著者
藤田 昌英 中野 陽典 太田 潤 熊西 康信 木本 安彦 大道 道大 薄金 眞雄 上田 進久 塚原 康生 藤原 彰 下妻 晃二郎 杉山 龍平 飯田 透志 梁 昌熙 稲葉 秀 奥山 也寸志 阪本 康夫 石井 泰介 田口 鐵男
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.187-192, 1986

わが国で大腸癌が急増しつつある現在,信頼性が高く,かつ検診効率のよい集団検診法の確立が急がれる.われわれは昭和52年以来試みてきた3種の検診結果に基づき,.昭和57年4月から2年間,地域団体,職域団体,個人の3グループの計12,520名に対し,グアヤックスライド(シオノギ)にて制限食下に3日間便潜血を調べる方法と問診とを併用した大腸癌集団検診を実施した。要精検は3,434名(27.4%)であり,その内訳は,便潜血が1枚以上陽性であった者2,602名,3親等以内の家族に大腸癌のみられたハイリスク者524名,大腸癌を疑う症状を訴えた者308名であった。要精検者の64.4%(2,214名)が直腸指診,直腸鏡検査をうけた.注腸X線検査は1,397名,大腸ファイバースコピ一は187名に実施した.728名は消化管に何らかの異常所見がみられ,大腸癌は18名(0.14%),カルチノイドは1名,大腸ポリープは303名にみられた.大腸癌18名中17名は便潜血陽性で,残る1名はハイリスクでスクリーニングされた.腫瘍の局在ではS状結腸が10名と多かった,Dukes Cの進行癌は3名にすぎず,Dukes Bは4名であり,早期癌は10名をかぞえた.この集検法は無症状のかなりの大集団に実施でき,大腸癌をより早期に発見しうる信頼度の高い方法であると考えられた.
著者
秦 美沙 萬代 新太郎 森 崇寧 太田 潤 吉嶺 朝陽 安藤 史顕 須佐 紘一郎 飯盛 聡一郎 磯部 清志 内藤 省太郎 蘇原 映誠 賴 建光 岡戸 丈和 内田 信一
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.54, no.12, pp.689-696, 2021 (Released:2021-12-28)
参考文献数
15

経口さらには静注投与可能なカルシミメティクスの登場によって慢性腎臓病に伴う二次性副甲状腺機能低下症の治療戦略は近年劇的に変化した.カルシウム(Ca),リン,副甲状腺ホルモン(PTH)の指標範囲値達成率の向上や副甲状腺摘出術の回避という恩恵は極めて大きい.しかしながらわれわれは最近,エテルカルセチドの過剰投与によって高Ca血症を呈した維持血液透析患者の3例を経験した.症例はおのおの38歳男性,62歳男性,66歳女性で,いずれもintact PTH≦21 pg/mLと低回転骨が先行する中,経口ないし静注活性型ビタミンD製剤の中止後にも血清補正Ca濃度が上昇を続け12 mg/dLを超えた.低回転骨下のエテルカルセチド投与が無形成骨様の病態を惹起しCa緩衝系が破綻したことで高Ca血症をきたしたと考えられた.エテルカルセチドは腎疾患特有の骨病態を理解した上で適正使用されることが望まれ,注意喚起を兼ね報告する.