著者
山本 裕 前田 廉孝
出版者
獨協大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2021-04-01

本研究は,戦後復興期日本の闇物資流通・取締とそれに対する民衆の認識を考察し,双方間の関連性を解明する。本研究は,甲府専売支局が闇煙草の摘発時に作成した『専売取締事件簿』と山梨の地方紙に掲載された関連記事を分析し、①闇物資の流通実態,②闇物資取締の実態と限界,③闇物資流通・取締に対する民衆の認識を解明する。これにより本研究は,(ⅰ)闇物資流通の解明から経済史研究,(ⅱ)闇物資流通と取締に対する民衆の認識の解明から社会史研究にそれぞれ貢献し得る。近年は海外でも闇市場(black market)の考察が進展しつつある研究動向を踏まえれば,本研究は闇市場の国際比較へ向けた端緒を開く意義も有する。
著者
徳永 光
出版者
獨協大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

日本において再鑑定資料の保存機関・方法・期限等に関するルールがなく、かつ再鑑定の実施の要否は裁判所の裁量に任されているため、被告人側が独自に鑑定の実施を望んでも実現に困難が伴うことが把握された。再鑑定の実施を被告人の権利の一つと捉えないため、再鑑定資料の保存義務という問題が生じてこないのが現状であろう。しかし、当事者主義を採用する以上、残存資料へのアクセス権が認められるべきであり、また再鑑定が、雪冤の決定的証拠となりうることから、有罪確定後、刑期が終了するまでの間における鑑定資料保存の義務づけが必要である。
著者
立田 ルミ 富澤 儀一 大西 雅行 中西 家栄子
出版者
獨協大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は、日本文化が若い世代にどのように捕らえられているかをインターネットを通じて知らせ、また、英語圏の外国人学生が日本文化に対してどのようなイメージを抱いているかの意見を載せ、ホームページを見た人達がこれらに対してどのように感じるかの意見交換の場を設けることにより、よりよく日本文化を理解してもらうことを目的としている。これらのホームページから、日本人学生は日本文化がどのように英語と日本語で紹介されているかを知り、英語圏の外国人学生は日本語と英語でどのように日本文化が紹介されているかを知ることにより、日本文化に対する理解を深めることの助けとなる。以前に開発した茶道のコースは教える側からの日本文化紹介が主であったが、本システムの開発に当たって研究会で何度も議論した結果、教える側からの日本文化の押し付けではないような形にすることに決定した。そこで、獨協大学学生と東京理科大学学生がもし日本文化を紹介するならどのような事を紹介したいかを調査し、それらの調査結果をまとめたものを土台としてシステム開発することにした。それと同時に、獨協大学に滞在中のエセックス大学学生に対して、自分の国に帰ったらどのように日本文化を紹介するかも日本語で書かせた。またイリノイ大学で日本文化を学んでいる学生に対しては、どのような日本文化をもっと知りたいかを調査した。イリノイ大学に留学中の日本人学生に対しても、どのような日本文化を外国人に知らせたいかを調査した。また、日本語をこれから教えようと思っている獨協大学学生に対して、どのような日本文化を通じて日本語を教えたいかを問うた。これらの学生の意見を土台にして、各日本文化の項目について日本語と英語の両方の言語で個々にホームページに載せるとともに、それと関連する写真も載せた。またこれらをデータベース化して、そのトップ3位について詳しく解説を載せた。またこれらのページを見た学生が、自分の意見を追加できるように設計した。この意見交換については文字情報だけでなく画像情報も載せ、ページを見た人はいつでも日本文化に対する意見を投票できるように工夫した。
著者
木村 佐千子
出版者
獨協大学
雑誌
獨協大学ドイツ学研究 (ISSN:03899799)
巻号頁・発行日
no.53, pp.1-37, 2005-03

In diesem Beitrag wird die Entstehungsgeschichte der Nationalhymnen der deutschsprachigen Länder (Deutschland, Österreich, der Schweiz und Liechtenstein) sowie der europäischen Hymne dargestellt. Texte (mit Übersetzung ins Japanische) und Noten sind beigegeben.
著者
羽山 恵 河合 裕美 及川 賢
出版者
獨協大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、子どもの英語力および英語学習に対する意欲・態度などと家庭要因の関係について調査を行う予定である。家庭要因とはこの場合、(1)子ども要因、(2)環境要因、(3)保護者要因、(4)保護者の子どもとの関わり要因、(5)子どもの家庭生活要因などを指す。扱う家庭要因は多岐にわたるが、最終的には英語能力および意欲・態度と関係の強いものを統計的分析によって特定し、関係性モデルを構築することを目指す。家庭要因を調査することにより、学校が子どもの背景にある家庭状況と英語学習の状態・関係をより理解し、英語教育において両者(学校と家庭)が連携する体制を整える一助となりたい。
著者
須永 和博
出版者
獨協大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2020-04-01

近年東南アジアでは、国内観光市場の成長を背景に、空洞化が進んでいた地方都市・旧市街の歴史的景観がノスタルジー消費の対象として再発見されるといった現象がみられる。こうした動きは、アートやデザイン、建築など「創造階級」に属する若年都市中間層の移住や観光産業への参入をもたらし、一部の地域では「創造都市」としての様相を示すようになってきている。本研究では、プーケット旧市街をはじめとするタイ国内の複数の地方都市・旧市街を事例に、創造都市化に伴うローカル・コミュニティの再編の過程について明らかにしたい。
著者
金子 芳樹 浅野 亮 井上 浩子 工藤 年博 稲田 十一 小笠原 高雪 山田 満 平川 幸子 吉野 文雄 福田 保
出版者
獨協大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

本研究のASEANを①拡大と深化の過程、②地域横断的イシューの展開 、③域内各国の政治社会変動分析という観点から「国際・地域・国内」の3次元で捉え直すという目的に沿って、第1年目の平成29年度においては、各担当者が現地調査や文献調査を中心に国別、イシュー別の調査を進めた。また、本研究のもう一つの特徴である「ASEANとEUとの比較」という観点については、その第1歩としてEU研究者を報告者に招聘して研究会を複数回開催し、EUの組織や地域統合のあり方などについて研究分担者・協力者の理解を深める活動を行った。その際、ASEANとEUの両研究分野の相互交流や共同研究を今後進めていくことについても、その体制造りなどを含めて意見交換を行い、具体的な段階へと歩を進める準備を行った。さらに、本研究の研究成果を逐次社会に公表していくという目的と、研究の新たな展開と蓄積のために他国や他分野の研究者との情報・意見交換を進めるという目的に沿って、国内の公開シンポジウムや学会ならびに他国開催の国際研究集会に研究分担者・協力者を派遣もしくは参加支援を行った。また、各研究分担者・協力者は、本研究のテーマもしくは関連テーマに関する論文および書籍の発表・刊行を積極的に行った。これらを通して、研究成果の公表とフィードバック、新たな研究知見の獲得、国内外での研究人脈の形成といった面でそれぞれに成果を得ることができた。上記のような諸活動を通して、1年目の目標であった本研究の基盤作りを着実に進めることができ、2年目以降のステップアップに向けた準備を整えることができた。
著者
小柳 春一郎
出版者
獨協大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

日本の境界法理は,地籍境界を重視している。境界確定訴訟が筆界を明らかにし,地籍調査も地租改正にさかのぼる原始筆界の復興を目指す。問題は,地籍境界=筆界と所有権界との有機的関連がないこと,特に合意による解決が難しいことである。本研究は,フランス法では土地所有権界を中心とした境界法理があること,その境界確定訴訟は土地所有権界を明らかにするものであること,ナポレオン地籍に始まるフランスの地籍は,税の根拠となる点が中心であることを解明した。日本法においても土地所有権界を中心とした法理への転換の必要である。その際には,土地家屋調査士が,合意と筆界を結びつける役割を果たしうる。
著者
柿田 秀樹
出版者
獨協大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、コミュニケーション学、とりわけレトリック研究の視点から、騙し絵と遠近法箱という具体的な視覚文化に焦点を絞り、そこに介在するレトリックの力を考察した。とりわけ、オランダとイギリスで17世紀に活躍したサミュエル・ファン・ホーホストラーテンを中心に、彼の絵画論とアナモルフォーズ、そしてレトリックに関する文献調査と共に騙し絵と遠近法箱の作品を分析した。西欧絵画に内在するアナモルフォーズ(と遠近法)に焦点を当て、その歴史的変遷と視覚レトリックの文化的力について批判的に考察した。
著者
大床 太郎
出版者
獨協大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では,ヒアリング・アンケートといった社会調査手法を駆使して,有業者がどのような子育て支援を必要としているのか,実証的に明らかにした.とりわけ,行政が実施する育児関連の福祉政策ではなく,企業が取り組む育児支援として,休暇や勤務時間に関する支援制度に集中して分析を進めた.ベストワースト尺度法を用いた分析の結果,神戸周辺地域の有業者は,平均的には育児休暇,(子どもの)看護休暇,短時間勤務,始業/終業時間の繰上げ/繰下げ,フレックスタイム,(育児支援としての)所定外労働の免除,在宅勤務の順に重視していることが明らかとなった.
著者
奈倉 文二 千田 武志
出版者
獨協大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

日露戦争を契機とする海軍兵器国産化過程で、その中軸的担い手であった海軍工廠による艦船兵器類の製造・修理の実態を明らかにし、また、民間軍事関連企業の有機的連携がどのようにはかられたかを解明した。本研究では、英国からの「武器移転」と関連する日本の「軍器独立」過程として捉えた。また、兵器の供給に関わる商社の活動をも明らかにした。そうした試みはジーメンス事件を捉え直す上でも重要な意味を持った。第一次大戦は、日英関係にとって「分水嶺」となり、英国系兵器火薬会社においても「技術移転」は基本的に完了するに至った。
著者
大竹 孝司
出版者
獨協大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

平成13年度の研究成果は以下の通りである。第1点は、心内辞書における語彙に接近する際のモーラの役割を検証した。この研究は音声の連続体の中から単語を切り出すことが可能となる分節のメカニズムに関わる研究で、これまでの研究では言語のリズムと関連する音韻単位によって分節が行われるとしてきたが、語彙内においては語境界をモーラの音韻単位が担うことを明らかにした。西欧の言語によって検証が行われているPWC (Possible-word constraints)が日本語においても適用できることを明らかにした。第2点は、「音素の活性化に基づく語彙選択」がモーラ言語である日本語においても観察されるか否かを検証した。本研究では、まず日本語の伝統的な言語遊戯である「語呂合わせ」に着目して、モーラに加えて子音及び母音の交替が存在する事実を明らかにした。次に、「語彙の再構築」という実験手法を用い、日本語話者でも音素レベルで活性化が起こる可能性を明らかにした。第3点は、第2点を更に進展させたもので、現代の言語遊戯の代表とも言える「駄洒落」に着目して、その構造を語彙認識の観点から明らかにしたものである。インターネット上の駄洒落データベースの分析を行い、基本的には「語呂合わせ」と同様な構造が存在することを明らかにした。つまり、現代日本人が日常に楽しむ言語遊戯は、音素レベルで起こる可能性が存在する。第4点は、心内辞書内における音韻表示の普遍性の問題である。モーラ言語とされる日本語話者の心内辞書においてモーラ以外の音韻単位である音節と音素の2つの単位に着目して、幼児、児童、成人、バイリンガル話者などを対象に検証を行い、(1)音節構造内における音節とモーラの発達の順序は、音節からモーラへ移行する可能性と(2)ローマ字を認識する以前の段階で、日本語話者の児童は、音素認識が存在する可能性を明らかにした。