著者
河合 結実 橋立 博幸 太田 智裕 山根 佑典 中筋 祐輔
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
pp.12194, (Released:2022-08-09)
参考文献数
30

【目的】脊髄損傷後に両下肢の痙縮と歩行障害を認めた症例に対する振動療法を併用した運動療法の経過について記述することを目的とした。【症例】脊髄損傷受傷から12週後の回復期病院入院時,歩行に全介助を要し,両側足関節底屈筋の痙縮modified Ashworth scale(以下,mAs)2,足関節背屈の関節可動域(以下,ROM)右−10°,左−20°であった。【結果】足関節底屈筋の痙縮に対する振動療法を併用した運動療法を入院後16週間行った結果,足関節底屈筋mAs右1+,左1,両側足関節背屈ROM 5°へ改善し,補装具を用いた軽介助歩行が可能となった。入院16週後以降も運動療法を継続した結果,入院24週後の退院時では,両側足関節底屈筋mAs 1へ改善し,補装具を用いずに見守り歩行が可能となった。【結論】脊髄損傷後の本症例では,振動療法を併用した運動療法が痙縮,ROM,歩行能力を改善させるために有益であったと考えられた。
著者
嘉瀬 文孝 太田 智裕 太田 宏樹 青山 寿美香 大内 和真 星 晴彦 飯田 泰明
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.250-256, 2022-04-25 (Released:2022-04-25)
参考文献数
15

目的と方法:抗原定量検査(LUMIPULSE SARS-CoV-2 Ag)は,SARS-CoV-2の検査において無症候性患者のスクリーニング検査,および退院時の陰性確認検査として使用することが可能である。今回,我々はCOVID-19と診断された入院患者のうち,同時に2本の鼻咽頭ぬぐい液検体が採取された患者(n = 156)を対象に,抗原定量検査とRT-PCRを比較し,抗原量による陰性確認と感染力の推測について検討を行った。結果:抗原定量検査の陽性一致率は97.4%(111/114),陰性一致率は42.9%(18/42),全体一致率は82.7%(129/156)であった。陰性確認では,RT-PCR陰性に相当する抗原量のカットオフ値は8.82 pg/mLであった。感染力の推測では,Ct値35以上に相当する抗原量のカットオフ値は89.73 pg/mLであった。考察:COVID-19患者の陰性確認における抗原定量検査のカットオフ値は8.82 pg/mLであり,メーカーが推奨しているカットオフ値1.34 pg/mLよりも高い結果であった。そのため,COVID-19患者の陰性確認において,1.34 pg/mLをカットオフ値とした場合,抗原定量検査はRT-PCRと比較して陰性になるまで時間を要する可能性が示唆された。また,ウイルスの感染力の推測では,Ct値35以上に相当する抗原量のカットオフ値は89.73 pg/mLであった。抗原量による感染力の推測においては今後,ウイルス培養を含めたさらなる検討が必要であると考える。