著者
奥谷 禎一 吉岡 英二
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.1-3, 1983-05-01 (Released:2012-10-29)
参考文献数
3
被引用文献数
1

ナメクジ類が硫酸銅を忌避するといわれていたが濃度などについて研究は行われていなかった. われわれはチャコウラナメクジが銅板及び硫酸銅を用い忌避効果をたしかめ, 銅板では巾20mm以上, 硫酸銅では10mM以上を必要とすることを明らかにした.
著者
奥谷 禎一 三方 彰一
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.100-112, 1958-06-01
被引用文献数
1

本報告は1955∼1956年に篠山地方において調査研究した,サクラを加害するヒラタハバチとサクラヒラタハバチの生活史である。<br>ヒラタハバチ;1)篠山では4月中旬から5月上旬にかけ成虫が出現する。生活期間は,成虫が1週間(雄)から3週間(雌),卵が約11日,幼虫が約22日,前蛹が約10か月,蛹が約17日である。2)産卵は葉裏の葉脈間に卵群として8卵内外が産まれる。3)幼虫は5令を経る。幼虫は吐糸によって葉を巻いて巣をつくる。造巣は協同して行われ,1巣内に数頭が群棲する。4)幼虫の食草はソメイヨシノおよびヤマザクラである。5)天敵としては5種のクモを発見した。<br>サクラヒラタハバチ;1)成虫の出現期は前種よりわずかに遅い。生活期間は,成虫が約9日(雄)から26日(雌),卵が約14日,幼虫が約25日,前蛹が約10か月,蛹が約14日である。2)卵は25粒内外の卵塊として葉裏の中肋上に産下される。3)幼虫は雄6令,雌7令で,吐糸によって天幕状の巣をつくり,群棲する。4)幼虫の食草はソメイヨシノ,ヤマザクラおよびナナカマドであるが,イヌザクラ,モモ,ウラジロノキでも飼育が可能である。5)天敵としては3種のクモとアマガエルを発見した。

1 0 0 0 不快動物

著者
奥谷 禎一
出版者
家屋害虫研究会
雑誌
家屋害虫
巻号頁・発行日
vol.12, no.1, pp.40-47, 1990

不快昆虫あるいは不快害虫という言葉は英語のnuisanceの訳であるが,nuisanceには"述惑をかける人"とか"うるさい人"という意味で,暴走族や他人にからむ酔っばらいなど,あるいはこのような行為を意味していて,不愉快とか不快,すなわちunpleasantという意味とはやや異るように思える。むしろ"五月蝿"と書いて"うるさい"と読ませる類の方が意味は近いのかも知れない。したがって今日不快害虫と言われるものは,視覚的に不快を訴えられるものまで含まれているので,正確な定義づけは困難である。病原微生物の運び屋となるものは衛生害虫で,それ以外の屋内飛来虫は不快害虫とするという説もあるが,今日では後者に瑞息やアトピー性皮膚炎などのアレルギー性疾患の抗原となる虫が含まれていることが判明してきたり,個人差が大きいが,刺咬被害を生じるものなどがあり,不快害虫と衛生害虫の間に線を引きにくい事情も出てきている。さらに近年はほとんど虫のいない都市生活になれた人が,郊外の山林や田畑を切り開いた新興住宅地に移り住み,自然に恵まれているが,いろいろな虫たちに出合い,不快を訴えるケースも増え不快害虫のリストを膨ましていることも事実である。また一方ではいわゆる生態系の破壊が人為的に起り,そのために特定の虫の発生量が急増して不快害虫となるものも多い。以下に筆者が経験したり,あるいは文献で見たりした不快害虫について記してみよう。ついでに虫に限らず人の住居に侵入して迷惑をかける動物もあげた。これらの諸動物のなかには,局所的なものと考えられるものもあるが,参考になるかと思いできるだけあげておいた。
著者
奥谷 禎一 吉岡 英二
出版者
関西病虫害研究会
雑誌
関西病虫害研究会報 (ISSN:03871002)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.1-3, 1983
被引用文献数
1

ナメクジ類が硫酸銅を忌避するといわれていたが濃度などについて研究は行われていなかった. われわれはチャコウラナメクジが銅板及び硫酸銅を用い忌避効果をたしかめ, 銅板では巾20mm以上, 硫酸銅では10mM以上を必要とすることを明らかにした.
著者
奥谷 禎一
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.29-33, 1965-03-25
被引用文献数
4

Caliroa属(ナメクジハバチ属)のハバチは, わが国では今日までに4種が知られていたが, 飼育によって3新種を得たので, その記載とともに7種の検索を記した。本属の幼虫は, 前脚の前方に頸腺が発達し(図13), ここより粘液を分泌し, 生時は, 休全体粘液に覆われナメクジ状である。また, その食痕は図14に示したように, 表皮を残した特徴のあるものである。多くは7〜9月に少なくとも2世代を繰り返す。成虫の検索は次のようである。1.翅は透明;触角第3節は第4,5節の合長よりやや短い。(図7);コナラ・クヌギ等を食害する。……C.oishiiコナラナメクジハバチ(新称)-翅の基部は曇っている。……2 2.後脚は全体黒色;オウトウの害虫として有名。……C.cerasiオウトウナメクジハバチ(改称)(旧和名ウチイケオウトウハバチ)-後脚には白色または褐色部をもつ……3 3.触角第3節は第4,5節合長より明らかに短い……4-触角第3節は第4,5節合長よりわずかに短い……5 4.頭楯は前縁彎入する;♂は後翅に縁脈あり;食草不明……C.annulipesハクサンナメクジハバチ(新称)-頭楯前縁は裁断状;♂は後翅に縁脈なし;触角, 図10;食草はナツハゼ……C.vacciniナツハゼナメクジハバチ(新種)5.後腿節は汚黄色または褐色;触角, 図11;有名なモモの害虫……C.matsumotonisモモナメクジハバチ(改称〉(旧和名モモハバチ)-後腿節はほとんど黒色……6 6.後脛節と趺節は大部分褐色;触角, 図9;小型種;ケヤキの害虫……C.zelkovaケヤキナメクジハバチ(新種)-後脛節と趺節は大部分黄色;触角, 図8;大型種6mm以上;ミツバウツギを食す……C.staphyleaミツバウツギナメクジハバチ(新種)