- 著者
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大瀧 仁志
- 出版者
- 公益社団法人 日本化学会
- 雑誌
- 化学と教育 (ISSN:03862151)
- 巻号頁・発行日
- vol.48, no.6, pp.356-359, 2000-06-20 (Released:2017-07-11)
- 参考文献数
- 1
- 被引用文献数
-
2
化学反応の90%以上を占める溶液内反応の最も基本となる溶媒和イオン, 特に水和イオンの構造と溶液が呈する色について考察する。水和イオンのミクロ構造が明らかになったのはようやく1970年代の中頃である。現在では, ほぼすべての単原子イオンの水和構造が明らかにされている。この研究には, 溶液X線解析法(静的構造)とNMR法(動的構造)の寄与が大きい。一方, 電解質水溶液の色調を決める水和イオンの電子状態に関しては吸収スペクトルの測定によりすでに古くから多くの研究が行われており, 理論的にも配位子場理論等により解明されている。これらの現象についてもっとも基本的な見地からやさしく解説することを試みた。