著者
奥村 皓一
雑誌
自然人間社会 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.83-125,

21世紀に入り、「冷戦」が終わって10年以上過ぎたというのに「帝国」「帝国主義」が、世界人類の当面、最大課題となり始めた。ソ連邦が崩壊し、旧社会主義陣営の国々が資本主義市場経済を受け入れ始める一方で、資本主義大国間のグローバル競争が激化し始めた。中国、ロシア、ブラジル、インドといった新興の市場経済大国は、興隆をはたすなかで経済超大国をも目指し始めたのである。唯一超大国のアメリカは、経済力の相対的な地盤沈下のなか圧倒的な軍事力を活用して、全世界を制覇し、米国のビッグビジネス(メジャーズ)をスーパーメジャーズに編成して、先進国世界のみならず、GAPと呼ばれる第三世界、開発途上諸国、旧社会主義国のすべてをその勢力下に組み込もうとするようになった。米国国際石油資本をはじめとする米国の多国籍企業は、グローバルに展開できるスーパー・メジャーとして、全地球的に展開し始めた。国際競争力が相対低下してアメリカのビッグビジネスは、アメリカの軍事力を活用したセオドア・ルーズベルト型の「軍事帝国主義」を背景に「自由とデモクラシー」の旗を掲げたウィルソン型の「理想主義的帝国主義」を前面に全地球的展開を開始した。その典型は、ネオコンサーバティブの主導するイラク単独進攻と占領である。世界で石油埋蔵量第2位のイラクの石油開発、生産を独り占めにし、イラクの「民主化」による親米政権の樹立とイラクの軍事基地化によって、中東と北アフリカ、中央アジア(中東)の油田地帯にアメリカの石油秩序を確立しようとしている。さらに、アメリカは南西アメリカ、南アジア、ラテンアメリカへと「帝国」を広げようとしており、米国の軍事関与は百数カ国に及び、冷戦下では実現できなかった戦線の拡張である。だが資本展開の膨張に米軍事力は無限に応ずることはできず、米国の単独主義の行きつくところは自己破壊である。
著者
奥村 皓一
出版者
関東学院大学経済研究所
雑誌
経済系 : 関東学院大学経済学会研究論集 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.224, pp.70-95,

20世紀末から始まった米国の第5次M & Aブームは,史上最大の規模を誇り,欧州・アジアをも巻き込み21世紀の現在も進行中。そのM & Aの代表企業だったAT & Tは,長距離通信とメディア(CATV)の両業界を統合した"新独占<となったが,情報通信大競争化下でその王国は崩壊。旧子会社に買収され,140年の歴史を終えた。通信とメディアの合併統合化はさらに進み,巨大通信寡占体とメガメディアが互いの分野へ相互浸透し,さらに次なる業界を超えたメガ・マージャーへ進み21世紀型資本主義の主導的役割を目指す。
著者
奥村 皓一
出版者
関東学院大学経済研究所
雑誌
経済系 : 関東学院大学経済学会研究論集 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.225, pp.47-66,

20世紀末から始まった米国の第5次M & Aブームは,史上最大の規模を誇り,欧州・アジアをも巻き込み21世紀の現在も進行中である。そのM & Aの代表企業だったAT & Tは,長距離通信をメディア(CATV)の両業界を統合した"新独占<となったが,情報通信大競争下でその王国は崩壊した。旧子会社に買収され140年の歴史を終えた。通信とメディアの合併統合化はさらに進み,巨大通信寡占体とメガメディアが互いの分野へ相互浸透し,さらに次なる業界を超えたメガ・マージャーへ進み,21世紀型資本主義の主導的役割を目指す。