著者
立田 ルミ 富澤 儀一 大西 雅行 中西 家栄子
出版者
獨協大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

本研究は、日本文化が若い世代にどのように捕らえられているかをインターネットを通じて知らせ、また、英語圏の外国人学生が日本文化に対してどのようなイメージを抱いているかの意見を載せ、ホームページを見た人達がこれらに対してどのように感じるかの意見交換の場を設けることにより、よりよく日本文化を理解してもらうことを目的としている。これらのホームページから、日本人学生は日本文化がどのように英語と日本語で紹介されているかを知り、英語圏の外国人学生は日本語と英語でどのように日本文化が紹介されているかを知ることにより、日本文化に対する理解を深めることの助けとなる。以前に開発した茶道のコースは教える側からの日本文化紹介が主であったが、本システムの開発に当たって研究会で何度も議論した結果、教える側からの日本文化の押し付けではないような形にすることに決定した。そこで、獨協大学学生と東京理科大学学生がもし日本文化を紹介するならどのような事を紹介したいかを調査し、それらの調査結果をまとめたものを土台としてシステム開発することにした。それと同時に、獨協大学に滞在中のエセックス大学学生に対して、自分の国に帰ったらどのように日本文化を紹介するかも日本語で書かせた。またイリノイ大学で日本文化を学んでいる学生に対しては、どのような日本文化をもっと知りたいかを調査した。イリノイ大学に留学中の日本人学生に対しても、どのような日本文化を外国人に知らせたいかを調査した。また、日本語をこれから教えようと思っている獨協大学学生に対して、どのような日本文化を通じて日本語を教えたいかを問うた。これらの学生の意見を土台にして、各日本文化の項目について日本語と英語の両方の言語で個々にホームページに載せるとともに、それと関連する写真も載せた。またこれらをデータベース化して、そのトップ3位について詳しく解説を載せた。またこれらのページを見た学生が、自分の意見を追加できるように設計した。この意見交換については文字情報だけでなく画像情報も載せ、ページを見た人はいつでも日本文化に対する意見を投票できるように工夫した。
著者
壇辻 正剛 新保 仁 堂下 修司 梅崎 太造 大西 雅行 土岐 哲
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

日本語音声に対するIPA(the International Phonetic Alphabet,国際音声記号、国際音声表記、国際音声字母、国際音標文字)表記の基準作成を求めて、人文系と工学系の研究者が協力して研究を推進した。音声学的側面、音韻論的側面などの言語学的側面および日本語教育などの語学教育的側面、音声の音響分析、音声認識、音声合成などの音響工学、音声情報処理的側面など様々な方面からの研究を統合することによって、日本語音声の記述にIPAという一種のグローバルスタンダードを導入する基盤を確立した。分析対象の音声資料の収集に関しては、既存の音声データベースを活用するだけでなく、独自に音声データの録音、収集、編集を行なった。アンケート調査の結果、相違の著しかった音声を中心に、精緻な音響分析を施し研究の進展を図った。また、比較検討のため他の諸言語の音響分析も行った。主観的な判断に傾きがちであった聴覚印象に頼る音声転写に音響分析を積極的に活用して客観的な基準の作成に努め、定量的な比較や定性的な比較が可能になる新たな音響素性の導入を提案した。また、日本語教育や障害者教育など教育の現場にどのようにIPA表記の問題を活用していくのかを各側面より検討した。その成果の一部をコンピュータ支援型日本語教育システムの開発に導入することが可能になった。IPAのコンピュータ処理に関して、従来のIPAの数値コードの問題点を指摘すると共に、改善案としてより合理的な新たな数値コード化の導入を提案した。さらに、音声合成や音声認識など音声情報処理の分野にIPA表記の問題を導入し、日本語の合成音の記述、表記に関して基準を提供した。音声認識に関しては、特定言語にとらわれない記号系の利用としてIPAを利用する研究を進めるなど、各分野の研究の進展とIPAの応用に新しい側面から視点を与える研究を推進した。