著者
大江 知之
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.134, no.6, pp.338-341, 2009 (Released:2009-12-14)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

医薬品の代謝過程で生成する反応性代謝物は数々の毒性の原因になると考えられており,製薬企業にとってそうしたリスクのある化合物は,創薬段階においてできる限り排除しておきたいものの1つである.最近,多くの企業で,探索段階の比較的初期から,“反応性代謝物の回避”というものを意識して化合物の誘導化を行っている.共有結合性試験やトラッピング試験と呼ばれる評価法などがあるが,これらは毒性予測という観点からはまだ不十分なものである一方で,医薬品候補の優先順位付けという観点からは有用である.メディシナルケミストと協力して,より毒性リスクの低い候補品を選択することが,探索薬物動態研究者の使命である.
著者
齋藤 義正 大江 知之
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

我々は、これまでに難治性がんの代表である胆道・膵臓がん患者由来のがん細胞を対外で培養・維持することに成功し、さらに薬剤スクリーニングにより水虫の治療薬である抗真菌薬が胆道・膵臓がん細胞の増殖を抑制することを明らかにした。本研究では、抗真菌薬を基盤とした胆道・膵臓がんに対する革新的な新規治療薬を創出するため、増殖抑制効果の分子機序の解明、抗真菌薬の合成展開、動物実験での効果の検証などを行う。