著者
柳田 多寿 大森 玲子
出版者
宇都宮大学
雑誌
宇都宮大学教育学部教育実践総合センター紀要 (ISSN:13452495)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.351-360, 2007-07-01

平成17年7月に施行された「食育基本法」では、(1)食に関する知識、(2)食を選択する力、(3)健全な食生活を実践する態度の3項目を育成することが目的とされ、なかでも食育の対象として子供に焦点がおかれている。本研究では、食に関心を持ち、将来にわたり正しい食の選択ができる児童を育成するための方策について、食生活実態調査に基づき、検討した。宇都宮市内4校で実施した児童の食生活実態調査の結果、朝食およびおやつの摂取状況、野菜嫌いな児童の割合において、地域差が認められた。都心部の児童に野菜嫌いが多かったことから、野菜を用いた献立による栄養教育および調理実習を実施し、その実践的効果を検証した。その結果、食に関する知識を示し、栽培から調理までを通した食育は偏食を改善する上で効果的であると思われた。また、食生活実態調査から、おやつによる糖分および油分の摂取過多が懸念されたため、校内におやつ掲示板を設置し、児童がおやつを適切に選択できるよう、知識や情報を提供した。さらに、児童が望ましい食生活を送る上で、家族の関わりは重要である。学校と家庭が連携して食育に取り組むために、調査結果の公表や保護者への啓発活動の手段として、学校ホームページに「早寝早起き朝ごはん」サイトを構築し、食に関する情報を発信した。
著者
大森 玲子 山崎 久子 飯田 有美 岩原 祐子 永山 ケヱ子
出版者
宇都宮大学
雑誌
宇都宮大学教育学部教育実践総合センター紀要 (ISSN:13452495)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.361-368, 2007-07-01
被引用文献数
4

近年、子どもを取り巻く食環境が変化し、食をめぐる問題が顕在化している。児童生徒の食の問題には乳幼児期からの食習慣が深く関連することから、食の自立能力の基礎を形成する乳幼児期の食育を推進し、望ましい食習慣を体得させることが大切である。本研究では、乳幼児期の食育を実践する上での基礎資料とすべく、保育園児を対象とした食生活等実態調査を行った。調査の分析結果から、「朝食を毎日必ず食べる」子どもは89%であった。朝食メニューをみると、主食が米飯である場合、74%が副食(主菜and/or副菜)を添えるのに対し、パンである場合28%であった。朝食を「ひとりで食べる」子どもも16%おり、このうち78%が祖父母と日常的に食事をする機会のない子どもであった。降園後夕食までの間に46%がおやつを食べ、その内容は「スナック菓子」(55%)、「果物」(30%)の順であった。また、行事食に関して、「しもつかれ」を作る家庭の80%が祖父母と-緒に食事をしていることがわかった。本研究より、子どもの食生活の実態が、子どもを取り巻く家庭の食事環境にも影響を受けていることが明らかとなった。よって、子どもに対し食育を実践するだけでなく、親への啓発活動も必要であることが示唆された。
著者
大森 玲子
出版者
宇都宮大学
雑誌
若手研究(スタートアップ)
巻号頁・発行日
2007

成育環境および発達段階を踏まえた食育プログラムを開発するために、食育プログラム実施対象であるモデル施設の子どもの特性を的確に把握する調査研究を実施した。地域特性として、おやつに摂取されるスナック菓子やジュース類の摂取過多が懸念されたため、特に、おやつへの情報を提供できるよう配慮した活動を取り入れた。開発した食育プログラムを通じて、子どものみならず、子どもに関わる大人への波及効果も期待された。