著者
高山 真 沖津 玲奈 岩崎 鋼 渡部 正司 神谷 哲治 平野 篤 松田 綾音 門馬 靖武 沼田 健裕 楠山 寛子 平田 宗 菊地 章子 関 隆志 武田 卓 八重樫 伸生
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.62, no.5, pp.621-626, 2011 (Released:2011-12-27)
参考文献数
7
被引用文献数
9 8

平成23年3月11日に発生した東日本大震災は,巨大な地震と津波により東日本の広い範囲に甚大なる被害をもたらした。東北大学病院では被災地域への医療支援を行ない,漢方内科においても東洋医学を中心とした活動を行なった。ライフラインが復旧せず医療機器の使用が困難な中にあって,医師の五感により病状を把握し治療方針を決定できる東洋医学は極めて有効な診断・治療方法であった。被災直後には感冒,下痢などの感染症と低体温症が課題であり,2週間経過後からアレルギー症状が増加し,1ヵ月以降は精神症状や慢性疼痛が増加した。感冒や低体温に対する解表剤や温裏剤,咳嗽やアレルギー症状に対する化痰剤,疼痛やコリ,浮腫に対する鍼治療・マッサージ施術は非常に効果的であった。人類の過酷な歴史的条件の下に発達した東洋医学は大災害の場でも有効であることを確認した。
著者
広瀬 統一 平野 篤
出版者
Japan Society of Human Growth and Development
雑誌
発育発達研究 (ISSN:13408682)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.37, pp.17-24, 2008-02-01 (Released:2010-03-12)
参考文献数
21

In this study, we examined the relationship between birth-month distribution, skeletal age, height, and weight in adolescent soccer players. The participants were 271 well-trained male adolescent soccer players aged between 9.1 to 15.9 years (N=101 for U12, N=132 for U15, and N=38 for U18). They were divided into four groups according to their month of birth (Q1: Apr-Jun, Q2: Jul-Sep, Q3: Oct-Dec, and Q4: Jan-Mar). Then, the number of players in each group was compared with the standard population of children in Tokyo. Our result showed significant asymmetries in the birth-month distribution for participants of all age groups (p<0.001); it was less than 10% for participants belonging to group Q4. However, no significant difference in maturation ratio (skeletal age-chronological age) was seen among the groups. Moreover, skeletal age did not differ significantly among birth-month for all groups except for Q3. These tendencies were also seen in height and weight distributions. These findings imply that players who biologically mature at an early stage may be selected systematically as soccer players at competitive levels; however, biases based on maturation and physique may cause asymmetric birth-month distribution, as seen in this study.
著者
平野 篤
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

生体内に取り込まれたナノ粒子はタンパク質と相互作用して「タンパク質コロナ」と呼ばれる複合体構造を形成することが知られている。安全なナノ粒子の開発にはタンパク質コロナの物性の解明が必須である。当該研究ではカーボンナノチューブおよび荷電性のホモポリペプチドをそれぞれナノ粒子とタンパク質のモデルとして利用し、タンパク質コロナの形成に関する基礎知見を得た。特にポリアルギニンがカーボンナノチューブへ強く結合するという知見は、ナノカーボン材料のタンパク質コロナ形成におけるアルギニン残基の重要性を示唆するものであり、芳香環を有するナノ粒子全般におけるタンパク質コロナの形成機構の理解にもつながる成果となった。
著者
小田 桂吾 吉田 和歌子 藤沼 絢子 児玉 真知子 鈴木 恒 吉田 怜 成田 崇矢 馬見塚 尚孝 金森 章浩 宮川 俊平 平野 篤
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.36 Suppl. No.2 (第44回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C3P3435, 2009 (Released:2009-04-25)

【目的】膝前十字靱帯(以下ACL)再建術後、再度ACL断裂を受傷した症例について調査し、今後のリハビリテーション(以下リハ)プログラム及び予防プログラムについて検討することを目的とする.【対象および方法】平成15年4月から平成20年9月までの期間に、当院で自家半腱様筋腱(および大腿薄筋腱)を用いた解剖学的二重束でACL再建術施行例のうち経過観察可能であった155名(男性70名,女性85名,平均年齢24±10歳)のうちACL再受傷した4名を対象とした.調査項目はACL再受傷発生頻度,性別,年齢,競技種目,競技レベル,再受傷期間,受傷機転について検討した.なお本研究は当院の倫理委員会の審査を受け、承認されたものである【結果】全手術例に対するACL再受傷発生率は2.6%であった.症例の性別,年齢,競技種目は男性1例(24歳、サッカー、JFLチーム所属).女性3例(16~17歳、バスケットボール部所属で全国大会出場レベル1例,県大会出場レベル1例、ハンドボール部所属,県大会出場レベル1例)で再受傷期間は165±47日であった.【考察】再断裂した症例は1例(女性,バスケットボール部全国大会出場レベル)を除いて競技復帰前に受傷していた.移植腱の成熟および骨の癒合は3~6か月程度要すると報告されていることから、この時期のリハは筋力の回復状況や膝固有感覚の回復を考慮したプログラムを実施すると同時に危険肢位等のリスク管理を十分患者に理解させ、再断裂を未然に防ぐことが重要である.また2例は部活動以外のアクシデントで再断裂している.スポーツ活動中だけでなく日常生活レベルでのリスク管理の指導も十分行う必要性がある.以上のことは以前から報告されているが、改善されていない理由として患者本人の病態意識の低さだけでなく、再断裂した症例は全て初回も再受傷も非接触型で受傷していることから我々のリスク管理を含めた予防トレーニングの指導力不足も関係しているのではないかと考える.また当院では術後6カ月でBIODEXを用いた筋力検査を行い患健比マイナス15%以内、H/Q比60%以上を競技復帰の目安にしており今回、競技復帰後に再断裂した症例はこの目安をクリアし順調に筋力が患健比約90%回復していたにも関わらず再断裂に至ってしまった.当院のACLのリハは筋力検査の結果を競技復帰の目安にし、術後平均約8か月でリハ終了としているが、まだ競技復帰に対して不安感を持っていながら、この時期を境に今まで行ってきたリハのプログラムを終了していたことが誘因のひとつであると推察した.
著者
平野 篤司
出版者
成城大学
雑誌
成城法学 教養論集 (ISSN:03898075)
巻号頁・発行日
no.17, pp.51-65, 2003-03
著者
平野 篤 亀田 倫史 白木 賢太郎 田中 丈士
出版者
国立研究開発法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2018-04-01

本研究では、独自技術によって得られた超高純度カーボンナノチューブを用いて、カーボンナノチューブとタンパク質からなる複合体であるタンパク質コロナの形成機構を解き明かすことを目的としている。カーボンナノチューブなどのナノ粒子が環境中から生体内に取り込まれた直後に形成されるタンパク質コロナの構造は、ナノ粒子の生体内動態を決定づける極めて重要な因子であり、ナノ粒子の安全性と深く関わっている。本年度は、昨年度に引き続き、タンパク質コロナ形成におけるカーボンナノチューブの骨格構造や電気的性質の影響を明らかにするとともに、アミノ酸とカーボンナノチューブの相互作用を調べることで、タンパク質とカーボンナノチューブの相互作用を要素還元的に理解することを目指した。分子動力学計算によって得られる相互作用の熱力学的な物性値に対するカーボンナノチューブの曲率依存性を調査した結果、曲率の増加によって相互作用が減少することが明らかになった。また、昨年度、タンパク質とカーボンナノチューブの化学的な相互作用である酸化還元反応が、カーボンナノチューブの原料に残存する夾雑物に由来する金属イオンの影響を受けることを明らかにしており、本年度は、タンパク質以外の生体分子(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドなど)とカーボンナノチューブの間の酸化還元反応における遷移金属イオンの効果を調査することで、酸化還元反応の多角的な理解を目指した。結果として、カーボンナノチューブに含まれる微量の鉄イオンによって引き起こされるタンパク質とカーボンナノチューブの間の酸化還元反応は金属キレート剤であるエチレンジアミン四酢酸(EDTA)によって十分に抑制される一方、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドとカーボンナノチューブの間の酸化還元反応はEDTAによって抑制されないことが明らかになった。
著者
浅井 玲央 辰村 正紀 小川 健 万本 健生 平野 篤 山崎 正志
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.55-60, 2021 (Released:2021-04-03)
参考文献数
19

腰椎分離症症例の男女における相違点を見出すことを目的とし,当院で腰椎分離症と診断された高校生以下の症例60例104ヵ所について解析した.性別の内訳は男性44例,女性16例で,罹患高位は男性でL5分離が多く(p=0.060),治療自己中断率は男性で高かった(p=0.095).保存療法が完遂できない男性症例を減らすための対策を検討する必要がある.平均受診年齢や骨年齢,SBO保有率,第5腰椎前弯角,初診時罹患部の末期例割合,骨癒合率,治療期間などは男女で相違がなかった.今後,調査項目を追加し前向き研究を行なうなどして,より詳細に男女の相違点やその原因を明らかにしていく必要がある.
著者
辰村 正紀 奥脇 駿 蒲田 久典 平野 篤 山崎 正志
出版者
一般社団法人 日本整形外科スポーツ医学会
雑誌
日本整形外科スポーツ医学会雑誌 (ISSN:13408577)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.61-65, 2021 (Released:2021-04-03)
参考文献数
11

はじめに:腰椎分離症の多くが下位腰椎に発生するため,上位腰椎に関するまとまった報告はない.L1からL3が罹患高位となった腰椎分離症の患者背景の解析を目的とし本報告を行なった.方法:対象をL1からL3に腰椎分離症を有する高校生以下の患者42例67分離とした.男女比,平均年齢,病期,潜在性二分脊椎(SBO),癒合率を調査した.結果:男性30例,女性12例で,平均年齢は15.5歳であった.初診時の偽関節は26%で,進行期病変が6%,2期病変が7%.同一高位にSBOは存在しなかった.癒合率は86%であった.考察:上位腰椎の分離症は保存治療で高い癒合率を示した.進行した病変が少なく,同一高位にSBOが存在しないことが影響していると考える.
著者
高山 真 岩崎 鋼 渡部 正司 神谷 哲治 平野 篤 松田 綾音 沼田 健裕 楠山 寛子 沖津 玲奈 菊地 章子 関 隆志 武田 卓 八重樫 伸生
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.275-282, 2012 (Released:2013-02-13)
参考文献数
10
被引用文献数
2 2

古くからヨーロッパでは自然療法を取り入れて健康を保つ方法が一般的に行なわれてきており,特にドイツでは統合医療に補完・代替医療が積極的に導入されている。ドイツでも有名な4つの施設,ミュンヘン大学麻酔科ペインクリニック,TCM Klinik Bad Ko¨tzting, Immamuel Krankenhaus, ZenHaus Klinik を視察し統合医療の現状を報告する。各施設では,慢性疼痛に対する4週間プログラム,中国伝統医学中心の治療,自然療法主体の治療,日本伝統医学にアロマテラピーを加えた治療など,各々の施設で特徴的な治療方法が行なわれていた。ドイツでは多くの病院,クリニックで補完・代替医療が盛んに行なわれているが,その広がりの一つにドイツにおける医療保険制度が挙げられる。公的保険では治療の一部,プライベート保険では広い範囲で補完・代替医療に対する保険償還が行なわれる。歴史的背景に加え,このような制度も統合医療の広がりに影響を与えていると考える。
著者
小田 桂吾 鈴木 恒 平野 篤
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.34 Suppl. No.2 (第42回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C0926, 2007 (Released:2007-05-09)

【目的】今回、腰椎椎間板ヘルニアを患ったプロ総合格闘技選手の競技復帰に向けたリハビリテーション(以下リハ)を経験したのでここに報告する。【症例紹介】29歳、男性。診断名:腰椎椎間板ヘルニア(L5/S1)。身長163cm、体重58kg。【現病歴】2004年より腰痛、左下肢のしびれが出現。以降、試合出場困難となる。2006年、2年振りに復帰し2試合2勝の成績を収めるが腰痛が改善されず、更なる競技能力向上を目的として2週間、リハ目的の入院となった。【初期評価】主訴:常に腰が重い感じ。練習後、腰が張る。(ともに特に左側)アライメント:立位前額面で左肩甲帯下制、脊柱やや右側弯で体幹軽度左側屈あり。矢状面で腰椎前弯、骨盤前傾あり。タイトネステスト:SLR;右60度、左50度。HBD;右0cm、左5cm。FFD;-10cm、MMT:左中殿筋4【経過】1週目の主なリハプログラムは腰部の筋緊張改善を目的とした物理療法、ストレッチ。腹部の深層筋を意識しながらフォームローラーやバランスボールを使用したコアトレーニング。股関節周囲筋力強化を目的としたアウフバウトレーニング等を中心に行った。2週目はトレーニング強度を高めつつ、立位でアライメントが崩れない身体の軸作りを目的としたバランストレーニング、スタビライゼーショントレーニング等を導入していった。退院時、タイトネステストでSLRは左右共70度、HBD左右共0cm、FFD0cmに改善、疼痛は練習後少し張りが残る程度の訴えに軽減。退院後は外来及びジムでフォローしながら退院2週後より実戦練習再開。8週後、初の打撃のみの試合に出場し判定勝ちを収めた。【考察】実戦動作の問題点のひとつとして、左ストレートを打つ際に骨盤の右回旋が不十分で体幹の左側屈が出現しており左腰部に過度なストレスが考えられた。原因としては軸足となる右股関節周囲の筋力低下や左腹斜筋、腸腰筋の柔軟性低下が考えられ、これを改善するために軸足を不安定板に乗せた状態で打撃練習を行い、骨盤を回旋させ体幹と左腕の連携を意識させながらパンチを出す練習を行った。近年、腰痛の治療は体幹の前後、左右、ひねり、上、下肢との連動性を十分考慮したコアトレーニングの概念が必要であると報告されている。また力が発揮する姿勢であるパワーポジションを獲得するためには骨盤の安定性が必要であるとも言われており、激しい動きを伴う総合格闘技選手は様々な技術と体力が要求されるためリハは単に症状の改善を目的とするだけでなく、そのファイトスタイルを考慮する必要があり今後さらなるレベルアップを選手とともに目指していきたいと考える。
著者
上村 圭右 平野 篤 内藤 正雄
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2010, no.18, pp.35-36, 2010-05-28

防衛省では、開発や量産への着手等の結節点における費用(LCC)対効果の判断を踏まえた意思決定、また、コスト面に係る説明責任の強化を行うため、各種装備品のライフサイクルコスト(以下、「LCC」という。)の算定を実施している。LCCの算定において最も重要となるのが、LCC算定の基準となるコストモデルを構築することである。コストモデルは、陸上車両、航空機等装備品の分野ごとに構造が異なるため、それらの分野ごとにコストモデルを構築する必要がある。ここでは、平成21年度にLCCを算定した新戦車(図1参照)について、算定の考え方を説明し、さらに、米国の装軌車両のコストモデルとの比較を行う。
著者
平野 篤 上村 圭右 内藤 正雄
出版者
日本信頼性学会
雑誌
信頼性シンポジウム発表報文集
巻号頁・発行日
vol.2010, no.18, pp.33-34, 2010-05-28

防衛省では、防衛装備品を取得するためのコストを量産単価だけでなく、構想、開発、量産、運用・維持、廃棄までの過程(ライフサイクル)に必要な総経費として、ライフサイクルコスト(以下、「LCC」という。)管理を行うことで、開発や量産への着手時の結節点において、費用(LCC)対効果の判断を踏まえた意思決定が可能になると考えている。防衛省では、平成20年3月に「総合取得改革推進プロジェクトチーム報告書」を作成し、現状の課題、体制整備、統一的なLCCの算定方法の確立、LCC管理の試行及び人材育成の検討結果が述べられた。その過程において、平成20年度より、防衛省の調達機関である装備施設本部においてLCC算定要領を作成し、航空機(戦闘機(図1)、哨戒機)を対象としたLCC年次報告書を提出した。その後、対象を航空機以外にも拡大して平成21年度の報告書にまとめている。さらに、平成21年度には、装備施設本部内にライフサイクルコスト管理室が9名体制で発足し、防衛省内におけるLCC管理業務を行なっている。本内容は、LCC管理室で作成した、LCC算定要領の概要及びLCC管理年次報告書について報告する。