本研究では福岡県警察が全国に先駆けて設立した「犯罪予防研究アドバイザー制度」を事例に,(1)本制度を通じて入手した平成24~26年の福岡県内で発生したコンビニ強盗の犯行内容に関する事案概要データ(全79案件)4)ならびに被害店舗全74店舗(79件のうち5店舗は強盗被害に2回遭っている)の立地を整理,分析した.さらに(2)上記,強盗被害店舗全74店舗と徒歩圏(500m)を越えて最も近隣に立地している非被害店舗(74店舗)の合計148店舗の実地調査を実施し,強盗被害が誘発される立地・空間環境の要点とコンビニの防犯向上に向けた施策について考察した.その結果,コンビニ強盗に対する防犯施策の検討として(1)従業員に対する勤務姿勢を重視した防犯指導,(2)駐車場を中心とした視認性の向上,(3)陳列棚の高さが伴う監視性低下への認識啓発について,その重要性を示唆した.
著者
菊池 城治 雨宮 護 島田 貴仁 齊藤 知範 原田 豊
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.151-163, 2009-10-20 (Released:2017-03-30)

警察や一般市民の間で,声かけなどのいわゆる不審者遭遇情報は,より重篤な性犯罪などの前兆事案として捉えられているものの,実証的な研究はこれまでなされてきていない.本研究では,犯罪学における近接反復被害の分析手法を応用し,声かけなどの不審者遭遇情報とその後の性犯罪発生との時空間的近接性を検証する.A都道府県警察における3年間の不審者遭遇情報(1,396件)と屋外での性犯罪(599件)の認知データを地理情報システム(GIS)とシミュレーション手法を用いて時空間的に解析したところ,声かけなどの不審者遭遇情報と性犯罪は時間的にも空間的にも近接して発生していることが分かった.具体的には,声かけなどの不審者遭遇情報発生後,少なくとも1ヶ月にわたって発生地点から1kmの範囲において性犯罪の発生件数が有意に高いことが示された.この結果に基づいて,本研究の限界を踏まえつつ,実証データに基づく警察活動への考察を行う.
著者
木下 広章 柴田 久 石橋 知也 雨宮 護 樋野 公宏
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.350-356, 2016-10-25 (Released:2016-10-25)
参考文献数
8

本研究では福岡県警察が全国に先駆けて設立した「犯罪予防研究アドバイザー制度」を事例に,(1)本制度を通じて入手した平成24~26年の福岡県内で発生したコンビニ強盗の犯行内容に関する事案概要データ(全79案件)4)ならびに被害店舗全74店舗(79件のうち5店舗は強盗被害に2回遭っている)の立地を整理,分析した.さらに(2)上記,強盗被害店舗全74店舗と徒歩圏(500m)を越えて最も近隣に立地している非被害店舗(74店舗)の合計148店舗の実地調査を実施し,強盗被害が誘発される立地・空間環境の要点とコンビニの防犯向上に向けた施策について考察した.その結果,コンビニ強盗に対する防犯施策の検討として(1)従業員に対する勤務姿勢を重視した防犯指導,(2)駐車場を中心とした視認性の向上,(3)陳列棚の高さが伴う監視性低下への認識啓発について,その重要性を示唆した.
著者
今井 巧 雨宮 護 島田 貴仁 讃井 知 大山 智也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.751-758, 2023-10-25 (Released:2023-10-25)
参考文献数
29

子供が被害者となる声かけやつきまといなどの前兆事案は,子供から保護者に被害が伝わったとしても,保護者が警察や学校に被害を連絡しないことによって被害が暗数化し,事案への対応が遅れることが懸念される.本研究では,保護者の子供の前兆事案被害情報に関する警察や学校への連絡意図を形成する要因の解明を目的とした.ウェブアンケート調査により得られた,ある政令指定都市に住み,小中学生を第一子に持つ20歳から59歳の男女(n=518)のデータを用いて順序ロジスティック回帰分析を行った.その結果,事案の深刻さや連絡の効果,連絡の自己効力感の認知が保護者の警察・学校への連絡意図に正の関連を持つことが明らかになった.
著者
讃井 知 雨宮 護
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.858-863, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
23

特殊詐欺抑止において,市民が特殊詐欺と思われる事案に遭遇した場合に,その事実を迅速に他者に伝えることの有効性が指摘されている.そこで本研究は,詐欺電話等の接触があった際に,警察,行政,地縁組織,近隣住民に対する市民の情報提供意図を高める要因を明らかにすることを目的とした.特に,情報提供行動と平時における備えを検討するために,日常の地域や家族との関わりが情報提供行動を促進する可能性を検討した.特殊詐欺における情報提供行動が期待できる世帯類型である高齢者夫婦のみ世帯を対象とする質問紙調査を行い,874世帯の夫婦それぞれから回答を得た(n=1748).マルチレベルSEMによる分析を行い,情報提供の意図を高める心理プロセスのモデル検証した.その結果,平時におけるまちづくりへの参加意識が情報提供意図を高め,また夫婦間のコミュニケーションがまちづくりへの参加意識を高める可能性があることを明らかにした.
著者
山根 万由子 雨宮 護 白川 真裕 大山 智也 島田 貴仁
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.55, no.3, pp.385-392, 2020-10-25 (Released:2020-10-25)
参考文献数
22

都道府県警察が公開する犯罪発生マップでは,カーネル密度地図(KD図)の活用が推奨されている.KD図においては,その配色パターンと階級区分の組み合わせで地図の印象は異なるが,適切な組み合わせは明らかになっていない.本研究では,犯罪発生マップの地図表現の実態調査と,2つの実験により,KD図の配色・分類手法(階級区分)が犯罪多発地域の位置推定と犯罪発生頻度の見積もりに与える影響を明らかにした.実験の結果,等量分類が犯罪多発地域の位置推定を不正確にし,また犯罪発生頻度を多く見積もらせることなどが明らかになった.結果に基づき,犯罪発生マップをKD図で表現する際に留意すべき事項などについて議論した.
著者
雨宮 護 齊藤 知範 島田 貴仁 原田 豊
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.7, 2008

わが国における「子どもの防犯」は,その必要性が主張される一方で,取り組みの基盤となる実証的な知見に乏しい状況にある.そこで本研究では,兵庫県神戸市の5つの小学校を事例に,小学生の日常行動と犯罪被害の実態を把握し,さらに既存の子どもの防犯を目的とした施策の評価を試みた.2396名の児童と1875名の保護者を対象とした調査の結果,以下の3点が明らかとなった.a)児童の放課後の単独歩行行動は,児童の歩行行動全体の約四分の一を占め,時間的には下校後の外出先への行き帰りに,空間的には通学路など少数の領域に集中する傾向がある.b)児童の単独歩行の集中する時間・空間に,犯罪被害も集中する傾向がある.c)既存の防犯対策は,児童の単独歩行が集中する領域を有効にカバーできていない可能性がある.以上の結果は,既存の子どもの防犯を目的としたまちづくりに,子どもの行動特性を反映させることの必要性を示唆するものと考えられた.今後は,例えば,子どもの単独歩行の集中する領域で,具体的な場所の改善を図るなど,場所だけに特化しない取り組みが必要と考えられた.
著者
原田 文恵 雨宮 護 横張 真
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.75, no.5, pp.593-596, 2012 (Released:2013-08-09)
参考文献数
26
被引用文献数
3 1

A key task for urban planning in Japan is to incorporate agricultural land uses into the urban fabric and statutory planning. This paper analyzes the process whereby “agricultural zones” were incorporated into the planning of Kohoku New Town, a site designed in the 1960s and recognized as a path breaking attempt to include agricultural land in urban development. Our findings draw from key planning documents and from interviews with key actors in the planning of Kohoku New Town. The results indicate that the primary aim of “agricultural zones” was to augment open spaces and that agricultural and urban land uses were comprehensively incorporated into an open space system that included pathways to connect agricultural and residential areas. However, in the final plan released in 1974, the “agricultural zones” were designated solely for industrial agriculture, a shift which can be attributed to the introduction of the “senbiki” system of strictly separating urban and rural areas in the New City Planning Act of 1968. In addition, the pedestrian paths connecting “agricultural zones” and housing areas envisioned in the open space system of earlier planning stages as a means of integrating agriculture and residential development was also abandoned. Thus, the original plans to fuse agricultural and urban development were discarded during the planning process.
著者
雨宮 護 樋野 公宏 小島 隆矢 横張 真
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:1348284X)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.116, 2007

防犯まちづくりが各地で急速に推進されるなか、それに対する批判的な言説も発表されるようになってきた。防犯まちづくりが今後もまちづくりの一種として定着していくためには、こうした批判論とも向き合いつつ、その考え方を再構築することが求められる。本研究では、既存の学術雑誌や評論誌のレビューをもとに、わが国の防犯まちづくりへの批判論を体系的に整理すること、アンケートの分析をもとに、批判論に対する一般市民の態度を明らかにすることを目的とした。まず、121の文献から抽出された142の批判論を分類した結果、それらは 3つの大カテゴリのもとで、「警察国家論」、「監視社会論」、「要塞都市論」などの10の論点で整理された。次に、各論点への賛否を尋ねたアンケートの分析の結果、批判論には、市民の賛同を得ているものとそうでないものがあること、犯罪不安の高まりに伴って、今後賛同を得ることが予測されるものと逆に軽視されるようになっていくものがあることが明らかとなった。今後の防犯まちづくりにおいては、市民の賛同を得る批判論に応えるだけでなく、とくに軽視される批判論に対して一定の配慮が加えられる必要があると考えられた。
著者
村中 大輝 雨宮 護 大山 智也
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.357-364, 2016-10-25 (Released:2016-10-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

近年,地方自治体による公共空間への防犯カメラの大規模設置事例が報告されているが,こうした事例は萌芽期にあり,方法論は様々である.こうした状況下で,先進的に事業に取り組む自治体の事例を把握し,現時点での評価を加えることは,将来普及が見込まれる防犯カメラの設置・運用方針の検討に向け重要である.本研究では,一度に100台以上の規模で防犯カメラの設置事業を行った8自治体へのヒアリングから,事業の方法論を明らかにし,さらに,犯罪統計や市民アンケートの結果も加えて,事業の評価を行うことを目的とした.その結果,以下が明らかとなった.1)防犯カメラの設置過程は,事業を主導する主体や市民への広報に対する考え方等の面において自治体により大きく異なる.2)現在の防犯カメラ設置過程には,防犯カメラの設置規模や設置箇所の決定過程や市民への説明の機会の面で,問題がある可能性がある.3)防犯カメラ設置から5年が経過した一事例では,防犯カメラが車両関連犯罪を減少させ,市民にも受容された可能性が高いと考えられる.以上の結果に基づき,最後に本研究では,自治体が設置する防犯カメラの設置・運用方針について議論した.
著者
樋野 公宏 雨宮 護 樋野 綾美
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画報告集 (ISSN:13482858)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.108-112, 2007

本研究では、防犯カメラの正負の影響に着目し、実際に防犯カメラが設置された集合住宅団地駐車場の利用者(=団地居住者)の意識を調査し、設置に対する賛否の態度が形成される構造を分析した。防犯カメラへの期待は高く、回答者の約半数が自動車関連犯罪への不安が軽減されたと答えた。また、プライバシー侵害等への懸念を感じる人は5%と少なく、9割を超える人が設置に賛意を示した。それでも、SEMによる分析からは、防犯カメラへの賛否の態度が期待と懸念のバランスで形成されていることが明らかになった。また、不安減少は賛成態度に直接影響しないことが明らかになった。
著者
新保 奈穂美 雨宮 護 横張 真
出版者
The City Planning Institute of Japan
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.219-224, 2014
被引用文献数
4

都市農地の環境保全機能を発現する方策として,都市住民が主導し,近隣由来の有機性廃棄物を農地に還元し,それを農作物生産のための堆肥として利用するシステムの構築が考えられる.本研究は,その際に課題となる,(1)有機性廃棄物の収集量の実態と調整方法,および,(2)有機性廃棄物の処理における都市住民の関与の実態と調整方法という2点から実在の事例の実態解明を行った.(1)に関しては,有機性廃棄物収集量の実測調査および収集の背景情報をインタビュー等で把握した結果,収集量の調整は科学的知見と経験的な知識をもとに,リーダーの判断で収集量が調整されていたことがわかった.これにより適正な量の有機性廃棄物の収集が可能となったといえる.(2)に関しては,有機性廃棄物の処理に携わった都市住民の作業時間・内容についてアンケート調査を行った結果,都市住民の関与の強さに応じて作業分担が行われていたことがわかった.これにより,広く都市住民を巻き込むことに成功していたといえる.今後,同様の事例研究が蓄積され,ノウハウが普遍化されることが,都市農地における住民主導の有機性廃棄物利用システムの取り組みを普及させるにあたり重要である.
著者
樋野 公宏 柴田 久 雨宮 護
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、地域住民が自発的に公園、通学路などの屋外環境を改善するためのプログラムを実践的に開発するものである。松山市久米地区では公園の環境改善を支援し、公園の利用状況や犯罪不安感に関するアンケートから子どもの移動自由性の高まりを確認した。福岡市の警固公園では「防犯と景観の両立」をコンセプトに改修デザインに協力し、園内での補導件数減少などの成果を上げた。また、足立区および東京都と協働して屋外環境改善プログラムを開発した。足立区では「防犯まちづくり推進地区認定制度」が創設され、東京都は「地域の危険箇所改善ガイドブック」等を作成、公開した。
著者
雨宮 護
出版者
筑波大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究では,2002年以降にわが国の大都市で活発に行われた防犯まちづくりの諸対策のうち,特に防犯カメラの設置事業に焦点をあて,犯罪への影響を検証した.具体的には,自治体による公共空間への防犯カメラ大規模設置事業の事例を対象に,同事業の取り組み実態を明らかにし,さらに,繁華街への防犯カメラの大規模設置事例を対象に,設置前後での犯罪情勢の変化を明らかにした.その結果,①事業の内容は自治体により大きく異なること,②特に防犯カメラ設置時における台数や箇所選定の決定過程や市民への説明の機会において課題があること,③繁華街に設置された事例では,財産犯に効果が見られたことなどを明らかとした.