著者
奥脇 駿 小谷 俊明 中山 敬太 佐久間 毅 飯島 靖 赤澤 努 南 昌平 大鳥 精司 山崎 正志
出版者
一般社団法人 日本脊椎脊髄病学会
雑誌
Journal of Spine Research (ISSN:18847137)
巻号頁・発行日
vol.13, no.11, pp.1171-1176, 2022-11-20 (Released:2022-11-20)
参考文献数
10

はじめに:思春期特発性側弯症(AIS)に関して,早期発見・治療を目的とした学校検診が重要である.しかし本邦では自治体毎に検診法は異なる.今回,紹介元の違いで術前患者を評価し学校検診の有効性を比較検討した.対象と方法:当院で手術を受けたAIS患者で,運動器検診に加えて客観的検査法を併用している地域からの紹介(X群),運動器検診のみの地域からの紹介(Y群)とした.患者背景を比較し,受診する契機が学校検診によるものか否かを調査した.結果:X群は117名,Y群は40名であった.X群で初診時の年齢が低く(p=0.012),受診契機が学校検診の割合が高く(p<0.001),初診時主カーブCobb角が小さかった(p<0.001).Y群で手術時の年齢は低く(p=0.011),術前の主カーブCobb角は大きかった(p<0.001).結語:運動器検診のみを行なっている地域からの紹介患者は,初診時の年齢が高く,初診時・術前の主カーブCobb角も大きかった.また,運動器検診のみの地域からの受診患者では,学校検診契機で受診する割合が低かった.客観的検査法を併用している地域の方が早期受診に寄与している可能性がある.
著者
辰村 正紀 奥脇 駿 蒲田 久典 平野 篤 山崎 正志
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.61-65, 2021 (Released:2021-04-03)
参考文献数
11

はじめに:腰椎分離症の多くが下位腰椎に発生するため,上位腰椎に関するまとまった報告はない.L1からL3が罹患高位となった腰椎分離症の患者背景の解析を目的とし本報告を行なった.方法:対象をL1からL3に腰椎分離症を有する高校生以下の患者42例67分離とした.男女比,平均年齢,病期,潜在性二分脊椎(SBO),癒合率を調査した.結果:男性30例,女性12例で,平均年齢は15.5歳であった.初診時の偽関節は26%で,進行期病変が6%,2期病変が7%.同一高位にSBOは存在しなかった.癒合率は86%であった.考察:上位腰椎の分離症は保存治療で高い癒合率を示した.進行した病変が少なく,同一高位にSBOが存在しないことが影響していると考える.