著者
石川 智子 上野 雄一郎 小宮 剛 吉田 尚弘 丸山 茂徳
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2009年度日本地球化学会第56回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.41, 2009 (Released:2009-09-01)

後期原生代エディアカラ紀から顕生代初期カンブリア紀にかけて、生物進化と地球化学の両面で大規模な変動が起きたと考えられいる。特に先カンブリア紀/カンブリア紀境界(Pc/C境界)前後において海洋の無機炭素同位体比は大きく変動しており、当時の海洋の炭素循環の著しい変化が予想される。一般に、海洋の炭素循環の定量化には当時の海洋の有機炭素同対比の情報も必要不可欠であるが、Pc/C境界前後の有機炭素同対比が無機炭素同位体比と共に一地域で報告された例はほとんどない。そこで我々は、南中国・三峡地域において掘削により採取された連続試料を用いてPc/C境界前後の高時間分解能の有機炭素同位体比化学層序を求めた。得られた無機・有機炭素同位体比の関係性を基に、数値計算を行い当時の海洋の炭素循環について定量的に議論する。
著者
西尾 嘉朗 塚原 弘昭
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2009年度日本地球化学会第56回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.193, 2009 (Released:2009-09-01)

松代群発地震域の湧水のリチウムとストロンチウムの同位体比に正の相関を発見した。松代湧水のLi濃度から計算すると,本地域のLi同位体比は表層水混入の影響はなく,深部水の値とみてよい。つまり,今回発見されたLiとSrの正の相関は,非表層水と表層水の2成分混合の結果ではなく,従来1成分と思われていた非表層水成分が少なくとも2成分あることを意味する。
著者
中塚 武 大西 啓子 河村 公隆 尾嵜 大真 光谷 拓実
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2009年度日本地球化学会第56回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.32, 2009 (Released:2009-09-01)

弥生時代末期に生じた倭国大乱や邪馬台国の卑弥呼の登場など、日本の古代社会の変動と気候変化の関係を解析するため、長野県南部で発掘された2個体の埋没ヒノキから、紀元前1世紀~紀元3世紀の1年毎に年輪セルロースを抽出し、その酸素同位体比を測定して、当時の夏季の水環境の経年変動を復元した。変動の周期や振幅は時代と共に大きく変化し、特に2世紀後半の倭国大乱の時期には、長周期の大きな水環境の変動が生じ、その収束と共に、卑弥呼の時代が到来したことなどが明らかとなった。こうした結果は、初期稲作社会からなる弥生時代の日本において、気候、特に水環境の変化が、社会に大きな影響を与えていた可能性を強く示唆する。
著者
海保 邦夫 古賀 聖治 大庭 雅寛 高橋 聡 福田 良彦
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2009年度日本地球化学会第56回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.19, 2009 (Released:2009-09-01)

浅海層の炭酸塩中の硫酸塩の硫黄同位体比変動と、深海堆積物の硫化物硫黄同位体比変動は、大量のH2Sがペルム紀末の100万年間で強還元的海洋に蓄積し、蓄積されたH2Sのほとんどが大量絶滅と同時に2万年間で海洋中深層から海洋表層と大気へ放出されたことを示唆する。また、南中国で、硫酸塩硫黄同位体比の増加期と減少時に、緑色硫黄細菌起源と考えられるアリルイソプレノイドの濃集が認められた。緑色硫黄細菌の存在は、光合成帯が還元環境であったことを示すので、深海に蓄積されたH2Sが表層へ出て来たことを示す。大気化学反応モデルを用いて、H2S 大量放出時のO2 濃度の変化を計算した結果、大気酸素濃度は、硫化水素の大気への放出時に相対的に約40%減少したことになる。硫化水素の酸化に伴うこの大気酸素濃度の急減は、海洋無酸素水塊の発達を助長し、ペルム紀末の生物大量絶滅に加担したかも知れない。