著者
大橋 晃太 横山 明弘 籠尾 壽哉 細田 亮 山本 隆介 米田 美栄 工藤 昌尚 朴 載源 上野 博則 矢野 尊啓
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.54, no.7, pp.670-674, 2013 (Released:2013-08-02)
参考文献数
15

症例は53歳男性,2006年11月にPOEMS症候群と診断され,翌年2月に自家末梢血幹細胞移植(ASCT)を受けた。2011年7月に両側胸水貯留による呼吸困難と,全身性浮腫が出現した。血漿vascular endothelial growth factor (VEGF)およびM蛋白が増加し再発と診断された。lenalidomide/低用量dexamethasone (Ld)療法により体液貯留は速やかに改善し,11コース実施後も増悪なく経過している。ADLは全介助から軽介助立位可能なレベルまで改善した。最近lenalidomideの本疾患への使用報告が増加しているが,浮腫の改善だけでなく溢水症状が急速に改善した報告はない。水分貯留傾向が著明なPOEMS症候群においてLd療法は有効な治療選択肢である。
著者
小原 孝雄 中川 光二 慶松 元興 伊藤 宜人 国田 晴彦 嘉手納 成之 畑 俊一 大滝 幸哉 鈴木 邦治 中川 昌一 深津 亮 松浦 侯夫 大橋 晃
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.65, no.9, pp.906-912, 1976

"Periodic hormonogenesis"を示し,ヒステリー発作を契機に寛解したGushing病,およびreserpine投与下でのmetyrapone試験直後より,急性副腎不全症状を呈し,寛解に到つたCushing病の2症例を報告する.症例1. 16才,女性.軽度の肥満・頬部紅潮・〓瘡・皮膚線条を認めた.尿中17-OHCSは, 4~46mg/日の間を約10日間の周期で変動し,血中corticosteroidsもこれに並行. ACTHには明らかな過剩反応を示したが,他の負荷試験は変動のため判定困難.副腎シンチグラムでは両側過形成像,頭部X線検査でトルコ鞍正常,他臓器に異常なく, periodic hormonogenesisを示すCushing病と診断した.この周期性変動はdexamethasone 8mg/日18日間投与で抑制された.経過中ヒステリー発作を生じ,その直後から尿中17-OHCSは3~8mg/日となり,周期性も消失.その後はACTHには過剰反応を示したが,抑制試験・metyrapone試験は正常となつた.症例2. 21才,女性.無月経で,中心性肥満・満月様顔貌・〓瘡・皮膚線条・高血圧を認めた.尿中17-OHCSは20~40mg/日で血中corticosteridsも高値.抑制試験は少量では非抑制, 8mg/日4日間投与で抑制された. metyraponeには過剩反応,副腎シンチグラムでは両側過形成像. reserpine投与下でのmetyrapone試験直後より副腎不全症状を呈し,尿中17-OHCSは1~5mg/日となり, Cushing病の諸症状改善.寛解後は, ACTHに過剩反応, metyraponeには無反応であつたが,他のホルモン系には障害はなかつた.