著者
大河内 信夫 藤澤 英昭 鈴木 隆司 大河内 信夫
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究は伝統技能を教育学的な検証を経て学校教育の現場で活用できる題材として開発し、実践によって評価しようとしたものである。具体的には3つの代表的な取り組みを行った。第1に、伝統の刃物づくりの調査とそれを題材としたDVDの製作、第2に銅鏡の製造過程の調査と製作マニュアルとしてのCD製作、第3に伝統的な養蚕の実践とできた繭から絹糸を取り出し小型のランプシェードをつくる題材の開発と実践をおこなった。DVDとCDは千葉県下の市教育委員会へ配布し、その教育的評価を調査した。実践的な検証の取り組みでは、附属小学校において、銅鏡づくりは鋳型づくりと研磨を主に体験して製作し、ものをつくるにはいろいろな道具と時間がかかることを体得した感想が多かった。教員養成学部の授業実践として銅鏡づくりと行灯づくりに取り組み、教員資質にとってものづくりが重要であることを実証した。技能に裏付けられたものを作る能力を定着させる方法論が次の課題である。
著者
大河内 信夫 板倉 嘉哉 堤 一郎 白井 靖幸
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会関東支部総会講演会講演論文集 2007.13 (ISSN:24242691)
巻号頁・発行日
pp.171-172, 2007-03-15 (Released:2017-06-19)

The authors studied Fujiwara's water-wheels for irrigation which were built at Kazusa region in Chiba prefecture. They surveyed literature on bucket chain conveyor system for water in the Edo period. There were 3 materials concerned with Fujiwara's water-wheel. The authors restored Fujiwara's water-wheel bucket which was drawn on the Report of Archaeological Investigation carried out the Fujiwara-Type scoop wheel, No. 1 and 2 in Yoro, Ichihara city, Chiba prefecture. They compared data of Fujiwara's water-wheel bucket restored with data of literature for Fujiwara's water-wheel. Fujiwara's water-wheel power was calculated from data of the bucket restored.
著者
大河内 信夫
出版者
日本産業教育学会
雑誌
産業教育学研究 (ISSN:13405926)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.43-50, 2000-07-31 (Released:2017-07-18)

総合学科での職業科目は科目数が多く、1科目の履修人数が少なかった。専門高等学校期に比べ大学進学者の増加が著しかった。卒業時まで同じ進路を希望した生徒は全体の33.5%であった。進路希望の変化は、最終的な進路結果に至るまでの変化に幾つかの類型が存在していた。就職者の中に専門学科と同等程度の職業科目履修する例がみられた。専門学校等進学者にとって総合学科の選択制は、卒業後の職業教育への導入的役割を果たしているように思われる。大学進学者の専攻学部と職業科目履修との間には整合性は十分に見られなかった。
著者
大河内 信夫 名取 一好
出版者
千葉大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

研究代表者大河内信夫は、2000年度学校要覧に示された農業に関する学科の教育課程表を分析した。その結果、1990年度調査に比較して、以下の点から「多様化」がキーワードになることを明らかにした。(1)学科名称が1990年度調査よりも多様になり、「農業科」の占める割合が低下していた。教育内容ではなく、自営者養成=農業科という観念を名称変更によって払拭しようとしているように見えた。(2)普通科目と専門(職業)科目とのそれぞれの合計単位の比率を比べると、普通科目の単位数が専門(職業)科目の単位数を上回る学校が圧倒的に多くなった。(3)選択科目では普通科目と専門(職業)科目との組み合わせの割合が多くなり、学科内でのコース制をとる傾向にあった。(4)専門(職業)科目間の選択を設けている学校は、1990年度調査結果(調査回答校中46.5%)に比べて大幅に増加し、2000年度調査結果は回答校中65.1%であった。(5)「農業に関するその他の科目」に該当する科目名称は、90科目と非常に多く、そのうち69科目は1校でしか開講されていなかった。最も多く開講されている科目でも7校に過ぎなかった。前年度行った「総合実習」に関する調査について、研究分担者名取一好とともにデータ整理、分析を行った。その結果、総合実習の目的について、上位の3つは「農業の実践的技法(技術)を学ぶ」「農業体験を重ねる」「座学の知識を確かめる」となっていた。「農業を受け継ぐきっかけを用意する」「農業を主体的に継承する意志をつくる」といった項目は下位であった。多くの学校(91.5%)が総合実習に時間外実習を含めていた。総合実習に農家での実習を含めていない学校は36.4%あった。農家での実習を実施している学校においても、生徒全員に課している括弧うは全体の15.0%であった。「講義」科目と総合実習との関係では、「講義」科目の実習は「講義との関係で必要」と回答する学校が最も多く、「総合実習があるので各科目での実習は不要」とする学校は皆無であった。一方、「総合実習は農場維持のために必要」とした学校は11.9%であった。農業教育の目的は、農業政策上の制約に由来して農家子弟の教育となってきたため農業後継者の要請として機能しなかった。総合実習もこの枠組みから抜け出せなかったと推察された。