著者
河野 勇人 姫野 国夫
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.12, pp.1135-1139, 1992
被引用文献数
1 2

発酵食品における製品の再発酵を防止するための天然保存料の開発を目的に,食塩存在下において<I>Zygosaccharomyces rouxii</I>に対するキラー活性を有する酵母菌を<I>Kluyveromyces</I>属酵母のIFO type strainから検索した.クロステストによる検索の結果, <I>K. thermotolerans</I> IFO 1778株,<I>K. vanudenii</I> IFO 1673株, <I>K. lactis</I> IFO 1267株, <I>K.phaffii</I> IFO 1672株が, NaCl存在下(4%w/v)でキラ一活性を有していた.この4株の培養上澄液を添加したNaCl含有培地による<I>Z.rouxii</I>の培養試験の結果では, IFO 1778株のものが最も阻害効果が強かった.また,<I>K. thermotolerans</I>に属するIFO株9株のうち,このIFO 1778株のみ<I>Z.rouxii</I>に対しNaCl依存性のキラー活性を示した. IFO 1778株のキラータイプはK<SUB>1</SUB>~K<SUB>11</SUB>に属さない新しいタイプであり,そのキラー活性は核性遺伝によると思われた.
著者
高瀬 澄夫 姫野 国夫 冨部 忠篤
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.59, no.8, pp.722-724, 1964-08-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
4

指定した1本の清酒もろみにつき, 製造過程にしたがって原料から製品まで系統的に鉄を定量した結果, 下記の諸点が明らかになった。(1) 原料処理過程における鉄の混入が, 洗米浸せき用水中の鉄の米への沈着というかたちで起っているうたがいがある。(2) 白米中の鉄は大体かすに移行すると思われ, もうみ液状部に溶出すると考えるには非常に無理がある。(3) 米の鉄が未消化部分と結合したままかすに移るのか, あるいは一たん酵母に摂取されて菌体と共にかすに移るのかについてはさらに検討の必要がある。(4) もろみ原料 (水十米) の鉄より製品 (かす十酒) の鉄が多いという前報で述べた事実を再確認した。