著者
山本 忠弘 阿曽 正登 清水 敏昭
出版者
日本火災学会
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.17-23, 1984 (Released:2012-07-04)
参考文献数
7

It is well known that on addition of water onto a large amount of quick lime an exothermic reaction occurs and accumulated energy brings about a fire. However, even a small amount of desiccant for foods (about 110 g) brought about a fire in Himeji City of Hyogo Prefecture last year. Authors had interest in the fire caused by a desiccant and tried 47 ignition tests using desiccant (I) and quick lime in technical grades (II). The tests were carried out under conditions like the fire: Package of (I) or (II) was placed in sugar can (200 φ × 270 H) filled with a large volume of newspapers and tissue papers. Water was dropped into the opened package. 1) In 33 ignition tests for (II), ignition occurred 8 times and smoldering 10 times. The shortest time reached to ignition was 40 minutes and 34.6 ml of water was dropped for this period. The longest time was 90 minutes and 60 ml was dropped. When water was dropped at the rate of 0.5 - 0.9 ml/min in the range of these times and water amounts, the possibility reached to the ignition was high. 2) In 14 ignition tests for (I), smoldering occurred 4 times and smoke filled inner parts of the can. In the case of (I) having low calorific values such as less than 4 kcal/mol, smoke did not occur and the temperature did not rise to over than 200 °C. 3) Calorific values of (I) with water were 5 - 6 kcal/mol in average and less than 1/2 as compared to those of quick lime in 100% purity (determined value, 14.6) and in technical grades (11.9). The lowest one was 3.3 kcal/mol. 4) When the package included desiccant was immersed in water for 2 hours, about 70% of initial weight increased. The packing paper can pass fairly large amounts of water.
著者
岡本 勝弘 宮本 寛樹 本間 正勝 渡邉 憲道 平柗 宗之 大谷 英雄
出版者
日本火災学会
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.9-19, 2013

本報では,ガソリンに灯油や軽油といった揮発性の低い燃料油が混合された場合の蒸発拡散挙動を予測することを目的とする。低揮発性燃料油が混合されたガソリンが蒸発した場合には,より蒸気圧の高いガソリン成分のみが蒸発すると仮定し,混合ガソリンの蒸気圧及び蒸発速度の予測モデルを提案し,その適用範囲を明らかにした。また,混合ガソリンの床面散布時における蒸気濃度分布の予測モデルを導出した。さらに,床面散布した20 mass% 軽油混合ガソリンから発生する蒸気に対する着火実験を行ったところ,実験結果は着火予測とよく一致し,提案した予測モデルにより,灯油あるいは軽油が混合したガソリンが床面に散布された場合における着火危険性を予測できることが明らかとなった。
著者
保野 健治郎 難波 義郎 西谷 忠彦 松岡 秀男
出版者
日本火災学会
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.45-55, 1997-04-30
参考文献数
18
被引用文献数
4

我が国では,昭和51年の酒田大火を最後に都市大火は発生していなかった。しかし,兵庫県南部地震において神戸市内で発生した市街地火災のような大地震や強風下等の悪条件のもとでは,大火発生の危険は依然として残されている。そこで,本研究では,平常時については,K市とM市の火災,昭和21年~昭和27年までの大火並びに酒田大火についての延焼速度式について分析した。一方,神戸市の地震時の延焼速度式に関して,実測の焼損面積と予測値との相関は,r≒0.9程度であり,かなりよく一致していることなどがわかった。<br>(オンラインのみ掲載)
著者
東京消防庁調査課
出版者
日本火災学会
雑誌
火災 (ISSN:04499042)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.p1-7, 1989-12
被引用文献数
1
著者
椿 真 中川 博樹 岩浪 正典 中野 弘伸
出版者
日本火災学会
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.33-39, 2005-06-29
参考文献数
4
被引用文献数
3

毎年,電気火災によって人命が失われる事故が多く発生している。この原因の一つとして配線器具の差込みプラグやコンセント部からの発火が挙げられている。発火原因は,電源と配線器具との接続部の過熱による場合と,配線器具の絶縁破壊による短絡,いわゆるトラッキング現象による場合がある。本論文では,トラッキング現象のプロセスを解明することを目的として,差込みプラグの絶縁材料として主に使用されているポリ塩化ビニル樹脂と,コンセント用の絶縁材料であるユリア樹脂について,熱的な影響と電解液の濃度条件を変えて耐トラッキング性について検討を行った。この結果,測定された漏れ電流の挙動からトラッキング現象の発生メカニズムについて考察した。<br>(オンラインのみ掲載)
著者
樋本 圭佑 幾代 健司 秋元 康男 北後 明彦 田中 哮義
出版者
日本火災学会
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.53-63, 2006-12-25
参考文献数
20
被引用文献数
2

本論文では,筆者らがこれまでに開発してきた都市火災性状予測モデルに対して,放水の物理的火災抑制効果,ならびに都市火災時における住民の消火活動行動を組み込むことで,可搬ポンプ等を利用した地域消火活動の有効性を定量的に評価可能なモデルヘと発展させた。ケーススタディとして,同形状の建物が等間隔に並んだ仮想的な市街地に本モデルを適用し,消防水利の整備状況が市街地の火災安全に及ぼす効果について基礎的な検討を加えた。<br>(オンラインのみ掲載)
著者
植竹 徹 渡部 学 奈良 松範
出版者
日本火災学会
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.44, no.1, pp.1-7, 1996-04-30
参考文献数
14
被引用文献数
1

避難計算のための流動係数は重要なパラメータの一つである。現代の出入口および階段降り口における群集の流動係数を求めるため,終着駅での通勤客の降車状況や映画館・劇場での終演時の観客の退場状況や混雑時の駅ホーム階段降り口における群衆の動きをビデオを使い実測した。<br>実測の結果,出入口における流動係数は,滞留人数の多い方が流動係数が大きくなり,また,過去の同様な実験のデータに比べ,出入口における流動係数が大きくなった。出入口の通過人数は開口幅により階段的に増加すること,階段降り口部における流動係数は人数が多くなると滞留人数には因らず一定になることを明らかにした。<br>(オンラインのみ掲載)
著者
関根 孝
出版者
日本火災学会
雑誌
火災 (ISSN:04499042)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.p43-46, 1993-04
著者
早坂 洋史 工藤 祐嗣 小島 秀吉 上田 孝志
出版者
日本火災学会
雑誌
日本火災学会論文集 (ISSN:05460794)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.11-17, 1998-06-30
参考文献数
13
被引用文献数
4

小型の区画火災実験装置で,バックドラフト発生前後の区画内の温度や酸素濃度の変化傾向などを測定した。この結果,(1)バックドラフトに特有と思われる,天井部付近の温度と酸素濃度の急激な変化傾向が観測できた。つまり,バックドラフト発生前には,火炎の自己消炎に伴い,急激に温度が低下し,酸素濃度は上昇した。(2)バックドラフトの発生直後の開口部からの煙・火炎の噴出状況とファイアボール形成過程をビデオカメラによる連続写真で明確に示した。(3)小型の区画火災実験装置でのバックドラフト発生のシナリオを作成した。<br>(オンラインのみ掲載)