著者
大森 玲子 山崎 久子 飯田 有美 岩原 祐子 永山 ケヱ子
出版者
宇都宮大学
雑誌
宇都宮大学教育学部教育実践総合センター紀要 (ISSN:13452495)
巻号頁・発行日
vol.30, pp.361-368, 2007-07-01
被引用文献数
4

近年、子どもを取り巻く食環境が変化し、食をめぐる問題が顕在化している。児童生徒の食の問題には乳幼児期からの食習慣が深く関連することから、食の自立能力の基礎を形成する乳幼児期の食育を推進し、望ましい食習慣を体得させることが大切である。本研究では、乳幼児期の食育を実践する上での基礎資料とすべく、保育園児を対象とした食生活等実態調査を行った。調査の分析結果から、「朝食を毎日必ず食べる」子どもは89%であった。朝食メニューをみると、主食が米飯である場合、74%が副食(主菜and/or副菜)を添えるのに対し、パンである場合28%であった。朝食を「ひとりで食べる」子どもも16%おり、このうち78%が祖父母と日常的に食事をする機会のない子どもであった。降園後夕食までの間に46%がおやつを食べ、その内容は「スナック菓子」(55%)、「果物」(30%)の順であった。また、行事食に関して、「しもつかれ」を作る家庭の80%が祖父母と-緒に食事をしていることがわかった。本研究より、子どもの食生活の実態が、子どもを取り巻く家庭の食事環境にも影響を受けていることが明らかとなった。よって、子どもに対し食育を実践するだけでなく、親への啓発活動も必要であることが示唆された。
著者
北村 光子 山崎 久子 大江 千恵子 綿 祐二
出版者
長崎国際大学
雑誌
長崎国際大学論叢 (ISSN:13464094)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.185-193, 2003-01-31

我が国は高齢社会に入り様々な社会問題や生活問題を抱えている。その中でも介護に関しては、施設介護や在宅介護に限らず注目されており、現場で働く介護職の量と質の向上に各方面から力が注がれている。介護職の中でも、国家資格保持者である介護福祉士は、単に身辺介護に留まらず専門性をもって、利用者をとりまく生活全般の改善・向上に努めている。しかし、このように介護の現場で専門の知識と技術を提供している介護福祉士の認知度や、過酷な労働でありながら業務の評価については決して高いとは言えず、"やりがい"と"現実"の間でジレンマを起こしている状態である。よりよい介護を目指して、介護職のリーダー的役割を担う介護福祉士の職業意識や社会的地位、あるいは就労意欲について、もっと客観的に評価する必要があるといえる。そこで本研究では、介護福祉士の現状を調査し、さらに介護福祉士の就労意欲に影響を及ぼす要因を明らかにすることを目的とする。調査の結果、就労意欲の現状においては、仕事面で「身体的負担」「精神的負担」を感じると就労意欲を欠き辞職を考えるようになるという結果を得た。また、その理由として「賃金の低さ」や「仕事内容のきっさ」「運営方針への不満」「社会的地位の低さ」などが挙げられた。また、介護福祉士にとって、職場内に「良き理解者」が存在すると介護福祉士の「将来性」や「職に対する誇り」が得られるという結果を得た。この「良き理解者」について詳細な記述はできなかったが、このことは介護福祉士の役割を他職種間で共有することの重みを現しているといえる。今回の調査では、良き理解者が存在することが自己研鑽に直接結びつくという結果は得られなかったが、もっと介護福祉士の就労意欲や社会的地位を向上させるためには、自己研鑽できる環境設定や講習内容の充実が必要と考える。