著者
大竹 孝司
出版者
開拓社
雑誌
音韻研究
巻号頁・発行日
no.12, pp.27-34, 2009
著者
大竹 孝司
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.6, no.2, pp.56-65, 2002-08-30 (Released:2017-08-31)

This article reviews some basic issues on spoken-word recognition, focussing on the mechanism of speech segmentation and a role of prosody. First, the mechanism of speech segmentation is discussed with reference to the rhythmic hypothesis. Second, the role of prosody in spoken-word recognition is discussed with the illustration of the phoneme activation model. It is argued that unlike the prosody in English and Chinese, the prosody in Japanese is involved with the selection of words in mental lexicon.
著者
大竹 孝司
出版者
The Phonetic Society of Japan
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.76-85, 2010-04-30 (Released:2017-08-31)

本研究は,心理言語学の領域における音声言語の語彙認識の研究で提案されている語彙候補活性化モデルの観点から,話し言葉としての日本語の駄洒落のメカニズムについて考察を試みたものである。このモデルでは,聞き手は話し言葉の個々の単語を直接認識するのではなく,類似した音構造を持つ複数の活性化された単語の中から競合を経て目標の単語を選択するとしている。その際,候補となるのは話者が意図した単語のみならず,単語内や単語間に潜む「埋め込み語」が含まれる。本研究では,即時性を伴う言葉遊びと「埋め込み語」の関係を明らかにするために日本語の駄洒落のデータベースの分析を行った。その結果,駄洒落には同音異義語と類音異議語に加えて単語に内包された単語や外延的な関係にある単語も利用されていることが明らかになった。この結果は,駄洒落では活性化された候補群から最適のものが選択されていると解釈される。このことは駄洒落では候補が英語のpunなどよりも広範囲から選択されるためより自由度の高い言葉遊びであることを示唆している。
著者
大竹 孝司
出版者
日本音声学会
雑誌
音声研究 (ISSN:13428675)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.95-97, 2001-08-31

This book deals with linguistic rhythmic structures of human languages. The author has proposed two kinds of rhythmic structure, each of which depends upon the rhythmic rates. He argues, moreover, that there is a hierarchical relationship between them. This hypothesis was tested by a number of experiments with variety of subjects.
著者
大竹 孝司
出版者
獨協大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

平成13年度の研究成果は以下の通りである。第1点は、心内辞書における語彙に接近する際のモーラの役割を検証した。この研究は音声の連続体の中から単語を切り出すことが可能となる分節のメカニズムに関わる研究で、これまでの研究では言語のリズムと関連する音韻単位によって分節が行われるとしてきたが、語彙内においては語境界をモーラの音韻単位が担うことを明らかにした。西欧の言語によって検証が行われているPWC (Possible-word constraints)が日本語においても適用できることを明らかにした。第2点は、「音素の活性化に基づく語彙選択」がモーラ言語である日本語においても観察されるか否かを検証した。本研究では、まず日本語の伝統的な言語遊戯である「語呂合わせ」に着目して、モーラに加えて子音及び母音の交替が存在する事実を明らかにした。次に、「語彙の再構築」という実験手法を用い、日本語話者でも音素レベルで活性化が起こる可能性を明らかにした。第3点は、第2点を更に進展させたもので、現代の言語遊戯の代表とも言える「駄洒落」に着目して、その構造を語彙認識の観点から明らかにしたものである。インターネット上の駄洒落データベースの分析を行い、基本的には「語呂合わせ」と同様な構造が存在することを明らかにした。つまり、現代日本人が日常に楽しむ言語遊戯は、音素レベルで起こる可能性が存在する。第4点は、心内辞書内における音韻表示の普遍性の問題である。モーラ言語とされる日本語話者の心内辞書においてモーラ以外の音韻単位である音節と音素の2つの単位に着目して、幼児、児童、成人、バイリンガル話者などを対象に検証を行い、(1)音節構造内における音節とモーラの発達の順序は、音節からモーラへ移行する可能性と(2)ローマ字を認識する以前の段階で、日本語話者の児童は、音素認識が存在する可能性を明らかにした。