著者
大山 研司
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.477-490, 2010 (Released:2010-08-27)
参考文献数
10
被引用文献数
1

中性子回折法は,今日でもバルクの性質としての磁気構造を調べる上でもっとも信頼できる実験手法である。本稿では,磁気構造解析の基本的な手法を,粉末中性子回折実験にもとづき説明する。とくに,実際のデータを用いて,実際のプロセスに従って説明をすすめる。まず最初に,典型的なcommensurate構造とincommensurate構造を説明し,その構造をフーリエ分解により定式化する方法を説明する。中性子での磁気構造因子の理論式を示したのち,希土類化合物TmB2C2での実際のデータをもとに,実験データから磁気構造ユニットセルの決定,磁気構造モデルの構築方法を説明する。ここでは,国内で磁気構造解析に適する中性子回折装置についても説明する。最後に,解析に用いる有用な解析プログラムについての情報を提供する。
著者
岩佐 和晃 伊藤 晋一 大山 研司 佐藤 卓 富安 啓輔 横尾 哲也 益田 隆嗣 平賀 晴弘 奥 隆之 吉良 弘 倉本 義夫
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

電子の遍歴-局在転移、電子多極子秩序、さらに磁気・電荷秩序相と接する超伝導などの非自明な電子物性の機構解明には、磁気モーメントのミクロな秩序と揺らぎの観測が重要である。長年その目的に供されてきた中性子散乱法は、近年の線源性能の向上や高束線ビーム化により、従来は検出できなかった散乱シグナルの観測へと進展している。本研究では、ブリルアン散乱法や偏極中性子利用も視野に入れてこれまでアクセスできなかった測定への進化を目指しながら、遍歴-局在のデュアリティー性を示す近藤格子、鉄系超伝導の相図と磁気相関、ワイルフェルミオン系などを明らかにする成果を得た。