著者
種市 信裕 今井 英幸 関谷 祐里
出版者
日本計算機統計学会
雑誌
計算機統計学 (ISSN:09148930)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.11-17, 1998
参考文献数
6

回帰分析ではあるデータが回帰係数の推定に及ぼす影響を評価するために回帰診断が広く用いられている.Andersen (1992)はセル確率が未知パラメータにより表現される多項モデルのパラメータ推定において,各セルが推定に与える影響力を評価するために回帰診断におけるCook距離(Cook & Weisberg, 1982)に類似した指標を提案した.この指標はセルの観測値が0であるという条件付分布のもとでの推定量を用いて各セルがパラメータ推定に与える影響を評価するために,統計モデル的な意味での解釈が難しい.そこで本論文においては統計モデル的に意味のある影響力評価のための指標の提案を行い,さらにその指標の近似指標を与えた.
著者
田中 章 今井 英幸 宮腰 政明 伊達 惇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.79, no.5, pp.819-825, 1996-05-25
参考文献数
6
被引用文献数
40

Mallatにより提案された多重解像度解析は, 関数空間を解像度の異なる部分空間列により表現する. 各部分空間は一つ解像度の低い部分空間と, その補空間の直和として表現される. Mallatはこれを直交ウェーブレットとスケール関数を用いて記述した. 本論文は, 離散化された自然画像を拡大する手法として, その画像の多重解像度解析を考え, その各解像度の成分の間に同程度の相関があることを利用して, 本来もとの画像には含まれていない高解像度の成分を推定し, その成分ともとの画像の情報から拡大画像を得る手法を提案する. また, 信号の内挿手法として広く用いられている, 共1次内挿法(bi-linear interpolation)や3次畳込み内挿法(cubic convolution interpolation)と比較を行い, 本手法の有効性を検証する.
著者
大西 真一 今井 英幸 河口 至商
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.140-147, 1997-02-15
参考文献数
11
被引用文献数
2

人間のもつ自然な感覚を取り入れた意思決定の一手法に1977年にSaatyによって提案された階層化意思決定法(Analytic Hierarchy Process, AHP)がある.これを拡張したものにファジィAHPがあり, 通常のAHPでは考慮していなかった代替的や補完的な評価を可能にしている.ところが実際にAHPおよびファジィAHPを行っていると代替案の重要度にあまり差がなく選択が困難な場合があり, このようなとき一対比較行列の成分が重要度に対してどのように影響を与えているかを調べることは, 結果の解釈に手がかりをもたらしたりデータの構造を知る上で重要であると考えられる.それらを探索する方法としては現在まで感度分析を用いて2通り提案されているが, データの構造を変化させていたり方法が複雑であるなどの問題がある.また現在までファジィAHPに対する感度分析は提案されていない.そこで本論文ではまず通常のAHPにおいてデータの構造を変えずに比較的簡便に使用できる重要度への影響の評価を提案し, それによりファジィAHPの代替案の重要度への評価も提案する.最後にファジィAHPの感度分析の結果を実際の数値実験例を用いて紹介する.