- 著者
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中塚 武
大西 啓子
河村 公隆
尾嵜 大真
光谷 拓実
- 出版者
- 一般社団法人日本地球化学会
- 雑誌
- 日本地球化学会年会要旨集 2009年度日本地球化学会第56回年会講演要旨集
- 巻号頁・発行日
- pp.32, 2009 (Released:2009-09-01)
弥生時代末期に生じた倭国大乱や邪馬台国の卑弥呼の登場など、日本の古代社会の変動と気候変化の関係を解析するため、長野県南部で発掘された2個体の埋没ヒノキから、紀元前1世紀~紀元3世紀の1年毎に年輪セルロースを抽出し、その酸素同位体比を測定して、当時の夏季の水環境の経年変動を復元した。変動の周期や振幅は時代と共に大きく変化し、特に2世紀後半の倭国大乱の時期には、長周期の大きな水環境の変動が生じ、その収束と共に、卑弥呼の時代が到来したことなどが明らかとなった。こうした結果は、初期稲作社会からなる弥生時代の日本において、気候、特に水環境の変化が、社会に大きな影響を与えていた可能性を強く示唆する。