著者
竹本 幹夫 山中 玲子 小林 健二 落合 博志 大谷 節子 三宅 晶子 天野 文雄 石井 倫子 稲田 秀雄 表 きよし 樹下 文隆 西村 聡 松岡 心平 三宅 晶子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

番外曲を中心に、カ行までの170番1020本ほどを翻刻した。また代表者・分担者・連携研究者はそれぞれ別記の論考を発表した。研究成果として発表した謡本以外にも、全国の謡本資料を博捜して、『国書総目録』未収の謡本を多数発見、デジタル化した。それらはハードディスクに複写して連携研究者以上の研究参加者がそれぞれ保管し、今後の作業のために役立てる。また竹本が監修し、分担者等の内、三宅晶子・山中玲子が中心となり、落合博志・大谷節子が補佐して編集実務に当たる形で、『現代謡曲集成』全6巻を企画し、勉誠出版より刊行の予定である。これについてはすでに第1巻が本年度中に刊行の予定で、数年以内に全巻刊行の後、別途全謡曲本文を網羅した『謡曲大成』を刊行の予定である。また分担者の内、大谷節子が、別記の著書『世阿弥の中世』により、2008年度角川源義賞を受賞したことも申し添えたい。
著者
竹本 幹夫 山中 玲子 小林 健二 落合 博志 大谷 節子 石井 倫子 表 きよし 三宅 晶子
出版者
早稲田大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2001

本研究においては、現代の能楽研究における資料調査の実績を踏まえ、全国に散在する文庫・図書館・個人所蔵の謡本を博捜し、曲目索引を作成して『国書総目録』【能の本】以後に発見された謡曲作品・伝本を網羅的に補足することから出発し、上記500曲の各作品ごとに、伝存するテキストの系統関係を調査した上で、主要な系統の伝本を、一曲につき数本ずつ翻刻することを目指した。室町期成立の能のテキストを網羅的に翻刻・集成するような事業は今まで全く存在せず、本研究が能楽のみならず、近世・近代前期の文芸研究、および国語学に与える影響は、きわめて大きい。最終的な成果は、『謡曲大成』(仮称)の刊行を企図しているが、一曲ごとに数十本存在する伝本を書写・校合する作業が予想以上に難航し、このたびようやくア行74曲の系統付けが完了した。C-18として付属させた冊子がその成果内容である。これらの作業過程で、古写本・古版本の新出資料を複数調査することが出来た。その中には江戸時代版行番外謡本の系統研究に重要な位置を占める、伊藤正義氏蔵「寛永頃刊行観世流異書体小本」のような稀覯本も含んでいる。早稲田大学演劇博物館蔵「春藤流升形十番綴謡本」三百番のような、従来存在は知られていたが位置付けが不明であった本についても発見があった。この本は、観世流系ワキ方であった福王流の江戸後期の大規模な謡本集成に先駆けて行われた、金春流系ワキ方系の謡本集成としては比較的早い例に属することなどが明らかとなった。また謡本研究とは直接関連しないが、本研究費による謡本の所在調査の過程で、研究分担者や研究協力者による、曲ごとの作品研究が活性化した。さらには、本研究費による謡本調査の過程で、研究代表者の竹本による世阿弥能楽論書『三道』の最善本の発見なども行われた。いずれも本研究の特筆すべき副次的成果といえよう。