著者
河村 公隆
出版者
Tokyo Geographical Society
雑誌
地学雑誌 (ISSN:0022135X)
巻号頁・発行日
vol.98, no.6, pp.791-797, 1989-12-05 (Released:2009-11-12)
参考文献数
35
著者
河村 公隆 山崎 正夫 石渡 良志
出版者
日本有機地球化学会
雑誌
Researches in organic geochemistry (ISSN:13449915)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.30-36, 1978-09

1.榛名湖,琵琶湖表層堆積物中にC_<18:2>,C_<18:3α>を含む不飽和脂肪酸を検出した。2.しかしその深度分布は二つの湖で大きく異なる。榛名湖では不飽和酸は飽和酸に対して深さとともに急速に減少するが,琵琶湖では大きな変化は観察されなかった。この差異の原因の一つとして堆積物の質的差異があげられる。3.琵琶湖の場合,5mまでの深さにおいてもC_<18:2>,C_<18:3>ポリ不飽和酸を検出した。それらは,0.2,2,3.5m附近で大きな濃度値を示した。これはポリオ飽和酸の供給量の変動によるものと解釈される。ポリ不飽和酸の供給量は当時の湖の水温,気温の変動を反映している可能性がある。
著者
中塚 武 大西 啓子 河村 公隆 尾嵜 大真 光谷 拓実
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2009年度日本地球化学会第56回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.32, 2009 (Released:2009-09-01)

弥生時代末期に生じた倭国大乱や邪馬台国の卑弥呼の登場など、日本の古代社会の変動と気候変化の関係を解析するため、長野県南部で発掘された2個体の埋没ヒノキから、紀元前1世紀~紀元3世紀の1年毎に年輪セルロースを抽出し、その酸素同位体比を測定して、当時の夏季の水環境の経年変動を復元した。変動の周期や振幅は時代と共に大きく変化し、特に2世紀後半の倭国大乱の時期には、長周期の大きな水環境の変動が生じ、その収束と共に、卑弥呼の時代が到来したことなどが明らかとなった。こうした結果は、初期稲作社会からなる弥生時代の日本において、気候、特に水環境の変化が、社会に大きな影響を与えていた可能性を強く示唆する。
著者
河村 公隆 渡辺 智美 持田 陸宏 畠山 史郎 高見 昭憲 ワン ウエイ
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.166-166, 2006

2002-2004年の冬、夏、春において航空機をもちいて中国上空(沿岸域、内陸域)でエアロゾルを採取した。本研究では、水溶性ジカルボン酸の高度分布を示し、その季節的特徴を報告する。特に、夏に行われた観測では、ジカルボン酸濃度は高度とともに増加し、対流圏下部(境界層)において、光化学的に生成していることが強く示唆された。しかし、高度2.5km以上では、それらの濃度は急激に減少した。有機炭素や硫酸で規格化したジカルボン酸の濃度は、同様な高度分布の特徴を示した。
著者
中塚 武 光谷 拓実 河村 公隆 安江 恒 光谷 拓実
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

樹木年輪のセルロースに含まれる酸素と水素の同位体比が、過去の降水量や相対湿度の変動を、年~月の単位で極めて良く記録しているという知見に基づき、北海道から南西諸島に至る日本各地で、過去数百~数千年に亘る水循環の変動を復元して、梅雨前線活動とエルニーニョの関係の周期変動や、洪水・旱魃のサイクルが日本の歴史に与えた影響、水循環変動に対する植物の長期応答などについて、気候学・歴史学・生態学的解析を行った。
著者
植松 光夫 河村 公隆 三浦 和彦 長田 和雄 鵜野 伊津志 向井 人史
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

大気・海洋表層の物質循環過程の定量的解析のため、海洋大気中の気体や粒子の分析法開発・観測・モデル計算を行った。陸起源大気粒子の沈着が含有鉄分により十分に植物プランクトンの大増殖を引き起こす可能性を観測から見出した。西部北太平洋の海洋大気粒子中の窒素や炭素の大部分は有機態であり、いずれも海洋起源であることを解明した。また、モデル、衛星データ等により黄砂が地球を一周半以上も輸送されることを発見した。
著者
河村 公隆 WANG Haobo
出版者
北海道大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2004

本研究では、大気中の微粒子、特に有機物からなるエアロゾルに着目し、その組成解析を行うことを目的にする。特に、都市における有機エアロゾルをガスクロマトグラフ・質量分析計を使って解析し、主要な燃料に違いによって大気中のエアロゾル成分にどのような違いが生ずるのかを明らかにする。中国では、石炭が重要な工業的エネルギー源であり、家庭においても石炭・木材の双方が燃料源として広く使われている。一方、ニュージーランドでは、両方のエネルギーが使われており、特に、クライストチャーチでは家庭の暖房に薪を多用するために大気汚染が問題となっているのに対し、オークランドでは石油が一般的につかわれている。二つの主要都市は、冬期に使用するエネルギーの種類において対照的である。そこで、本研究では、ニュージーランドの2つの都市で採取されたエアロゾル試料を分析し、その化学成分の特徴から化石燃料とバイオマスの燃焼の寄与を明らかにすることを目的とした。エアロゾル試料中の有機炭素、黒色炭素、水溶性炭素の濃度を測定するとともに、主要イオン成分を測定した。その結果、冬季の暖房に薪を多用するクライストチャーチでは、有機炭素・黒色炭素の濃度がオークランドにくらべて著しく高いことがわかった。更に、エアロゾル試料から有機成分を分離し、GC/MSによる詳細な解析を行った。その結果、バイオマス燃焼に由来する有機物がクライストチャーチの冬のサンプルで高い濃度を示すことが明らかになった。特に、セルロースの燃焼生成物であるレボグルコサンは最も高い濃度をしめす有機物として検出され、薪の使用が有機エアロゾルの生成に大きく寄与していることを明らかになった。一方、オークランドで採取したエアゾル試料では、原油や石炭など化石燃料の燃焼に起因する有機物(例えば、ホパノイド炭化水素)が高い濃度で検出された。以上の成果は、国際誌であるEnviron.Sci.and Technol.に投稿された。現在、審査中である。
著者
河村 公隆 渡辺 興亜 中塚 武 大河内 直彦
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1997

本研究では、グリーンランド(Site-J)で採取した氷床コア中に生物起源の脂肪酸を検索し、炭素数7から32の脂肪酸を検出した。海洋生物起源の脂肪酸(C_<12>-C_<18>)の濃度は、1930-1950年代に高く1970年代にいったん減少した後、1980年代に増加することがわかった。濃度増加が認められた時代は、温暖な時期に相当しており、この時期には海氷の後退と低気圧活動の活発化によって海水表面からの大気への物質輸送が強化されたものと考えられる。また、シュウ酸(炭素数2のジカルボン酸)から炭素数11までのジカルボン酸を検出した。ジカルボン酸の炭素数分布の特徴は、コハク酸(C_4)がほとんどの試料で優位を示したことであったが、19世紀以前は優位でなかったアゼライン酸(C_9)が20世紀になって急激な濃度増加をし、1940年代に大きなピークを示した。アゼライン酸は生物起源の不飽和脂肪酸の光化学反応によって選択的に生成される有機物であることから、この結果は、海洋生物由来の有機物の大気への寄与がこの時期に大きく増加したことを示すとともに、それらが大気中で光化学的に酸化されたことを意味する。南極H15アイスコア中にUCM炭化水素やPAHを検出したことにより、人為起源物質が南極氷床まで大気輸送され、保存されていることが明らかとなった。これらの濃度は1900年以降増加しており、この結果はグリーンランドアイスコアの傾向と一致した。このことから、1900年代以降、全球的に大気中の人為起源物質が増加したことが示唆された。不飽和脂肪酸や低分子ジカルボン酸の組成比から推定された大気の酸化能力は、過去350年間において大きく変動したと考えられる。アゼライン酸とその前駆体である不飽和脂肪酸の濃度比は、1970年代以降急激に増加しており、南極における対流圏の光化学的酸化能力が、1970年代以降、成層圏オゾン濃度の現象に対応して増大している可能性が示唆された。