著者
河野 勇人 姫野 国夫
出版者
社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.12, pp.1135-1139, 1992
被引用文献数
1 2

発酵食品における製品の再発酵を防止するための天然保存料の開発を目的に,食塩存在下において<I>Zygosaccharomyces rouxii</I>に対するキラー活性を有する酵母菌を<I>Kluyveromyces</I>属酵母のIFO type strainから検索した.クロステストによる検索の結果, <I>K. thermotolerans</I> IFO 1778株,<I>K. vanudenii</I> IFO 1673株, <I>K. lactis</I> IFO 1267株, <I>K.phaffii</I> IFO 1672株が, NaCl存在下(4%w/v)でキラ一活性を有していた.この4株の培養上澄液を添加したNaCl含有培地による<I>Z.rouxii</I>の培養試験の結果では, IFO 1778株のものが最も阻害効果が強かった.また,<I>K. thermotolerans</I>に属するIFO株9株のうち,このIFO 1778株のみ<I>Z.rouxii</I>に対しNaCl依存性のキラー活性を示した. IFO 1778株のキラータイプはK<SUB>1</SUB>~K<SUB>11</SUB>に属さない新しいタイプであり,そのキラー活性は核性遺伝によると思われた.
著者
河野 勇人
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.107, no.10, pp.750-759, 2012 (Released:2017-12-15)
参考文献数
20
被引用文献数
1

超高齢化社会を迎えつつある現在の日本においては,生活習慣病の予防が重要な社会的問題となっている。その予防には個々人が若い時代から自ら日常的に健康的な生活を維持していくことが重要である。栄養(食事),運動,休養は健康づくりの三本柱であるが,毎日欠かすことができない食事の役割は大きい。近年,若い女性のダイエット志向や高齢社会におけるアンチエイジング志向から,健康維持に対する関心が高まり,いわゆる健康食品やサプリメントなどの商品が増加している。しかし,それらの中には効果が実証されていない食品や健康被害を招きかねないものも含まれている。このような食環境において,科学的エビデンスに基づいた食材や加工食品の開発と提供は極めて重要な課題である。本稿は,その好例の紹介であり機能性食品の開発を進める上で大変参考になる事例である。