著者
吉川 欣亮 設楽 浩志 野口 佳裕 STEVE Brown 奥村 和弘
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

新規難聴モデルマウスの樹立およびそれを応用した難聴発症機構の解明を目指し、ポジショナルクローニングおよび分子間相互作用解析に基づき研究を実施した結果、以下の主要な成果を得た。1)2種の難聴モデルマウスの発症原因遺伝子が共通してMyosinVIであることを明らかにした。2)発現解析および蛋白質相互作用解析に基づき、4.1BおよびGelsolinが感覚毛伸長に機能することを明らかにした。3)SansおよびWhrlinの2重変異マウスの表現型から両者が有毛細胞上の感覚毛の平面細胞極性に機能することが示された。
著者
伊藤 克弘 上戸 賢 砂田 拓郎 加藤 敬司 植月 祐次 川西 博晃 奥村 和弘
出版者
一般社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科学会雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.105, no.4, pp.202-206, 2014-10-20 (Released:2015-10-21)
参考文献数
15
被引用文献数
1

傍糸球体細胞腫により二次性高血圧を来し,腹腔鏡下腎部分切除術により治癒した症例を経験したので報告する.症例は22歳,男性.学校検診で高血圧を指摘され近医受診,精査にてレニン高値,左腎腫瘍を認め当科紹介受診した.CTにて左腎上極に17 mmの腫瘤を認め,カプトプリル負荷試験でレニンの自律性分泌を認めたため,レニン産生腫瘍と診断した.腹腔鏡下左腎部分切除術を施行し,病理組織では電子顕微鏡検査にて菱形のプロレニン顆粒を認め,傍糸球体細胞腫と診断した.術翌日より血圧,レニン活性ともに正常化し,術後半年の現在まで腫瘍,高血圧ともに再発を認めていない.傍糸球体細胞腫は稀ではあるが,手術により治癒が可能であり,若年性高血圧の鑑別診断として重要であると考えられた.
著者
松村 善昭 奥村 和弘 今村 正明 東 新 松本 慶三 井本 卓 寺地 敏郎
出版者
泌尿器科紀要刊行会
雑誌
泌尿器科紀要 (ISSN:00181994)
巻号頁・発行日
vol.48, no.10, pp.599-601, 2002-10

55歳男.人間ドックで骨盤内腫瘤,左水腎症を指摘された.CTで仙骨前面に接し骨盤内臓器を腹側に圧排する13×11×15cmの腫瘤を認め,内容は嚢胞成分,脂肪織,石灰化等が混在していた.手術は,まず砕石位で下腹部正中切開から経腹膜的に直腸後方の腫瘍に到達した.その際,右総腸骨動脈部に右萎縮精巣を認め,摘除した.腫瘤と直腸との間の剥離を進めると,腫瘍は仙骨前面の一部と強く癒着していた.経仙骨アプローチを加えることとし,体位をJack knife positionに変え,仙骨後方に逆Y字切開した.S4,S5神経,尾骨神経根を結紮切断した後,S4以下の仙骨,尾骨を切断し腫瘍後面に到達した.鈍的に剥離を進めたが,S3仙骨と腫瘍との間に強い癒着を認めた.一部嚢胞壁が残存し嚢胞内容がこぼれたが,腫瘍を一塊に摘出した.組織学的には悪性所見を認めず,良性の成熟奇形腫と診断した.術後排便障害は1ヵ月で軽快し,尿閉を術直後に認めたが,1年後には自尿1回200mlと回復した