著者
岡本 勝弘 三輪 幸司 渡邉 憲道 萩本 安昭 大谷 英雄
出版者
Japan Association for Fire Science and Engineering
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.73-81, 2009 (Released:2010-06-10)
参考文献数
14
被引用文献数
1

放火を目的にガソリンを床面に散布した事例やガソリンが漏洩して広範囲に広がった事例においては、発生したガソリン蒸気が周囲に拡散して空気と混合し、可燃性混合気を形成する。そのため、ガソリン散布面が形成された場合の火災危険性評価を行うには、ガソリン蒸気の濃度分布を明らかにする必要がある。本論文では、種々のガソリン散布条件におけるガソリン蒸気の拡散挙動を測定した。床面にガソリンが散布された場合には、約30分で高さ40cmまで可燃性混合気が形成されることが確認された。床面より上方の箇所にガソリンが散布された場合には、ガソリン蒸気は急速に下方に拡散混合し、散布面下側領域の濃度が均一になることが判明した。ガソリン蒸気を単一成分と仮定して、種々の散布条件におけるガソリン蒸気拡散モデルを提唱し、ガソリン蒸気濃度分布を予測した。さらに、種々のガソリン散布条件においてガソリン蒸気の着火実験を行い、提唱したモデルの適合性を検証した。(オンラインのみ掲載)
著者
大谷英雄・堀口貞茲・浦野洋吉・徳橋和明・岩阪雅二・近藤重雄
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.96-98, 1988-04-15 (Released:2017-10-31)

内径100mm,高さ100mmの円筒型容器を用いてホスフィンの爆発限界を測定した.点火にはニクロ ム線に直流電流を流して溶断する方法を使用した. 酸素濃度を約21.5vol%に固定してホスフィン濃度を大きくすると,1.61vo1%から圧力が発生するようになった.約1.71vol%までは発生圧力は徐々に上昇し,その後急激に上昇,約1.9vol%を超えると再び濃度による圧力の変化は少なくなった。発生圧力の小さいところでは容器内の混合気の一部しか反応していない、ただし,1.61vo1%以下でもニクロム線近傍では反応が起こったものと考えられるが,圧力上昇は観察されなかったことから,1.61vol%以上ではある程度火炎が伝播し・たものと考えられる。窒素濃度を変化させた実験などから,空気中の爆発下限界は1.6vol%である.
著者
岡本 勝弘 宮本 寛樹 本間 正勝 渡邉 憲道 平柗 宗之 大谷 英雄
出版者
Japan Association for Fire Science and Engineering
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.9-19, 2013 (Released:2015-10-30)
参考文献数
25

本報では,ガソリンに灯油や軽油といった揮発性の低い燃料油が混合された場合の蒸発拡散挙動を予測することを目的とする。低揮発性燃料油が混合されたガソリンが蒸発した場合には,より蒸気圧の高いガソリン成分のみが蒸発すると仮定し,混合ガソリンの蒸気圧及び蒸発速度の予測モデルを提案し,その適用範囲を明らかにした。また,混合ガソリンの床面散布時における蒸気濃度分布の予測モデルを導出した。さらに,床面散布した20 mass% 軽油混合ガソリンから発生する蒸気に対する着火実験を行ったところ,実験結果は着火予測とよく一致し,提案した予測モデルにより,灯油あるいは軽油が混合したガソリンが床面に散布された場合における着火危険性を予測できることが明らかとなった。
著者
大谷英雄・堀口貞茲・浦野洋吉・徳橋和明・岩阪雅二・近藤重雄
出版者
安全工学会
雑誌
安全工学 (ISSN:05704480)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.96-98, 1988

<p><tt><b>内径100mm,高さ100mmの円筒型容器を用いてホスフィンの爆発限界を測定した.点火にはニクロ ム線に直流電流を流して溶断する方法を使用した. 酸素濃度を約21.5vol%に固定してホスフィン濃度を大きくすると,1.61vo1%から圧力が発生するようになった.約1.71vol%までは発生圧力は徐々に上昇し,その後急激に上昇,約1.9vol%を超えると再び濃度による圧力の変化は少なくなった。発生圧力の小さいところでは容器内の混合気の一部しか反応していない、ただし,1.61vo1%以下でもニクロム線近傍では反応が起こったものと考えられるが,圧力上昇は観察されなかったことから,1.61vol%以上ではある程度火炎が伝播し・たものと考え</b></tt><tt><b>られる。窒素濃度を変化させた実験などから,空気中の爆発下限界は1.6vol%である. </b></tt></p>
著者
岡本 勝弘 宮本 寛樹 本間 正勝 渡邉 憲道 平柗 宗之 大谷 英雄
出版者
日本火災学会
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.9-19, 2013

本報では,ガソリンに灯油や軽油といった揮発性の低い燃料油が混合された場合の蒸発拡散挙動を予測することを目的とする。低揮発性燃料油が混合されたガソリンが蒸発した場合には,より蒸気圧の高いガソリン成分のみが蒸発すると仮定し,混合ガソリンの蒸気圧及び蒸発速度の予測モデルを提案し,その適用範囲を明らかにした。また,混合ガソリンの床面散布時における蒸気濃度分布の予測モデルを導出した。さらに,床面散布した20 mass% 軽油混合ガソリンから発生する蒸気に対する着火実験を行ったところ,実験結果は着火予測とよく一致し,提案した予測モデルにより,灯油あるいは軽油が混合したガソリンが床面に散布された場合における着火危険性を予測できることが明らかとなった。
著者
李 義平 大谷 英雄 関 勉 長谷川 秀夫 今田 修二 矢代 勲
出版者
Japan Association for Fire Science and Engineering
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.50, no.1, pp.1-12, 2000-06-30
被引用文献数
3

火災現場の溶融痕からは,しばしば酸化組織が認められる。しかしながら,この酸化組織が,火災の原因になったもの(1次溶融痕)か,通電状態で火災になって短絡してできたもの(2次溶融痕)かを鑑定する方法は確立されていない。そこで,酸化組織のDAS(Dendrite Arm Spacing)と酸素濃度により溶融痕の生成時の雰囲気温度が推定できるかを検討した。本研究を通じて,(1)溶融痕の酸化組織のDASは酸素濃度と冷却濃度の関数であること,(2)溶融痕の酸化組織は火災に暴露されても再溶融しない限りは変化しないこと,(3)溶融痕の中の酸素濃度とDASを測定することにより溶融痕生成時の雰囲気温度が推定できることが明らかになった。<br>(オンラインのみ掲載)