著者
山ノ井 髙洋 豊島 恒 山﨑 敏正 大西 真一 菅野 道夫
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報 (ISSN:13477986)
巻号頁・発行日
vol.28, no.3, pp.639-646, 2016-06-15 (Released:2016-07-12)
参考文献数
12

著者らは,クラブのトランプAからKまでの13枚の画像をCRT上で被験者に提示し,認知時またそれを想起した際のEEG計測を行なった.著者らが従来から試みている正準判別分析法をこれらのシングルトライアルEEGに適用した.従来から判別に用いている右中前頭回に対応する国際10-20法に対応するEEG計測位置であるFp2とF4,C4,F8の4チャネルからのEEG出力を判別に用いた.サンプリング区間は潜時400msから900msを25ms間隔でサンプリングし,84次元のベクトルデータを構成した.さらに,データを3倍とするサンプリング方法も検討した.ジャックナイフ統計を用いた正準判別分析の結果9人の被験者の判別率は90パーセントを越えた.これにより.トランプカードの推定マジックがトリックなしで90%以上の確率で行えた.
著者
大西 真一 今井 英幸 河口 至商
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.140-147, 1997-02-15
参考文献数
11
被引用文献数
2

人間のもつ自然な感覚を取り入れた意思決定の一手法に1977年にSaatyによって提案された階層化意思決定法(Analytic Hierarchy Process, AHP)がある.これを拡張したものにファジィAHPがあり, 通常のAHPでは考慮していなかった代替的や補完的な評価を可能にしている.ところが実際にAHPおよびファジィAHPを行っていると代替案の重要度にあまり差がなく選択が困難な場合があり, このようなとき一対比較行列の成分が重要度に対してどのように影響を与えているかを調べることは, 結果の解釈に手がかりをもたらしたりデータの構造を知る上で重要であると考えられる.それらを探索する方法としては現在まで感度分析を用いて2通り提案されているが, データの構造を変化させていたり方法が複雑であるなどの問題がある.また現在までファジィAHPに対する感度分析は提案されていない.そこで本論文ではまず通常のAHPにおいてデータの構造を変えずに比較的簡便に使用できる重要度への影響の評価を提案し, それによりファジィAHPの代替案の重要度への評価も提案する.最後にファジィAHPの感度分析の結果を実際の数値実験例を用いて紹介する.