著者
大隈 節子 清水 一巳 OKUMA Setsuko SHIMIZU Kazumi
出版者
三重大学教育学部
雑誌
三重大学教育学部研究紀要, 自然科学・人文科学・社会科学・教育科学 (ISSN:18802419)
巻号頁・発行日
vol.65, pp.131-140, 2014-03-31

本研究は運動部活動と高校生のアイデンティティとの関連性について検討するために、エリクソンによって定式化された自我の発達段階図式に則り、心理社会的発達課題の達成状況を測定評価するために開発された質問用紙EPSI(全8段階56項目)の中から選択した8項目について男女別に運動部所属者、文化部所属者、無所属者で比較検討を行った。男子においては8段階中の6段階について、女子においては7段階の発達課題において運動部所属者の方が有意に達成傾向にある者の割合が多いという結果であった。
著者
西村 秀樹 米谷 正造 清原 泰治 大隈 節子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

グリーン・ツーリズムでは、地域の自然・文化・生業を地元の人たちから直接学ぶ「体験学習」が目玉になっており、その体験できないことを自分の身体で体験するということは、これまでの学校教育の枠にはとどまらない新しいかたちの「知」を自主的に獲得していくことにつながり、自立していく能力を養っていくことになる。これは、まさに「総合学習」の趣旨にかなっているが、その身体で体験する「総合学習」はどのような知の形態を特徴とするのだろうか。本研究では、高知県四万十川中流域(四万十市一帯)を調査フィールドとしてとりあげ、自然と生活・生業および文化との多様なつながりを学習できる「体験学習」を分析する。それによって、身体的行為を媒介させた生活体験を基点にして意味の連関が果てしなくつなげられていくという体系化された「知」を掘り起こすこと、およびそうした身体を基点に広げられた意味連関から生まれる臨機応変な対処能力・問題解決能力こそが「生きる力」であることを明らかにしていった。そうした「知」は、具体的には中山間地域が現在置かれている状況や都市部にはない「豊かさ」を支えている自然環境に関するものであり、それを体験的に理解することによって自らのライフスタイルを見直し、また社会と自分との関わりを考えていけるような可能性を内包する知なのである。